(本記事は、及川圭哉氏の著書『ガチ速FX 27分で256万を稼いだ“鬼デイトレ”』=ぱる出版、2019年6月7日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
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利益2:損失1でエントリーできる場所を探す
FXトレードで勝ち続けるための理想は、「ここでエントリーしたら100%間違いなく勝てる」と確信できる場所でエントリーすることです。
しかし、悲しいかな、FXに「100%」はありません。「100%勝てる」と思って取引しても、負けてしまうこともあるのが、一寸先は闇のFXの世界です。
「未来のことを100%予測することなどできない」か弱い人間の中でも、徹底的な“弱者”である僕ら個人投資家が“勝者”になるためには、じゃあ、どうすりゃいいのか?
その答えは、「100%はありえないものの、90%、80%、少なくとも70%は勝てるかもしれない場面」だけを厳選して、選びに選び抜いて、待ちに待って、満を持してトレードするしかありません。
「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」では勝てないわけですから、下手であればあるほど、FXの初心者であればあるほど、鉄砲を撃つ(=取引を行う)回数を厳選しないことには、勝てるものも勝てないわけです。
僕がFXトレードで厳守している第一の鉄則、それが「リスクリワード」という考え方です。
僕が日々行っているデイトレードの世界では、漫然と、ただ、なんとなくエントリーしたら勝てちゃった、というビギナーズラックが長く続くことはありません。
エントリーする前に、エントリーするかしないか判断するだけでなく、エントリー後に「ここまで伸びたら利益確定、ここまで予想と反対方向に行ったら損切り」という、ビジョンというか、シナリオというか、ルールをちゃんと決めてからエントリーしないと、いつか必ず足元をすくわれ、リスクリワード=おいしいとこ獲りの発想資金全損でFXからオサラバ、という地獄に直面してしまいます。
たとえば図3-1のAのように、利益確定まで10pipsしか狙えそうにない場面で、損切りまでの距離が10pipだとすると、リスクリワードは1:1。この場合、勝率が5割、50%でも、やればやるだけスプレッドやスリッページの分だけ負け続けていくことになります。
僕たちが狙うべきなのは、図のBのような場面です。
利益確定まで20pips狙えそうな反面、損切りまでの距離が10pipsしかなく、想定できる利益と損失が2:1のような状況のときです。
これなら、1のリスクを背負いながら、2のリターンを目指すわけですから、勝率50%でも取引を重ねていけば利益が出ます。
さらに、勝てそうな場面だけを厳選してエントリーすることで、勝率を60%、70%、80%近くまで上げて、取引で得られる利益をできる限り増やすことを狙います。
とっても簡単にいうと、これが「リスクリワード」の考え方です。
リスクリワードを意識したエントリー方法
エントリー、そして利益や損失のエグジット設定には、「天才チャート」に表示された移動平均線や直近の高値・安値を使います。
「1万円儲かったら利食い、5000円損したら損切り」とか、「どんなときも100pipsで利食い、50pipsで損切り」といったリスク管理もあるかもしれませんが、僕は邪道だと思いますね。
FXの取引は確固とした自分自身の取引ルールを設定して、そのルール通りになれば利益確定を行い、ルール通りにならなければ損切りする、というのが王道だと思います。
「額面」や「pips数」ではなく、あくまで今、起こっている値動き自体から「ここまで伸びる」という利益目標と、「ここまで反対方向に行ったら、取引失敗」という損切り目途を決めるべきです。
僕の場合、そのルールにあたるのが、「天才チャート」に表示された数多くの移動平均線やテクニカル指標、インジケーターのサインになります。
中でも、非常によく使うのは、上位足MA。
5分足チャートよりも長い時間軸(=上位足)である1時間足チャートの10本(10時間)MAと15分足の10本(150分)MA、この2本のギザギザの線が僕の売買判断の主な根拠になっています。
5分足チャートの移動平均線の中で一番、期間の長い75本MAもよく使います。あと直近の高値や安値は、そのラインを抜けたらエグジットというように、主に利益確定や損切りのレート設定に利用します。
「時間帯管理」と「通貨ペアの相関関係」という2つが、実は、及川式FXが及川式FXである、最も重要な核心部分になりますが、「天才チャート」を使った僕のトレード手法は極めてオーソドックスなものです。
すなわち、「15分足MAにタッチして反転下落したら売り」とか「15分足MAを抜けて上昇したら買い」というように、今の為替レートのトレンドが上か下か横ばいかを意識しながら、移動平均線を“サポレジ(サポート帯やレジスタンス帯)”と見なし、そこを越えるか跳ね返されるかを根拠にエントリー。当然、エントリー後にどこで利益確定や損切りするかも、天才チャート上の移動平均線や直近の高値・安値などを基準にあらかじめ決めておきます。
では、1時間足MA、15分足MA、5分足の75本MA、直近高値・安値を使って、どのようにリスクリワードを測っていくのか?
