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9月3日、第2次安倍改造内閣が発足した。そこで注目されたのは、塩崎恭久新厚生労働大臣の就任である。

塩崎厚労相は就任後の省内での記者会見で、注目のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産運用について、「リスク低減のためには分散投資が必要」であるとし、「強固なガバナンスの中で国民が安心できる運用、ガバナンス体制を作り上げていく」と語った。

またこの秋に公表が予定されている運用比率見直しについても、「国債に偏ったものを分散投資することで安全で効率的な運用に変える」と考えを述べている。

GPIF改革推進派と呼ばれる塩崎厚労相の就任によって、何が変わるのであろうか。


塩崎恭久厚生労働大臣就任の背景

塩崎厚労相は党政調会長代理と日本経済再生本部の本部長代行を務めてきており、GPIF改革推進派と呼ばれている。厚生労働相はGPIFの所管大臣です。塩崎厚労相は日本銀行出身で、経済や金融問題に強いとされている人物でもある。

塩崎厚労相は第2次安倍内閣において、GPIFの運用見直しとガバナンス改革を主張していた政府の有識者会議を党側から支えてきた。また、新株価指数であるJPX日経400の開発にも貢献している。

これまでにも講演やセミナーなどで、GPIFの投資拡大のために法改正が必要であることを主張してきた。

そのような塩崎厚労相をここにきて起用した背景には、安倍内閣がGPIF改革への意欲を示すことで、株価浮上を狙っている首相官邸の意向が見える、との見方もある。来年春の統一地方選において、首相の支持率が低下していることを避けるためにも株価浮上が必要だと考えられるからである。

実際、塩崎厚労相就任のニュースによって、日経平均は同日終値で1万5700円台と約7ヶ月ぶりの高値に浮上している。

その塩崎厚労相は就任前から、GPIFの国債への偏りを改善する、という方針では厚労省幹部と一致していたが、分散投資における責任の所在を明確にする、という部分で意見の隔たりがあった。厚労省幹部側は、法改正をしなくてもガバナンスは強化できると主張してきたのである。

これに対して塩崎厚労相が考えているのは、日銀をモデルにした合議制の組織だと言われている。理事長への権限集中を分散させ、多数の民間人を理事会に起用するというモデルである。