期待値の低さは逆に大きなチャンスになる

その頃の清明氏は、「若手」の「女性」という業界内では少数派だった立ち位置によって、取引先との関係にも苦労した。

「私が最初に配属になったのは法人営業の部署でした。あるとき担当を持たせてもらうことになり、お客様のところに挨拶にうかがったところ、『次の担当は女なのか』と言ってきた方が何人かいたんですね。当然イヤな気持ちになりましたし、ひるみそうにもなりました。

でも『女性に期待していないお客様ほど、こちらがちょっと頑張りを見せれば、一気にイメージをプラスに変えることができるはずだ』と自分に言い聞かせ、毎日のように通うようにしました。

すると何度もお会いするうちに、私に対する相手の態度や表情が徐々に好意的なものに変わっていったんです。

このとき感じた『どんな相手でも、その人のことを大事に思って接していけば、最後には受け入れてもらえる』という確信は、今でも人と向き合うときの心の支えになっています」