(本記事は、中谷彰宏氏の著書『自己肯定感が一瞬で上がる63の方法』PHP研究所の中から一部を抜粋・編集しています)

「手間がかかって、儲からないこと」は、上がる。

旅行
(画像=Twinsterphoto/Shutterstock.com)

自己肯定感を上げる要素は、

(1)めんどくさいこと
(2)儲からないこと

の2つです。

これは人間の脳のバランスです。

脳の中では、「こんなに手間がかかって、こんなに儲からないことは、きっと面白いに違いない」と感じています。

手間のかかることを喜ぶ構造が、脳の中にプログラムとしてあるのです。

たとえば、大体の神社・仏閣は山の上の不便なところにあります。

石段を登らないとたどり着けません。

駅からも遠いのです。

不便なところにある最たるものが現代美術館です。

現代美術館は、とてつもなく遠いところにあります。

土地のスペースが必要だからです。

自然の中に置きたいということもあります。

駅前にはありません。

だから、いいのです。

行くまでのプロセスで、すでに味わっているのです。

これが「行列理論」です。

プラモデルで完成形を買わないのは、つくり上げるプロセスを楽しみたいからです。

神社・仏閣の真ん前にバス停をつくると、一気に人が来なくなります。

歩かなくて済むようになると、ありがたみがなくなるのです。

参道のお店は売上げ激減です。

バス停が遠いと、帰り道にそこを通るから、モノが売れるのです。

ラクしたものは記憶に残りません。

旅行も同じです。

修学旅行は、自分では何も考えていません。

すべて決められています。

むしろ考えてはいけないし、勝手なことをしてはいけないのです。

僕は、修学旅行は枕投げの記憶しか残っていません。

枕投げでガラスを割って、畳の底の床をぶち抜いてしまったので、それをどうカモフラージュして先生にバレないようにするか、そこに一番頭を使いました。

そこでヘトヘトになって、昼間の観光バスはずっと寝ていました。

旅行では、大変だったこと、トラブルになったことを記憶します。

儲かる仕事は、印象に残りません。

意識が金額の方へ行ってしまうからです。

記憶や物語は、数字に負けてしまいます。

お金には、そういう強さがあるのです。

手間がかかりそうなこと、儲からなさそうなことをすることで、自己肯定感が上がるのです。

「儲からないこと」をしよう。

言いわけすると、下がる。言いわけしないことで、上がる。

自己肯定感を上げるためにする言いわけは、自己肯定感を下げます。

言いわけをしないことで、自己肯定感は上がるのです。

これは相手の評価ではありません。自分自身の気持ちです。

言いわけをする時は、自分自身でわかります。

どうしても言いわけをしたい時は、「言いわけします」「これ、言いわけですけど、言っていいですか」と、最初に言うことです。

話を聞く側も、相手の自己肯定感を上げてあげるために「言いわけをまず言ってみろ」と言うことです。

「それは言いわけだな。言いわけするな」と言うのはNGです。

人間は、言いわけを言うことで安心するのです。

そこから反省が始まります。

まず言いわけをしないと反省する気持ちにならないのです。

言いわけを、できるだけ短くすることです。

言いわけを言わせないと、相手はずっと言おうとし続けます。

反省の言葉を1時間言った後に、「でも、これだけ言っていいですか」と言いわけをします。

聞いている側は、「この1時間はなんだったんだ」と思います。

言いわけで自己肯定感が上がることはありません。

どうしても言いわけをしたいなら、とっとと言ってしまうことが大切なのです。

言いわけを、短くしよう。

1つのことをやり続ける。

会うたびに「今度○○を始めたんですよ」と言う人がいます。

「凄いんですよ。この話、聞きたいですか?」と言われても、僕は「いや、聞きたくない」と答えます。

何かを始めて1週間しかたっていない人の話に、深いところはないからです。

「まだ始めて30年しかやってないです」と言う人の話は、どんなことでも聞きたいです。

「折紙を30年やってるって、どういうことなの?」と、興味が湧きます。

「何か始めたんだよね?」と聞いて、「今度また別のことを始めた」と言う人は、1人カルチャーセンター状態です。

ジャンルだけが多いのです。

それでは、1つ1つのジャンルで深みに入れません。

継続するものを持たない人の話は、浅くて面白みがないのです。

「継続できるもの」を持とう。

自己肯定感が一瞬で上がる63の方法
中谷彰宏(なかたに・あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒。博報堂に入社し、8年間のCMプランナーを経て、91年に独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。人生論、ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国でワークショップ、講演活動を行う。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)