倒産寸前からⅤ字回復を遂げた経営者の思考法
社長就任前は26年間赤字続きで、倒産寸前だっを鍛える方法を教た会社を立て直し、26年間連続黒字を達成した近藤宣之氏。様々な理不尽な出来事に襲われるが、そのたびに強いメンタルで打ち勝ってきた。最近起きた大事件をもとに、メンタルを鍛える方法を教えていただいた。(取材・構成「THE 21」編集部)
襲いかかる数々の理不尽
「日本レーザー」は、最先端の研究用レーダーや計測器などを購入、販売するレーザー専門の輸入商社だ。現在会長を務める近藤宣之氏は、それまで26年間赤字だったこの会社を社長就任1年目で黒字化。以後、26年連続で黒字に導いた。
その途上、近藤氏には「海外メーカーからメール一本で契約を打ち切られる」「右腕だった役員の裏切りで売上げ2割ダウン」「双子の息子の急死」など、理不尽な出来事が数多く襲いかかったが、それらに打ち勝って きた。
一体、どのようなメンタルで、理不尽な出来事を乗り越えてきたのだろうか。
「まず、どんな理不尽なことが起こっても、それは『必要であり、必然であり、自分の成長に必ずプラスになる』と信じること、これに尽きます。
ちょうど今年起こったことですが、実は取引先であるフランスの会社のメールサーバーが、国際的な詐欺集団に乗っ取られてしまいました。そして、日本レーザーから振り込んだ大金が、盗まれてしまったのです。
その額、4300万円。2018年の自社の税引後純利益が約6500万円でしたから、その3分の2に当たる金額を一瞬にして失ってしまったのです」
会社にとって、かなりの痛手であるが、失敗した責任者を追及しなかったのか。
「失敗をした事業部長が報告に来たとき、一切叱ることも、左遷も降格もしませんでした。なぜなら、失敗した当人が一番反省し、次に生かそうとしているから。そして、どんな事情があろうとも彼に任せた責任はすべて私にあると考えたからです」