【連載 経営トップに聞く】第27回 Shopify日本カントリー・マネージャー マーク・ワング

Shopify,マーク・ワング
(画像=THE21オンライン)

誰でも簡単にネットショップを開設し、世界中に商品を販売できるプラットフォームを提供しているShopify。2004年にカナダで創業して以来、世界中でユーザーを増やし続け、175カ国、100万以上の企業をサポートしてきた。日本法人は2017年11月に設立。そのトップを務めるマーク・ワング氏に、成長の理由と今後の日本での展開について話を聞いた。

ごく小さな企業のニーズを見つけて成長

――Shopifyは創業から約15年で世界中に展開しています。成長の要因はなんでしょうか?

ワング Shopifyは、本社CEOのトビー・リュトケが自分のために作ったサービスからスタートしています。スノーボードを売るためにネットショップを開設しようと、支援してくれるサービスを探したのですが、既存のものはどれも複雑でコストも高かった。しかも、既にビジネスを始めている人が利用するもので、これからビジネスを始めようとする人のためのサービスではありませんでした。そこで、ごく小さな規模からビジネスを立ち上げていこうとする人たちのために、Shopifyを始めたのです。

当時は、小規模な事業者によるネットショップ開設を支援するサービスが存在しなかったわけですから、その市場も存在しなかったのですが、実際にはニーズがありました。それを捉えられたことが、大きく成長できた要因です。今では175カ国、100万店舗以上のネットショップで我々のプラットフォームを使っていただいています。

また、我々は、ベストな価格で、ベストなプロダクトやソリューションを提供することに注力し、常に改善を続けてきました。AmazonやFacebook、Instagram、eBayなどと連携し、マルチチャンネルでの展開を可能にしたのも、我々が最初です。

我々はプロダクト・ドリブンな成長、つまり、プロダクトを中心とした成長を遂げてきたと言えると思います。魅力的なプロダクトを作り、それを手の届きやすい価格で届けることで、成長してきたのです。

――実際にShopifyを使っているのはどんな人たちで、どんなものが多く売られているのですか?

ワング その質問に答えるのは難しいですね。あらゆる人たちが、あらゆるものを販売していますから。1ドルの商品を売る小規模なネットショップもあれば、ユニリーバやP&G、バドワイザー、レッドブルのように大きな企業やブランドにも使っていただいています。

販売されている商品のジャンルとして一番多いのはファッションですが、家庭用電化製品も、スマホのアクセサリーも、食品や飲料も、ありとあらゆるものが販売されています。

――Shopifyの登場によって、小規模な事業者がネットショップを開設したいというニーズが顕在化し、市場ができたということですが、すると他社も参入して、競争が起こると思います。その中でも成長し続けられている理由はなんでしょうか?

ワング 競合他社はそれほど意識していません。もちろん動向を見てはいますし、お客様が選べるオプションが増えることになるので競争は良いことだと思いますが、我々はより良いプロダクトを作り続けるだけです。競合他社によって、我々が進む道を変えることはありません。

そのうえでいくつか理由を挙げると、まず、店舗が第一だという信念です。店舗を運営する方々が成功するために経営資源を投入してきたことが大きいと思います。

もう一つは、非常に小さな企業にフォーカスしてきたことです。大きな企業にも利用していただいていることに気がついたのは2013年頃で、その段階で、小規模な企業のために構築してきた我々のプラットフォームが、結果的に、大企業にとっても有効なものになっているという確信を得ました。どんな規模の企業にも使っていただけることも、成長の要因です。