第3世代となる新型メルセデス・ベンツGLSがいよいよ日本で発売。まずは2車種展開で販売をスタート
メルセデス・ベンツ日本は3月23日、「GL」と名乗っていた2006年から2016年を含んで3代目となる新型メルセデス・ベンツGLSを発売した。車種展開および車両価格は、GLS400d 4MATICが1263万円、GLS580 4MATICスポーツ(ISG搭載モデル)が1669万円の設定。ユーザーへの納車は、GLS400d 4MATICが同日より、GLS580 4MATICスポーツが本年6月以降を予定している。
待望の日本デビューを果たした新型GLSは、メルセデス・ベンツ最大のラグジュアリーSUVとしての特性はそのままに、内外装デザインの刷新や最新技術および装備の採用などを行い、上質で高いプレステージ性を持つ新世代の最上級SUVに生まれ変わったことが特徴である。
まずエクステリアデザインは、メルセデス・ベンツのデザイン思想である「Sensual Purity(官能的純粋)」を具現化し、現代的なラグジュアリーSUVを表現。細かなエッジやラインを減らして面を強調するなど、本質的に重要なものだけを残す質実剛健な造形で仕立てた。各セクションを見ていこう。フロントビューは地面と垂直になる8角形の大型ラジエターグリルとそのなかに配される特徴的なデザインの2本のルーバー、クローム仕上げのアンダーガード、2本のパワードームを備えたボンネットなどでSUVとしての存在感とパワーを演出。また、片側112個のLEDとデイタイムランニングライトを組み込んだマルチビームLEDヘッドライトが印象的な顔を作り出す。サイドビューは力強い造形のピラーや滑らかなルーフライン、厚みのあるパネル類などで堅牢なSUVとしてのルックスを際立たせたことが特徴。リアビューはテールゲートからコンビネーションランプにかけての逞しい筋肉のようなショルダー部やクロームメッキ仕上げのアンダーガードなど、アスレチックなアレンジで存在感を強調した。エアロダイナミクスの改善も新型のトピック。空力特性を最適化したモールディングやドアミラー、大面積のアンダーパネルなどを組み込み、空気抵抗係数(Cd値)は先代モデルよりも0.03低い0.32(欧州仕様参考値)を実現する。ボディサイズはGLS400d 4MATICが全長5207×全幅1956×全高1823mm、GLS580 4MATICスポーツが同5213×2030×1823mmに設定。ホイールベースは3135mmと、先代モデルより60mmほど長くなった。
インテリアに関しては、ラグジュアリーでエレガントなデザインと、MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)の高度なデジタル技術を採用したことが訴求点。ダッシュボードには12.3インチワイドディスプレイと12.3インチコックピットディスプレイを装備し、これを1枚のガラスカバーで融合することで、ドアパネルまで流れるような先進的な造形を具現化する。インテリアトリムも同様に、一方のフロントドアから反対側のフロントドアまで続く水平ラインがアクセント。センターコンソールには、SUV特有の装備として大きなグラブハンドルを左右に設定した。キャビン空間については、ホイールベースの延長などによってスペース自体を広げ、同時に2列目シートに前後スライド機能を採用したことがトピック。最も後方にスライドさせれば、レッグルームが87mmも拡大する。電動調整式の40:20:40分割可倒式バックレストや左右ヘッドレスト高さ調整も内蔵した。一方、2名乗車の3列目シートは可倒機構を内蔵しながら、身長194cmの乗員まで対応する大きさを確保。専用のUSB充電ポートも装備した。
ラゲッジルームは3列目使用時で470リットル、2/3列目シートを倒すと最大2400リットルの大容量を確保する。また、トランクスルーで積み込める横幅を72mm拡大し、長尺物をより簡単に積載できるようにアレンジ。さらに、スイッチ操作によりリアの車高が約50mm下がり、いっそうスムーズに荷物の積み下ろしが行える機能も採用した。
機能性の向上もアピールポイントだ。前述のMBUXのほか、各種ヒーターおよびパフュームアトマイザー、シート設定、照明、音楽等のシステムを統合的にコントロールするエナジャイジングコンフォートやテレマティクスサービスのMercedes me connectなど、最新機能を豊富に設定した。
パワートレインに関しては、GLS400d 4MATICに最新バージョンの「OM656」2925cc直列6気筒DOHCコモンレール式直噴ディーゼルターボエンジン(330ps/700N・m)+9G-TRONIC(電子制御9速AT)を、GLS580 4MATICスポーツに改良版の「M176」3982cc・V型8気筒DOHC直噴ガソリンツインターボエンジン(489ps/700N・m)+ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター、モーター出力16kW/250N・m)/48V電気システム/リチウムイオンバッテリー(容量約1kWh)+9G-TRONIC(電子制御9速AT)を搭載する。駆動機構には、前後100:0~0:100の連続可変トルク配分を行う4WDシステムの4MATICを採用。オフロード走行用のローレンジギアを備える「Off-Roadエンジニアリングパッケージ」もオプションで用意した。
懸架機構については、「ADS PLUS(アダプティブ・ダンピング・システム プラス)」を組み込んだ高性能型のAIRMATICサスペンションを標準装備したことが特徴で、高度かつ緻密なセンサーシステムとアルゴリズムを用いて減衰特性を路面の状態や走行条件にリアルタイムで適応させる。また、GLS580 4MATICスポーツには、加減速および横方向加速でのGが発生しているとき、さらに不整路走行のときなどでハイドロニューマチック装置により車体をコントロールし、走行安定性を高める「E-ACTIVE BODY CONTROL」を標準で装備した。
安全運転支援システムであるインテリジェントドライブの機能強化も注目ポイント。レーダーセーフティパッケージ(アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック/アクティブステアリングアシスト/渋滞時緊急ブレーキ機能/アクティブレーンチェンジングアシスト/アクティブエマージェンシーストップアシスト/アクティブブレーキアシスト[歩行者、飛び出し、右折時対向車検知機能付]/緊急回避補助システム/トラフィックサインアシスト/アクティブレーンキーピングアシスト/アクティブブラインドスポットアシスト/PRE-SAFEプラス/PRE-SAFEサウンド)は高度化されたステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーの働きにより機能性がいっそう進化。また、車両前方もしくは後方1m以内に障害物があり、その方向に進むギアを選択した場合にアクセルを強く踏んでも時速2km/h以上の速度が出ず、警告音により障害物が近くにあることをドライバーに知らせるドライブアウェイアシスト、ステレオマルチパーパスカメラと4つのコントロールユニットにより理想的な配光パターンを毎秒100回の頻度で解析するマルチビームLEDヘッドライト(ウルトラハイビーム付)なども設定し、安全性を大きく向上させた。
(提供:CAR and DRIVER)