FXに興味はあるけれど、仕組みや始め方がわからないのでなかなか踏み切れないという人も多いのではないだろうか?

この記事では、初心者向けに基礎知識をわかりやすく解説する。仕組みを理解し、いくつかのポイントを押さえれば、FXは決して難しくはない。自分に合ったトレードスタイルを選べば、高いリターンを得られる可能性もあるだろう。

そもそもFXとはどんな取引か?

FX,基礎知識
(画像=PIXTA)

FXは「Foreign Exchange」の略で、日本語では「外国為替証拠金取引」という。具体的には、二国間の通貨を売買し、リターンを狙う投資方法だ。

具体例を見てみよう。

二国間の通貨を交換するときの交換レート(為替レート)は、常に変動している。例えば、1ドル=100円のときに1万円で100ドルを購入したとする。

その後円安になり、1ドル=110円になったタイミングで100ドルを日本円に換えれば、1万1,000円を受け取ることができる。つまり、為替レートの変動によって、1,000円分の利益を得たということだ。これがFXで利益を得る仕組みだ。

逆に円高となり、1ドル=90円になったタイミングで100ドルを日本円に換えれば、9,000円しか受け取ることができない。為替レートの変動によって、1,000円分損をすることになる。これがFXで損をしてしまうパターンだ。

他の投資と同じく、FXでも「安く買って高く売る」ことが利益を出す基本となる。

FXの基礎知識・3つの重要ワード

FXには、いくつかの専門用語がある。専門用語の意味がわからず、ハードルが高いと感じてしまう初心者も多い。しかし、次の3つの重要なワードを理解しておけば、FX取引で困ることは少なくなるだろう。

●スプレッド

スプレッドとは、FX取引における実質的な手数料のことだ。具体的には、買う場合と売る場合の交換レートの差のことをいう。

例えば、「米ドル/日本円」の取引で、次のように交換レートが設定されているとしよう。

日本円を米ドルに換える場合……1ドル=100円
米ドルを日本円に換える場合……1ドル=98円

このとき、1万円を米ドルに換え、即座に日本円に戻したとする。日本円を米ドルに換えた時点で、100ドルになり、米ドルを日本円に換えた時点で、9,800円になる。つまり、2,000円分損をすることになる。これがFX取引の実質的な手数料となる。

買う場合と売る場合で異なる交換レートを設定することで、FX会社は手数料を得ているのだ。スプレッドは「広い/狭い」と表現し、スプレッドが狭いほど、実質的な手数料は安くすむということになる。

●スワップ

スワップはスワップポイントと呼ばれることもある。金利の異なる通貨を保有していると、二国間の金利差の分だけ、利息を受け取れることがある。

例えば、アメリカの金利が0.25%で日本の金利が0.1%とすると、二国間の金利差は0.15%だ。FX取引で日本円を米ドルに換えた場合、0.15%分の金利差益を毎日受け取ることができる。この金利差による利益がスワップだ。

長期間通貨を保有することで、コツコツ利益を積み上げていけるのがスワップの魅力だ。日本は世界的に見ても金利水準が低いため、スワップを得られやすいという特徴がある。新興国の中には、8%など日本よりはるかに高い金利の国もある。

一方で、金利差が逆転すれば、金利差の分だけ毎日損失が発生することになる。そのため、長期保有する場合も金利には気を配っておきたい。

●レバレッジ

レバレッジとは「てこの原理」のことだ。FXでは、元手の数倍の金額を動かして投資することを指す。

例えば、10万円をもとに10万円分投資して、20%利益が出た場合、リターンは2万円だ。しかし、10万円を元手として250万円万円分投資した場合、20%利益が出ると、リターンは50万円となる。

このように、元手を証拠金として預けることで、元手の数倍の資金を投じて効率的にリターンを増やせるのがレバレッジ取引の特徴だ。日本におけるFX取引では、レバレッジの上限は25倍となっていることがほとんどだ。

FXの基礎知識・他の投資法との違い

投資にはさまざまな種類がある。他の投資方法と比較して、FXにはどんな違いがあるのだろうか?株・仮想通貨・外貨預金との違いを解説する。

●株との違い

株式投資では、企業が発行する株式を購入し、配当を得たり、売却益を狙ったりする。

株式投資では、取引時間が9時から15時までに限定されている。しかしFX投資は、平日は24時間いつでも取引できるので、日中仕事があるサラリーマンでも気軽にトレードを始めることができる。

株式投資の場合、企業が倒産すると価値がなくなるリスクがある。しかしFXなら、国が破たんしない限り、通貨の価値が失われることはない。

●仮想通貨との違い

仮想通貨とは、発行体や管理者の存在しないインターネット上の通貨のことだ。仮想通貨は日本円や米ドルなどの法定通貨と比べて値動きが激しいという特徴がある。

仮想通貨も通貨であるため、仮想通貨を用いて仮想通貨FXをすることも可能だ。ただし、仮想通貨では値動きの激しさを考慮して、レバレッジが4倍程度に抑えられていることが多い。

法定通貨の場合、二国間の金利差に応じてスワップを受け取れるが、仮想通貨では「保有しているだけで得られる利益」は設定されていない通貨がまだ多い。

●外貨預金との違い

外貨預金とは、日本円を外貨に換えて預金する投資方法のことだ。金利差と為替レートの変化によってリターンを得る点では、外貨預金とFXは共通している。

しかし外貨預金の場合、レバレッジをかけることはできない。そのため、FXのほうが少ない元手で大きなリターンを狙うことができる。

また、FXでは必ずしも「買い」からスタートする必要がない。「売り」からスタートすることも可能なので、「円高→円安」にならないと利益が出ない外貨預金と違い、「円安→円高」になりそうなタイミングでもリターンを狙うことができる。

