(本記事は、鈴木一之氏の著書『マンガでわかる投資信託入門』新星出版社の中から一部を抜粋・編集しています)
購入代金のほかにかかる費用は手数料と税金
●利益が出たら所得税がかかる
投資信託を始めると、いったい何に、いくらかかるのか──投資信託の費用と、それが少し得になる制度について見ていきます。
投資信託の購入金額のほかにかかる費用は、「手数料」と、利益が出たときの「税金」です。これら費用の額によっては、せっかくの儲けがなくなってしまうこともあるので注意が必要です。
まず手数料は、買うときと、売るときのほかに、投資信託をもっている間もかかります。各費用は左図のとおりです。
また税金(所得税と住民税)は、譲渡益や分配金などで利益が出たときにかかります。
利益がないときや、投資信託を買ったときよりも、売ったときの価値が下がって譲渡損が出た場合には、税金はかかりません。
●税金面で得する制度がある
一方、投資信託にかかる費用が得になる制度があります。「NISA」と「iDeCo」という税金面で得する制度です。
政府が、わが国でも一般の人の投資を盛んにしたいと考えてつくられた制度です。実際、これらの制度ができたおかげで、投資信託への投資はかなりお得になっています。
買うときの手数料ともっている間の費用
●買うときに払う購入時手数料
投資信託を買うときには、購入代金のほかに、販売会社に支払う手数料である「購入時手数料」(販売手数料)がかかります。
たいていは、投資信託の購入金額の何%という形で手数料がかかります。
この手数料率は目論見書に書かれていますが、高くて5%程度、プラス消費税と考えておけばよいでしょう。これは、同じ投資信託でも販売会社によって手数料率が異なる場合があります。
また、買うときの手数料が無料の投資信託もあり、「ノーロード」と呼ばれています。
●運用・管理費にあてる信託報酬
次に、投資信託をもっている間かかるのが「信託報酬」(運用管理費用ともいう)です。これは投資信託の運用・管理にかかる費用で、年率何%という形で決められています。年率は0・1%台~2%台程度(プラス消費税)で、これも目論見書でわかります。ほとんど同じ対象に投資している投資信託でも、信託報酬の年率が違う場合があるので注意しましょう。
また「監査報酬」といって、投資信託の会計などが正しく行われているかを、外部の監査法人などからチェック(監査)を受ける際にかかる費用もあります。
売るときの手数料と利益を得たときの税金
●換金時には信託財産留保額を払う
投資信託を売る(解約する、換金する)ときにかかる手数料が「信託財産留保額」です。
投資信託は、ひんぱんに売り買いされると安定した運用に支障が出るため、売るときは一種のペナルティとして、換金された額の一部を投資信託に残すことになっています。
この手数料は、売却金額の何%という形でかかりますが、投資信託によって変わるので、買う前に目論見書などで確認しておくとよいでしょう。率は一般的に0・1~0・5%程度(プラス消費税)です。
また、信託財産留保額がかからない投資信託もあります。
●利益に対して税金がかかる
譲渡益や分配金など、投資信託で得られた利益には、税金(所得税と住民税)がかかります。税率は一律で、利益に対して※20・315%です(2019年現在)。
ただし、NISAやiDeCoを利用すれば、非課税扱いになるなど税金面での優遇が受けられます。
また、投資信託で利益を得たときは、原則として確定申告が必要ですが、投資信託を売り買いする口座を「特定口座」の「源泉徴収あり」にすれば、自分で確定申告する必要はありません。
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