「柔軟な菜食主義者」という意味の「フレキシタリアン」が増えています。菜食主義にこだわらず、肉を食べることも我慢しないという柔軟なベジタリアンの増加は、飲食店のメニュー開発にも影響を与えています。今、なぜフレキシタリアンが増えているのでしょうか。
フレキシタリアンが増えている
フレキシタリアンとは、フレキシブル(柔軟性のあるさま)とベジタリアン(菜食主義者)を合わせた造語です。フレキシタリアンは、自宅では菜食メニューを基本にした食生活を送りつつも、外食では肉や寿司も食べるという柔軟な考え方を持っています。
菜食主義者が多いと言われる米国を中心にフレキシタリアンが増えており、今後日本でも増えていく可能性があります。フレキシタリアンと他の菜食主義者には、どのような違いがあるのでしょうか。
菜食主義者の呼び方はいろいろ
菜食主義者には、いろいろな呼び方があります。ビーガンは最も徹底した菜食主義者で、肉類・魚介類・卵・乳製品・ラードなどの動物由来の食品を一切食べない人です。別名ピュアベジタリアンとも呼ばれます。
これに対して、オボベジタリアンは植物性食品と卵を食べ、ラクトベジタリアンは植物性食品と乳製品を食べるので、ビーガンよりは少し緩い菜食主義者です。フレキシタリアンはこれらに加え、肉を食べることも我慢しないので、新しい菜食主義者と言えます。
フレキシタリアンが飲食店に与える影響は?
ベジタリアンの存在は、飲食店にも影響を与えています。専門情報サイト「Vegewel」を運営するFrembassyの推計調査によると、2019年の訪日外国人3,188万人の5.7%にあたる182万人がベジタリアンであるとされています。これだけのベジタリアンがいれば、飲食店もメニュー構成を考え直す必要があるでしょう。
実際に「Vegewel」で紹介されているレストランを検索すると、多国籍料理の店はもちろんのこと、カフェでも「ビーガンメニューあり」「ベジタリアンメニューあり」と表示されています。あるカフェでは、ベジタブルプレートの中に動物性食材が入っていた場合、ビーガン向けに食材を変更して対応しています。
このように飲食店も苦労しているベジタリアン対応ですが、その中で注目されているのが大手ハンバーガーチェーンのモスバーガーが開発した「ソイパティ」です。ソイパティは肉を使用せず、大豆由来の植物性たんぱくから作られており、余計な脂肪を抑えられるため、ヘルシー食材としても注目されています。
ソイパティの普及のカギを握るのは、フレキシタリアンでしょう。フレキシタリアンが増えて、菜食主義者でもハンバーガーを食べるようになれば、他のベジタリアンの動向にも影響を与えるかもしれません。
菜食主義者は世界的に増加のトレンド
現在、菜食主義者は世界的に増えています。ビーガン専門情報サイトの「Tokyo Vegan」によると、米国のビーガン人口は2009年の1%から2017年には6%まで増加し、人口は2,000万人に上ります。ドイツでも人口の10%がビーガンまたはベジタリアンと言われており、欧米を中心とした菜食主義者の増加は世界的トレンドになっています。
糖尿病などを避けるための食生活の見直しや環境への配慮から、肉食を控える流れは今後加速する可能性があります。しかしビーガンやベジタリアンは、どうしても外食時のメニューが制限されてしまいます。
一方、フレキシタリアンは外食では肉や魚も食べるので、「健康のために菜食主義を目指したいが、他の食材も柔軟に取り入れたい」人にとっては選びやすいスタイルと言えるでしょう。完全な菜食主義者が増えると、経営が成り立たない飲食店も出てくることが予想されます。フレキシタリアンが増えていることは、飲食業界にとっては歓迎すべき傾向と言えるでしょう。 (提供:ビルオーナーズアイ)
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