(本記事は、のらえもん氏の著書『絶対に満足するマンション購入術 不動産のプロ達は大事なことを隠している!』廣済堂出版の中から一部を抜粋・編集しています)
購入後の選択肢の豊富さから逆算したマンションという選択
この本では、住宅購入に関して「マンション」という選択肢を取り上げます。
戸建て住宅を否定したいわけではなく、何に重きを置くのかの違いです。ルール(1)の経済的条件を満たすような戸建て住宅の選択が私には難しく、自然とマンションという選択になりました。
戸建てに対するマンション最大の利点、それは購入後の売却や、転勤があった場合の賃貸出しが戸建てより、やりやすいということです。それは購入後の選択肢の豊富さにつながります。
人生は選択と決断の連続です。自分を分析してみると、今の行動によって、その後の選択肢がなるべく狭まらない方向に進みたいという志向を持っています。
人生には転機となるイベントが待っています。「結婚・出産」「子供の進学」「転勤辞令」「親の病気と介護」……。こうしたイベントで、なるべく自分の選択肢を多いまま保っておきたいのです。
移動の自由を最も重視するなら、賃貸を選択し続けるのが最適戦略なはずです。
しかし、私にとって人生は単純な足し算・引き算ではなく、多項式であります。「移動の自由」は最も価値を置くべきところではありません。現実的に負担できる範囲内で、毎日、自分と家族が過ごす場所がより快適な場所であることが重要です。
賃貸用として設計された住宅は、オーナーにとっての経済性が優先されています。私が結婚後に借りた住まいは、借り手にとって良好なクオリティとは言い難い物件でした。かといって、何も考えずに購入して、将来の残債割れが確実な分譲マンションをつかんでしまうと、将来の自分の足を重く引っ張ることになります。
この時点で私が自分に課したルール(1)が生まれます。
・ローン残債が減るスピードより価値の目減りが遅い物件を選べばよい
・ローン残債と物件現在価値の差が貯金になる
というシンプルな結論です。これは私が在籍していた会社が国内、海外含めて転勤辞令がありえるところだった、ということにも関係しています。
戸建てに比べ、マンションが有利な点は次の3つです。
・マンションが建つ場所は、その区画に戸建てを建てるより、コンクリートで上空に居住空間を集積したほうが経済的に有利な場所(=利便性が高い場所)である。同じ値段ならマンションのほうが、立地の面で戸建てを上回る
・土地の持ち分が戸建てより低く、建物にコストがかかっている。大規模マンションなら数百というユニットを大量生産するため、内装や断熱など快適に住むための設備を実現するためのコストはマンション側に有利となる
・マンションは規格化が進んでおり、購入後に賃貸に出す場合も、売却する場合も有利である
私は以上のことから早い段階で戸建てを見切り、マンション購入の検討に入りました。
戸建てに未練がなかったわけではありません。広い庭でのガーデニング、地下室でのホームシアター、自由設計の注文住宅……こうした誘惑を振り切って、自分と家族の優先順位と資産価値が最大公約数で当てはまるマンションを探すための、楽しい旅が始まったのです。
購入と賃貸は金利3%で有利不利がバランスするように設計されている
購入と賃貸の比較は、永遠のテーマであるかもしれません。
たびたび雑誌やネットで話題になる「購入と賃貸どっちが有利?」というテーマで、それぞれを比較をしたシミュレーション表を見たことがあるでしょうか。
実は50年くらいのスパンで見るとどっちもどっちという試算になります。このような試算をするとき、たいてい金利は3%程度の全期間固定で比較されます。住宅ローンが8%の時代も5%の時代もありましたが、長期的に平均化したときに、3%くらいの金利を見ておけばイーブンだろうという判断でしょう。
しかし日銀の量的・質的金融緩和による政策によって現状、35年固定のフラット35は2%を大きく下回る金利をつけています。今借りるのなら3%ではなく直近1、2年の平均値で計算し直すべきです。
住宅ローン金利は、国債金利と日銀の政策姿勢におおむね連動します。たとえば、執筆時点2020年2月現在、全期間固定でない「10年固定」だと1%以下で借りられます。これは歴史的に見ると異常ともいえる金利水準です。
どこかの時点でこの金利は大きく上昇するという意見、金利は大きく上がらないという意見、どちらもありますが、世の中はまだ「金利3%の試算で購入」と「賃貸」がニアリーイコールになるように設計されています。となると、低金利のうちに住宅ローンを借りたほうが「得」という計算になります。
住宅ローンは、人生の時間のなかで利用できるタイミングが限られている商品です。
メインターゲットは25~40歳までの間、40歳を超えると、35年ローンを組むのが難しくなってきます。しかし、新築マンションは35年の住宅ローン返済が前提で価格が設定されていますから、短いローンで設定すると、賃貸より割高に見えることが多くなります。
ご自身で事業をされている方ならわかると思いますが、借り入れはできるだけ長期、かつ金利を安くするのが原則です。また、住宅ローンは税制的に搾取対象であるサラリーマンに対して、極めて有利な金融商品です。執筆時点なら住宅ローン減税も使うことができます。
一方で、個人事業主や零細企業社長は、銀行から住宅ローンを借りようとしてもなかなか借りることができません。住宅ローンは、会社員の毎月入る給料を信用に入れた金融商品なのです。
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