「誰にも負けない」と言える分野を一つずつ積み重ねる

心が折れない仕事術,清明祐子
(画像=THE21オンライン)

弱冠41歳で、マネックス証券の社長に就任し、大手ネット証券初の女性社長となった清明祐子氏。その華麗なる出世とは裏腹に、一社員時代は叱られたことも、営業先で苦労したこともあったという。あと一歩の粘りを可能にする心が折れない仕事術をうかがった。(取材・構成 長谷川 敦)

「苦手な人」にはあえて自分から話しかけてみる

マネックス証券と言えば、カリスマ経営者の松本大氏が創業した会社として知られている。今年4月、その松本氏のあとを継いで社長に就任したのが清明祐子氏だ。

41歳という若さでの社長就任。しかも国内インターネット専業証券会社初の女性社長であることも話題になった。この若さで社長に抜擢されたということは、「きっと若手社員の頃からとても優秀で、上司から叱られて落ち込むなんて経験もあまりなかったかも」などと思いつつ、清明氏に話をうかがってみると……。

「いえいえ。私は大学卒業後、都市銀行に就職したのですが、若手の頃は失敗の連続でした。当時所属していた部署の上司はとても厳しい人で、ことあるごとに叱られていました。叱られると当然へこみます。

書類を作成して提出しても、いつもダメ出しをされて突き返されるので、書類を出すのが怖くなってしまったことがありました。飲み会の場で、同じ職場の先輩に相談したところ、こんなふうに言われたんです。

『そんなに落ち込むことはないよ。だって上司というのは、部下に指摘をするのが仕事だからね』と。『ああ、確かにそうだな』と思いました。上司だって、別に好きで私のことを叱っているわけではなくて、それが役割だから叱っているんだなって。

そこでその日から、発想を思い切って転換することにしました。叱られたときに『イヤだな』と思うのではなく、『私の成長のために叱ってくれるなんて、ありがたい』と思うようにしようと。

もちろん本当はイヤなんですが、無理にでもそう思うようにしたんです。叱られてもへこたれず、自分のほうから上司に質問に行くようにしました。すると上司も、『またかよ』という顔をしながらでも教えてくれますし、次第に信頼関係もできあがっていきました。

これはとても大きな経験でした。職場の中に『なんだか苦手だな』という人がいたときに、その人のことをネガティブに捉えてしまうと、どんどん負のスパイラルに陥って、毎日職場に出勤するのがつらくなっていきます。

でも苦手な人やイヤな出来事についてもポジティブに捉えれば、状況をプラスに変えることが可能です。『結局は自分の心の持ちようが状況を決める』ということを学びました」