FXの基礎知識・取引の始め方

FXを始めたいと思っても、何から手をつければいいか悩む人も多いだろう。続いて、FXの始め方を簡単に解説する。

●FX会社を選ぶ

取り扱い通貨や実質的な手数料であるスプレッド、金利差として受け取れるスワップは、FX会社によって異なる。そのため、自分の投資の目的を踏まえてFX会社を比較検討して選ぶことが大切だ。

例えば、短期売買でリターンを狙うなら、自分が保有したい通貨ペアのスプレッドが狭いFX会社がいいだろう。また、注文を成立させる力(約定力)も重視したい。長期保有でスワップを狙うなら、金利の高い国の通貨を取り扱っているFX会社が望ましい。

●口座開設

FX会社を選んだら、口座開設をする。メールアドレス、氏名、生年月日、住所、電話番号等の個人情報を入力し、本人確認書類を送る。本人確認書類を送る方法は、アップロード・郵送などいくつかの選択肢がある。

●入金してトレード開始

口座開設が完了したら、ログインして資金を入金する。チャートなどを見て通貨ペアを選び、トレードを開始する。

FXの基礎知識・トレードスタイル

FXのトレードスタイルは、トレードの時間によって主に4つに分けられる。それぞれのトレードスタイルの特徴やどんな人が向いているかを解説する。

●スキャルピンング

スキャルピンングとは、数秒から数分の短い間でリターンを狙うトレードスタイルだ。1回当たりの利幅は狭く設定し、トレード回数を積み重ねることでリターンを増やしていく。常に相場を見ておく必要があり、瞬発力や判断力が必要とされるため、初心者には難易度が高いだろう。

●デイトレード

デイトレードとは、数十分から1日の間にリターンを狙うトレードスタイルだ。夜間に通貨ペアを持ち越すことがないため、精神的な負担が小さく、初心者でも始めやすい。スキャルピングより大きめの利幅を狙うことになるため、その分トレード回数は少なくなる。

●スイングトレード

スイングトレードとは、数日の間にリターンを狙うトレードスタイルだ。デイトレードより大きめの利幅を狙い、その分トレード回数はより少なくなる。利幅が大きくなる分、損失も大きくなりやすいので、初心者は注意が必要だ。

●長期トレード

長期トレードとは、数週間から数年にわたって通貨ペアを保有し、スワップと為替差益の両方でリターンを狙うトレードスタイルだ。長期的な戦略が必要となり、初心者には難易度が高い。最も大きな利幅を狙える一方、損失も最も大きくなる。

FXの基礎知識・6つの注文方法

FXにはいくつかの注文方法がある。そのうち、基本的な6つの注文方法を紹介する。注文方法を使いこなすことで、本業に専念しながらでも少ない取引時間でリターンを得ることが可能となる。

●成行

成行(なりゆき)注文とは、リアルタイムの為替レートで注文することだ。最もわかりやすい注文方法で、今すぐ売買したいときに適している。

●指値

指値(さしね)注文とは、現在の為替レートを基準に「安くなったら買いたい/高くなったら売りたい」というときに、レートを指定して注文する方法だ。

●逆指値

逆指値(ぎゃくさしね)注文とは、現在の為替レートを基準に「高くなったら買いたい/安くなったら売りたい」というときに、レートを指定して注文する方法だ。

●IFD

IFD(イフダン)注文とは、新規注文と決済注文をセットで注文する方法だ。「〇円になったら買い、〇円になったら売る」といった一連の注文ができる。

●OCO

OCO(オーシーオー)注文とは、「〇円もしくは〇円になったら売る」というように、指値と逆指値の2通りの注文を同時に出す方法だ。

●IFO

IFO(イフダンオーシーオー)注文とは、IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法だ。「〇円になったら買う」「その後〇円もしくは〇円になったら売る」というように、条件を指定して一連の流れで注文できる。

FXの基礎知識・初心者が注意すべき点

FXは夢のある投資だが、リスクが大きく、注意しなければ大きく損をしてしまう可能性がある。初心者が最低限気をつけておきたい注意点を3つ紹介する。

●損切ラインを決める

初心者がFXで成功するには、明確な損切ラインを決めておくことが大切だ。相場が下落したにもかかわらず通貨を保有し続けていると、損失を拡大させてしまうことになる。「〇%下がったら損切する」など明確なルールを定め、自分で設定したルールに従ってトレードすることがポイントだ。

●レバレッジをかけすぎない

レバレッジをかけるほど大きなリターンを得られる可能性が高まるが、一方で大きく損をしてしまう可能性も高まる。ハイリスクハイリターンになるため、初心者のうちは、レバレッジをかけすぎないよう注意したい。

●ポジポジ病は厳禁

ポジポジ病とは、通貨を保有していないと不安になり、過剰にトレードを繰り返してしまう状態のことだ。投資で成功するためには、「待つ」ことも重要な要素。ポジポジ病に陥っていないか自分を振り返り、有利なタイミングを見計らって通貨を保有することが大切だ。

基礎知識を身につけて良いトレードを

FXは難しいと思われがちだが、基本的な知識を身につければ過度に恐れる必要はない。きちんと運用できれば、少ない元手で大きなリターンを狙える夢のある投資だ。ただし、リスクが高いことを十分認識し、「レバレッジをかけすぎない」「まずは少額からスタートする」などの基本は守るようにしよう。