(本記事は、中谷彰宏氏の著書『自己肯定感が一瞬で上がる63の方法』PHP研究所の中から一部を抜粋・編集しています)

命令と受けとると、下がる。提案と受けとると、上がる。

悔しい
(画像=Dragon Images/Shutterstock.com)

「上司が命令ばかりするんです」とこぼす人がいます。

上司は「これをもっとこうしたらよくなる」という提案をしているのです。

それを「私が書いた企画書に難クセつけて、直せと命令してくる」と言うのです。この人は「命令」と「提案」の区別がついていません。

たとえば、レストランで、お店の人に「今日の料理いかがでしたか」と聞かれました。

ここで「ちょっとポーションが大きいので、ハーフサイズがあるといいな」と言うのは、明らかにクレームではありません。

ところが、これをクレームととらえる人がいるのです。

ある業界の講演で、「現状はこうなっている。ポテンシャルとして、もっとこうすれば、この業界は伸びる。この部分は大昔にとどまっていて今の時代にはそぐわないから、改善した方がいい。ここに伸びシロがたくさんある」という話をしました。

そうしたら、「中谷さんは、この業界の悪口を言った」と受け取られたのです。

これは話す側の問題ではなく、受け取る側の問題です。

命令ではなく、提案と受け取れるかどうかです。

自己肯定感の高い人は、命令も提案だと思っています。

たとえ言っている側が命令のつもりでも、聞く側は提案と思えばいいのです。

素直に聞いているのだから、差しさわりは何もないのです。

命令ではなく、提案と受けとめる。

悔しい思いの数だけ、人間として強くなる。

「悔しいことばかりなんです」と言う人がいます。

悔しいことが自己肯定感を下げるのではありません。

悔しいことの数だけ強くなります。

悔しいことをたくさん体験すればいいのです。

ありのままの自分を受け入れることは、「現状のままいていい」ということではありません。

自分のできるところまでやってみます。

自分の人生をどう生きるかは好き好きです。

「私はこれでいいんです」と言う人は、その生き方でいいのです。

昨日より今日、今日より明日、成長したいと思う人は悔しい思いがあればあるほど、強くなっていきます。

成長には、
(1)進む
(2)強くなる

の2つがあります。

たとえ進んでいなくても、強くなっていることが大切です。

たとえば、失敗したり、お客様からクレームを言われたり、知らない人に話しかけることで強くなります。

現代人は、知らない人からの電話に圧倒的に弱いです。

子どもの時から、電話は知っている人しかかけてこなかったり、誰からかかってきたかがわかるからです。

会社のカスタマーセンターは、知らない人から、半ば怒り状態でかかってきます。

その電話に出るのが怖いから辞めるという人が多いのです。

悔しい思いをしたら、ポイント制で貯まったと考えればいいのです。

悔しいポイントを、貯めよう。

臨機応変とは、神様を信じることだ。

人間関係が苦手な理由は、臨機応変な対応ができないことです。

たとえば、ホテルで結婚式の宴会係は、ひたすら変更との戦いです。

結婚式は決定権者が多いのです。

新郎新婦本人の最初の打ち合わせでは、新郎のしたいことが1個ぐらいで、ほぼ新婦さんがしたいことで決まります。

今度、新郎の母が打ち合わせに来ると、「○○がないと伺ったんですけど、普通、これは結婚式ではあるものなんじゃないんですか」と、文句を言います。

その次に、新婦の母が打ち合わせに来ると、「金屛風はいらない」と言います。

新郎新婦が2回目の打ち合わせに来ると、「金屛風がなくなっているんですけど、どうなっているんですか。お願いしましたよね。お迎えとお見送りの時には金屛風がないと困ります」など、変更の嵐です。

この調整をするのが宴会係なのです。

ここで臨機応変さが求められます。

ウエディングドレスのデザイナーは、何回も打ち合わせをして選んで、サイズ合わせや仮縫いをします。

結婚式の3日前に電話が来て「やっぱり……」という言葉が一番怖いそうです。

「今から変更?今までの打ち合わせはなんだったんだろう」と思いながら、お客様の希望どおりに変更します。

これが臨機応変力です。

変えてよかったと思える人は、神様を信じています。

臨機応変は、神様が「こっちにした方がいいよ」と言ってくれている究極のことです。

その人が神様を信じているかどうかの分かれ目です

たとえば、ごはんを食べに行こうと誘って、「○○が食べたい」と言われてお店を予約しました。

当日、そのコに「今日、お昼に○○食べちゃった」と言われて、

「今日、○○食べに行くって言ってたよね」

「でも、食べちゃったから、何かほかのものがいい」

という展開になっても対応できるということです。

「007」映画にしても、トム・クルーズの映画にしても、みんな臨機応変の話を描いているのです。

予定を変更した時は、予定どおりという顔でいることが大切です。

中谷塾の遠足は、雨天決行です。

台風の日に、「台風の目で晴れたかな」というくらい直撃のところが集合場所でした。

雨がドーッと降ったと思ったら、ドーンと晴れて明るくなって、また雨がドーッと降りました。

それでも全然平気な顔で過ごしました。

どんな状況になっても、それはそれで楽しめばいいのです。

予定変更しても、「予定どおり」という顔でいよう。

自己肯定感が一瞬で上がる63の方法
中谷彰宏(なかたに・あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒。博報堂に入社し、8年間のCMプランナーを経て、91年に独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。人生論、ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国でワークショップ、講演活動を行う。

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