図3-2は下降トレンドが続いている中でいったん上昇に転じたものの1時間足MAにぶつかって急落していく局面です。
為替レートが上昇に転じてまず15分足MAにぶつかったAの地点、その後、さらに上昇して1時間足MAにぶつかったBの地点、どっちがリスクリワード的に「おいしい!」といえるでしょうか?
むろん、これは結果がわかっているので、当然、AよりBのほうが「リスクリワードが合っている」のは明らかです。
ただ、まだチャートがAの時点までしか進んでいないとした場合、図3-3に示したように、15分足MAタッチでショート(売り)エントリー、それより約10pips下値の直近安値の実体部分まで下がったら利益確定、約8pips上値の1時間足MAをローソク足の実体が越えたら損切り、という売買プランを立てることができます。
そのときの利益:損失は10:8になるので、確かに1:1以上ですが、それほどおいしい場面とはいえません。
しかし、チャートがBの地点まで進んで、1時間足MAタッチで売りエントリーした場合はどうでしょうか?
Bの局面では、1時間足MAのすぐ上値にある5分足75本MAをローソク足の実体終値が完全に越えたら損切り(約2~3pips)、1時間足MAに跳ね返されて直近安値まで下落したら利益確定(約12pips)という売買プランを立てることができます。pips数はあまり大きくないですが、利益:損失は12:2とはるかによくなります。そこまで下がらなくても下値にある15分足MAまでの下落でも約7pipsなので、リスクリワードは約3倍。そう考えると、上昇しきったところを引き付けて売り叩くBの売買プランのほうがリスクリワード的においしいといえます。
むろん、予想がハズれたときの損切りポイントをたとえば、さらに上値の4時間足MAに設定していたら、リスクリワードが合っているトレードにはなりません。
つまり、リスクリワードが合っているかいないかは、その時点でいかに適切な売買プランを立てるかにかかっているといえます。
ただ、1時間足MAタッチで戻り売りして、その上にある右肩下がりの5分足75本線を越えてしまったら損切り、というプランはかなりオーソドックスで合理的なプランといえます。同様に、1時間足MAに押し戻されて、その下にある15分足MAまで下がったら利益確定、というプランも極めてオーソドックス。多くの市場参加者が同じような売買プランを立てていたとしてもおかしくありません。
つまり、上位足MAや5分足の長期移動平均線、直近高値・安値などを使って、市場参加者の多くが意識していそうな売買プランを立てたとき、獲得できる利益のpips数が、損切りの想定pips数の2倍以上あれば、その売買プランは「リスクリワードが合っている」、つまり僕的には、ガンガン強気に攻めていい取引になるというわけなんです。
上昇トレンドでリスクリワードが合っている場面
他の実戦例も見ていきましょう。
図3-4はポンド円の5分足チャートですが、15分足MA、1時間足MA、5分足の75本MAも右肩上がりの中で、いったん上昇したローソク足がAの地点で15分足MAにファーストタッチしています。
ここで買いを入れた場合、当面の利益確定目標になる直近高値の上ヒゲラインまでは約14pips、損切りラインを下値にある1時間足MAをローソク足の実体が完全に越えたところに設定すれば、その値幅は約7pips。利益:損失=2:1ですから、「リスクリワードが合っている」状況といえます。
上昇トレンドの初動というのは、上昇が始まったばかりの段階ですから、それまで為替レートは下落が続いていたか、横ばいで推移していたことになります。
そんな場合、たいてい15分足MAと1時間足MAの距離も近づいており、15分足MAまで下がったところで押し目買い、予想に反して1時間足MAまで割り込んだので損切り、という失敗トレードになっても、食らう損失はそれほど大きくなりません。
なにがいいたいかというと、「なるべく利益が大きく損失が少なそうな場面」で勝負するためには、利益確定目標である前の高値・安値に比べて、ここで損切りすると決めた下値の1時間MAがエントリーポイントに近い状態であるほうが「リスクリワードが合いやすい」ということです。
そもそも為替レートの上昇がえんえん続くと、期間が長いMAほどローソク足の上昇から取り残され、置いていかれることになります。
つまり、「リスクリワード的に“ごちそう”」なのは、15分足MAという短期の移動平均線と、1時間足MAという長めの移動平均線の距離が近く、まだ上昇トレンドが始まったばかりの初動段階に多いということ!
だからこそ、僕は、新たなトレンドが始まった直後の15分足MAファーストタッチをFXトレード最大の収益源にしているんです。
むろん、トレンドの初動段階でしか稼ぎどころがないのは寂しすぎるので、為替レートがどんどん上昇を続けている間は、直近の高値をブレイクしたら買い、という高値追いの手法も駆使することになります。