(本記事は、村井 庸介氏の著書『ずらし転職 - ムリなく結果を残せる新天地の探し方』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)
仕事が辛いと感じるストレスとの向き合い方
ストレスを感じるなら仕事を辞めるべきか?
「ストレスを感じるくらいなら仕事を辞めろ」という意見もあります。特に、会社の社長などに多く聞かれる意見です。きっと自身が独立したときの経験、会社を成長させていった経験などから、このような考えになりやすいのでしょう。肉体的、精神的に追い込まれていても、自分が志した道なのでストレスを感じずに仕事をしているのかもしれません。
社員の気持ちを考えると一概にはいえず、むずかしい点もありますが、一方でこの意見は、理に適っているところもあります。ストレスを抱えながら仕事をするということは、生産性の高い行為ではありません。状況を判断する際などに、過剰にネガティブな発想をして時間がかかるなどしてしまいます。
それならば部署異動を願い出たり、転職を考えるというのも、会社と働く人お互いにとってよい選択ではないでしょうか。
どこから来るストレスなのか見定めること
ただし、次の選択肢を探すだけでなく、自分が感じているストレスがどういったタイプのものなのか、ストレスの原因はどこにあるのかということは、きちんと見極めておきましょう。
たとえば、水泳選手が「明日からアメフトをやれ」と命令されて、アメフト選手として活躍を求められることになったとします。当然ながら、「なぜ、そんなことをしなきゃいけないのか」と思うでしょう。これは、とても大きなストレスになります。しかし、水泳選手がオリンピックに向けて厳しい練習を続けることも、まったくストレスがかからないわけではありません。自分を追い込む激しいトレーニングの辛さも、ひとつのストレスになります。
一口にストレスといっても、避けるべきは前者のストレスです。後者のストレスは一流の選手の仲間入りを果たすために必要なものであり、単純に「辛い」と感じたから辞めるというのは、少しもったいないように感じますよね。
ひとつ注意したいのは、ストレスの原因について、自分で分析・判断しようとすると「あの人が嫌い」「こんな異動の判断をした会社はおかしい」といった、少し見当違いな結論に至りやすいというところです。
ストレスの原因については、業務と関係がない第三者と会話をするなどして見定めたほうがよいでしょう。たとえば「上司が嫌い」と話をしたとすると、相手は多くの場合、「どんな上司なの?」「どういうところが嫌いなの」と聞いてくるでしょう。そうすると、「私が○○の業務が苦手なことを知っているのに、その仕事ばかりを依頼してくるから」と答えるかもしれません。すると、実は上司ではなく苦手な業務があることがストレスであることがわかります。
そうした「真のストレスの原因」を見極めなければ、極端な話、苦手な○○の業務を行う別の会社に転職し、再度その仕事を依頼してくる上司のことが嫌いになり……そして辞める、といった状況にもなりかねません。
もちろん、パワハラやセクハラ、長時間労働といったことがストレスの原因であれば、その職場はすぐに辞めるべきです。
ストレスに打ち勝つためのアドバイス
ストレスを感じたときは、一度初心に戻り、その会社に入社した動機を見つめ直すとよいでしょう。
私も野村総研に在籍していた当時、上司から「資料の完成度が低い」など辛辣なことをいわれて、その修正のために深夜3時まで働いて……といったことで肉体的にストレスがたまって辛く感じることもありました。
しかし、「コンサルタントとして企業を変革したい」「最先端のテーマで、お客さまと一緒に世の中に新しいしかけを示していきたい」といった、入社時の動機に立ち返ると、このストレスは目標へのプロセスの一部だと思うことができました。自分の目標や夢、将来の展望といった、現在過ごしている日常より高い世界観の話に思いを馳せると、「乗り越えていきたい」というポジティブな気持ちが生まれ、ストレスに打ち勝つことができます。また、「これは一時的な試練だ」「この壁を乗り越えれば、いまより上の仕事ができるようになる」と視点を切り替えるのも、ストレスを乗り越えるために大切な考え方です。
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