(本記事は、中谷彰宏氏の著書『自己肯定感が一瞬で上がる63の方法』PHP研究所の中から一部を抜粋・編集しています)
命令と受けとると、下がる。提案と受けとると、上がる。
「上司が命令ばかりするんです」とこぼす人がいます。
上司は「これをもっとこうしたらよくなる」という提案をしているのです。
それを「私が書いた企画書に難クセつけて、直せと命令してくる」と言うのです。この人は「命令」と「提案」の区別がついていません。
たとえば、レストランで、お店の人に「今日の料理いかがでしたか」と聞かれました。
ここで「ちょっとポーションが大きいので、ハーフサイズがあるといいな」と言うのは、明らかにクレームではありません。
ところが、これをクレームととらえる人がいるのです。
ある業界の講演で、「現状はこうなっている。ポテンシャルとして、もっとこうすれば、この業界は伸びる。この部分は大昔にとどまっていて今の時代にはそぐわないから、改善した方がいい。ここに伸びシロがたくさんある」という話をしました。
そうしたら、「中谷さんは、この業界の悪口を言った」と受け取られたのです。
これは話す側の問題ではなく、受け取る側の問題です。
命令ではなく、提案と受け取れるかどうかです。
自己肯定感の高い人は、命令も提案だと思っています。
たとえ言っている側が命令のつもりでも、聞く側は提案と思えばいいのです。
素直に聞いているのだから、差しさわりは何もないのです。
命令ではなく、提案と受けとめる。
悔しい思いの数だけ、人間として強くなる。
「悔しいことばかりなんです」と言う人がいます。
悔しいことが自己肯定感を下げるのではありません。
悔しいことの数だけ強くなります。
悔しいことをたくさん体験すればいいのです。
ありのままの自分を受け入れることは、「現状のままいていい」ということではありません。
自分のできるところまでやってみます。
自分の人生をどう生きるかは好き好きです。
「私はこれでいいんです」と言う人は、その生き方でいいのです。
昨日より今日、今日より明日、成長したいと思う人は悔しい思いがあればあるほど、強くなっていきます。
成長には、 (1)進む (2)強くなる
の2つがあります。
たとえ進んでいなくても、強くなっていることが大切です。
たとえば、失敗したり、お客様からクレームを言われたり、知らない人に話しかけることで強くなります。
現代人は、知らない人からの電話に圧倒的に弱いです。
子どもの時から、電話は知っている人しかかけてこなかったり、誰からかかってきたかがわかるからです。
会社のカスタマーセンターは、知らない人から、半ば怒り状態でかかってきます。
その電話に出るのが怖いから辞めるという人が多いのです。
悔しい思いをしたら、ポイント制で貯まったと考えればいいのです。
悔しいポイントを、貯めよう。
臨機応変とは、神様を信じることだ。
人間関係が苦手な理由は、臨機応変な対応ができないことです。
たとえば、ホテルで結婚式の宴会係は、ひたすら変更との戦いです。
結婚式は決定権者が多いのです。
新郎新婦本人の最初の打ち合わせでは、新郎のしたいことが1個ぐらいで、ほぼ新婦さんがしたいことで決まります。
今度、新郎の母が打ち合わせに来ると、「○○がないと伺ったんですけど、普通、これは結婚式ではあるものなんじゃないんですか」と、文句を言います。
その次に、新婦の母が打ち合わせに来ると、「金屛風はいらない」と言います。
新郎新婦が2回目の打ち合わせに来ると、「金屛風がなくなっているんですけど、どうなっているんですか。お願いしましたよね。お迎えとお見送りの時には金屛風がないと困ります」など、変更の嵐です。
この調整をするのが宴会係なのです。
ここで臨機応変さが求められます。
ウエディングドレスのデザイナーは、何回も打ち合わせをして選んで、サイズ合わせや仮縫いをします。
結婚式の3日前に電話が来て「やっぱり……」という言葉が一番怖いそうです。
「今から変更?今までの打ち合わせはなんだったんだろう」と思いながら、お客様の希望どおりに変更します。
これが臨機応変力です。
変えてよかったと思える人は、神様を信じています。
臨機応変は、神様が「こっちにした方がいいよ」と言ってくれている究極のことです。
その人が神様を信じているかどうかの分かれ目です
たとえば、ごはんを食べに行こうと誘って、「○○が食べたい」と言われてお店を予約しました。
当日、そのコに「今日、お昼に○○食べちゃった」と言われて、
「今日、○○食べに行くって言ってたよね」
「でも、食べちゃったから、何かほかのものがいい」
という展開になっても対応できるということです。
「007」映画にしても、トム・クルーズの映画にしても、みんな臨機応変の話を描いているのです。
予定を変更した時は、予定どおりという顔でいることが大切です。
中谷塾の遠足は、雨天決行です。
台風の日に、「台風の目で晴れたかな」というくらい直撃のところが集合場所でした。
雨がドーッと降ったと思ったら、ドーンと晴れて明るくなって、また雨がドーッと降りました。
それでも全然平気な顔で過ごしました。
どんな状況になっても、それはそれで楽しめばいいのです。
予定変更しても、「予定どおり」という顔でいよう。
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