(本記事は、鈴木一之氏の著書『マンガでわかる投資信託入門』新星出版社の中から一部を抜粋・編集しています)

「特定口座」の「源泉徴収あり」なら確定申告は必要なし

投資信託
(画像=Casezy idea/Shutterstock.com)

●一般口座はメリットなし

投資信託を売り買いする口座には「一般口座」と「特定口座」の2種類があります。この違いは、税金の扱いです。

投資信託で利益を得た場合は、下記にあるような一定のケースを除き、原則として確定申告※が必要です。

一般口座を選んだ場合は、申告時の添付書類として税務署に用意されている「譲渡所得等の金額の計算明細書」という書類を作成し、自分で確定申告をしなければなりません。

一方、特定口座を選んだ場合は、販売会社である金融機関のほうで1年分の損益の結果をまとめた「年間取引報告書」というものを作成してくれるので、それを申告時に添付すればOKです。

また、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2タイプがあり、「源泉徴収あり」を選べば、金融機関が利益から税金を天引きして、代わりに納税してくれます。つまり、自分で確定申告する必要がありません

確定申告:税額を確定して自分で申告する制度。所得税の申告は毎年2月16日頃から3月15日頃までに行う。

確定申告が不要なケースは?
特定口座で「源泉徴収あり」を選んでいる場合以外で、原則、確定申告が不要なケースは、(1)NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA口座の場合、(2)給与などの年収が2000万円以下で、副収入が20万円以下の場合です。

3-1
(画像=『マンガでわかる投資信託入門』より)

NISAの利用には専用口座が必要

●つみたてNISAとの併用は不可

NISAは、年間120万円、5年間で最大600万円までの投資の利益が非課税なので、その範囲内なら税金の心配はありません。

この制度を利用するには、一般口座または特定口座とは別に、専用の「NISA口座」を開設します。開設の仕方は一般口座などとほぼ同じですが、税務署への申告などが行われるため、開設までに多少時間がかることがあります。

また、NISA口座と、つみたてNISA口座は併用できない(2つ同時にもつことはできない)ので、はじめにどちらかを選ばなければなりません。ただし、この2つは年ごとに(1年単位で)切り替える(変更する)ことができます。例えば、今年はNISAを利用して、翌年はつみたてに切り替えた場合、今年のNISA口座は5年間非課税で利用できます。

●iDeCo口座などは併用できる

それ以外の口座は併用できるので、必要ならNISA口座とジュニアNISA口座、一般の口座、さらにiイデコDeCo口座ももつことができます。もっとも、NISAだけでも年間120万円までの投資が非課税で行えるので、これで充分という人も多いかもしれません。まずNISA口座を開設し、必要になったら別の口座を開いてもよいでしょう。

3-2
(画像=『マンガでわかる投資信託入門』より)

買い方は2通り、「スポット」と「積立て」

●買いたいときに注文する「スポット」

投資信託は通常、開設した自分の口座を通して買います。口座にあらかじめ入金しておくと、その残高が「買付可能額」とか「買付余力」として表示されるので、その範囲内で買い注文が出せます。

投資信託の買い方には、「スポット(一括、集中)」と「積立て」の2つがあります。スポットは、自分が買おうと思ったときに注文を出す方法です。投資用の資金を投資信託の口座に入金しておき、「いまが買いどきだ」と思ったときに注文します。注文の際は、投資信託の口数(数量)か、または金額で指定します。

●定期的に買い増す「積立て」

一方、積立ては、毎月○○円ずつなど、自分で金額を決め、定期的に積み立てて、継続して同じ投資信託を買い増していく方法です。その金額や積み立てる日などを設定することが、買い注文にあたります。

引落し口座は、証券口座のほか、銀行口座などを指定できることもあります。

「毎月○日引落し、月1回の積立て」が一般的ですが、別の期間を指定したり、ボーナス月に増額することも可能です。

また、積立ては金額で指定するため、投資信託の値段の変動により、買える数量が変わってきます。

3-3
(画像=『マンガでわかる投資信託入門』より)
マンガでわかる投資信託入門
鈴木一之(すずき・かずゆき)
証券アナリスト。千葉大学卒業後、1983年、大和證券に入社。機関投資家向けの証券営業、株式トレーディングに関わる。1990年前後のバブル発生期から崩壊後まで、相場の最前線で活躍。2000年5月から(株)インフォストックスドットコム、リサーチ部チーフアナリスト。2008年1月より(株)フィスコシニアフェロー。2009年1月に独立。経済・景気の先行き、企業業績などを、的確で、わかりやすく分析・解説するアナリストとして、マーケット関係者から高い評価を得ている。BS12TwellV「マーケット・アナライズ」ほか、さまざまなメディアにも登場する人気アナリスト。日本証券アナリスト協会検定会員。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)