アベノミクスで注目され、市場参加者が大きく増えている外国為替証拠金取引(以下FX)。堅実な利益を追求する投資家から、「アービトラージ」という言葉を耳にする機会が増えてきました。今回はアービトラージを通じて、FXの魅力や投資スタンスをお伝えしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

そもそもアービトラージって何?

アービトラージとは、リスクの回避や抑制を目的として行われる取引手法の1つです。各種のファンドや機関投資家も用いる売買手法のひとつであり、その投資対象は、株式・債券・金利~商品・通貨にいたるまで、多くの金融商品がその対象となり得ます。様々な要因で生じた「価格の差」の割安な方を買い、割高な方に売り建て(売却ではなく、値下がりで利益が出る“売り”のポジションを持つ)ることをいいます。反対のポジションを持つことにより大きな逆方向へのリスクを抑えつつ、価格差を利益に変えようとする取引です。

アービトラージ、その特徴とは?

2つの異なるポジションを持つことは、損失となる取引が生じる一方、それを上回る利益を生じさせるポジションを持ち、その合算で利益目指す取引です。損失に繋がるポジションをあえてもつことが特徴で、予想との逆行するリスクを抑えるための保険と考えることができるかもしれません。
FXで軸になる考え方とアービトラージの取引例。
鉄や原油などの資源の需要が見込まれるときに、豪ドル(以下、AUD)やカナダドル(CAD)、ニュージーランドドル(NYD)といった資源国通貨が上昇します。そのときに先行して大幅に上がった方を売り、上げ幅の小さい割安な通貨を買う。その後相場の収斂の過程で、一方の損失を上回る他方の通貨が合算で利益を生みます。「利益とリスクが背中合わせであるなら、利益は限定的でいいからリスクも限定にしたい」という組み合わせです。

資源国通貨の他に、ブラジル・リラやメキシコペソなどの新興国通貨、また地域のカテゴリに着目するとユーロ(EUR)とポンド(GBP)の組み合わせなど、株式よりも簡単(株式は銘柄が多すぎて、選定や価格差の把握が難しい)に取引の軸が見つかります。

FXの最大の魅力 スワットポイント

売買差益(キャピタルゲイン)を得るという側面ではなく、FXのもうひとつの魅力=スワップポイント(インカムゲイン)という面からアービトラージを見てみると、FXの相性の良さとその魅力が良くわかります。アベノミクスのスタートを、市場ベースで考えると12年11月ということができると思います。AUDは82円から、1年後には93円まで上昇しました。(高値は13年4月の105円)

レバレッジ10倍(証拠金が約9万円)の取引をしていたとすると、11円の上昇は、110,000円の利益となっていました。これは年率に換算をすると122%というものすごいパフォーマンスとなります。更にスワップポイントが約43,000円とこちらの年率は48%超となります。もしAUDの値動きが殆どなく利益が0だったとしても、スワップポイントの年率48%の運用益は大きな魅力となります。

売買差益は相場の変動の影響を受け損失につながることもありますが、スワップポイントは日々の増減こそあれ基本的に毎日加算されます(※)

※スワップポイントは、各国の金利政策や相場の動向で変動します。またお取引会社によって、スワップポイントは異なります。

※高金利通貨売り/低金利買いというポジションでは、スワップポイントは支払いとなります。デモ取引などでご確認ください。

もしAUD買いのポジションを持ち続けていた場合どうなるのだろうか。(14年2月現在91円70銭)

利益は97,000円と若干減っているが、スワップポイントは、55,000円を超えて増え続けています。値上がり益に狙いを絞ると売買のタイミングこそが利益となりますが、スワップポイントに焦点を当てると取引期間の長短が利益に比例します。

利益はスワップで稼ぐ、インカムゲインに狙いを絞ろう。

「変動に一喜一憂せず、ゆっくりとしたい人」にこそ、アービトラージがお勧めです。

相場変動によるキャピタルゲインの収益追求ではなく、毎日得られるスワップポイント=インカムゲインに焦点を置いた投資スタイルを考えたいと思います。

ひとつの円(通貨ではなく “○”=丸)をイメージしていただきたいです。或いはよくあるペンタゴングラフの様な“多角形”でも良いです。その円周のライン上に、新興国の軸、地域の軸、世界の主要通貨の軸、資源国の軸を持たせて、多種多様の通貨を思い描いて配置してみてください。日々の変動で多角形であれば各々の頂点が凸凹とします。○であればそれぞれが波打つことでしょう。多数の通貨ポジションを同時に持つので、凸と凹が相殺しあって値上がりの利益は期待しにくいです。ただしスワップポイントだけは、毎日清算されて取引口座に加算されていきます。

○上に置く組み合わせ例として。

資源国のAUDまたはNZDを置きたい(スワップポイント=120円 上述の年利換算48%に相当)。資源国通貨の下落に備えて、CADの売り(スワップポイント=△39円)。ポンドのスワップポイント32円も組み入れて、地域リスクのヘッジにユーロ売り△11円。240円のスワップポイントがもらえるトルコリラ(TRY)を組み入れて円の独歩高のリスクに備えて、ドル売り△7円を2つ組み入れる・・・。変動を抑制させる売りポジションを組み入れても、年利換算で15%を軽く超える組み合わせができます。

FXのためにあるような売買手法=アービトラージ

この様に多通貨の組み込みで、相場変動を狙わずにスワップポイントを狙うことができるのがアービトラージの魅力なのです。「値上がり益は、オマケでいいんだ。スワップを確実に貰いたい」というFXの投資家にとっては、このアービトラージこそ相性が良い取引であるといえます。

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photo credit: squirrel83 via photopin cc