(本記事は、横山光昭氏の著書『ゼロからわかる!フリーランス、自営業のためのお金の超基本』=アスコム、2020年4月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
つみたてNISAの特徴・メリットとは?
- つみたてNISAは、国民が投資によって自分自身で老後の資金を準備できるようにするため、国が作った制度であり、つみたてNISAを利用して得られた利益には税金がかかりません。非常におトクな制度なので、使わないとむしろ損です。
つみたてNISAの口座で500万円の利益が出ると…
税金が取られないから、手元に残るのは500万円。つまり、100万円得する!
通常の口座で500万円の利益が出ると…
100万円を税金にとられ、手元に残るのは400万円のみ。
この本で私がおすすめする投資方法は、非常にシンプルです。
ネット証券(楽天証券かSBI証券)の口座を開き、
つみたてNISAで、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」(楽天VT)という投資信託を買う。
ただ、それだけです。
月々、いくらずつ投資にまわすかは、みなさんのご判断にお任せします。
生活費1年分以上の貯金があり、小規模企業共済の掛金を払い、さらに余裕がある人であれば、つみたてNISAでは年間40万円まで投資信託を買うことができますから、月々約3万3000円分ずつ、楽天VTを買ってもよいでしょう。
しかし、貯金の額が十分でない人、あまり余裕がなくて、小規模企業共済の掛金もさほど払えないという人であれば、月々1000円でも3000円でも、無理のない範囲でかまいませんから、とにかく投資を始めてみましょう。
さて、冒頭でいきなり、「やるべきこと」「買うべきもの」をお伝えしてしまいましたが、おそらくみなさんの中には、「つみたてNISAって何?」「楽天VTって何?」「そもそも、ネット証券の口座って、どうやって開けばいいの?」と思った人もいるでしょう。
そのため、ここでは「つみたてNISA」について、簡単に説明しておきたいと思います(口座の開き方については249ページ、楽天VTについては202ページ以降で説明します)。
すでにお話ししたように、つみたてNISAは「国民が直接投資をしながら、時間をかけて自分の資産を作ることができる」ことを目的として、2018年1月にスタートした制度であり、次のような特徴・メリットがあります。
- つみたてNISAの口座では、金融庁が認めた、一定の条件を満たす投資信託の積立購入しかできない
- つみたてNISA専用の口座で、積立で投資信託を買った場合、それによって得られた利益には20年間、税金がかからない
- 非課税投資枠は年間40万円である
ちなみに投資信託とは、「投資家から集めたお金(ファンド)を、投資のプロであるファンドマネジャーが運用し、その成果に応じて、収益を投資家に分配する」というものです。
投資家が、ファンドマネジャーを信頼して運用を託すから「投資信託」と呼ばれているわけです。
ファンドマネジャーは、たくさんの投資家から集まった膨大(ぼうだい)なお金で、日本中もしくは世界中の企業などの株式や債券を買い、運用します。
つまり投資信託は、複数の銘柄の株式や債券などの詰め合わせパックのようなものであり、「投資家が、少ない資金で、複数の企業などに分散投資できる」という大きなメリットがあります。
「投資」と聞くと、多くの人は「株式(個別株)を買うこと」を連想されるのではないかと思います。
株式には、一株100円や200円で買えるものもありますが、いわゆる一流企業の株式になると、数千円、数万円のものが多く、最低取引株数(単元株)は、100株からと決まっています。
たとえば、一株4000円の会社の株式を100株買うためには、最低でも40万円の資金が必要となるわけです。
また、株式への投資で損をするリスクをおさえるためには、複数の銘柄の株式を買う必要があります。
一つの銘柄の株式だけしか持っていないと、その会社の株価が暴落したとき、大きな損失が発生してしまうからです。
複数の銘柄を持っていれば、たとえある会社の株式で損失が出ても、別の会社の株式で利益が上がれば、損失を減らす、もしくは利益を出すことができますが、そのためにはさらに多くの資金が必要になりますし、「どのような銘柄を組み合わせたらよいか」といった勉強や研究も必要となります。
ところが、投資信託なら、一つの商品を買うだけで、簡単に分散投資ができてしまいます。
投資先はファンドマネジャーが考えてくれるので、投資家が頭を悩ませる必要はありません。
加えて、投資信託を月1回、決まった日に積立で購入すれば、買うタイミングによって損をするリスクも分散できます。
このように、安く、簡単に分散投資ができ、失敗する可能性が少ないため、投資信託は初心者にも優しく、手を出しやすい商品であるといえるでしょう。
ただ、投資信託にも、ローリスク・ローリターンの堅実なものから、ハイリスク・ハイリターンのものまでさまざまな商品があり、中には「高利回り」などの甘い言葉で購入者の興味を引きつつ、結局は販売している金融会社のみが儲(もう)かるような、ひどいものもあります。
その点、つみたてNISAで買えるのは、金融庁が認めた商品ばかりであり、安全性・信頼性はかなり高いといえます。
そして、つみたてNISAの口座では、20年間に、最大で800万円分の投資信託を積立で買うことができます。
前述した、月の積立上限額の約3万3000円を、仮に5%の利回りで運用したとすると、20年後に得られる利益は570万円前後です。
通常の口座(課税口座)なら約20%の税金(約114万円)が引かれますが、つみたてNISAの口座なら全額免除されるのです。
通常の口座なら、450万円程度になってしまう手取りの利益が、つみたてNISAの口座なら570万円まるまる手に入る。
この差は大きいと思いませんか?
非課税メリットを活かして利益を最大化するためには長期運用が必要
さらに、つみたてNISA口座で買った投資信託は、いつでも解約して現金に換えることができます。
万が一、まとまった現金が必要になった場合は、銀行などへの預金同様、「おろす」ことも可能なのです。
もっとも、一度投資信託を買ったら、その分の非課税投資枠は、たとえ途中で解約しても復活しません。
20年かけて800万円分の投資信託を買ったとしても、途中で200万円分を解約してしまうと、最終的に非課税メリットを受けられるのは600万円分だけとなります。
184ページの表を見ていただければわかるように、投資は時間が経てば経つほど、複利効果(219ページ参照)によって、どんどん利益が大きくなりますから、つみたてNISAの非課税メリットを最大限に活かし、得られる利益を最大化するためには、途中で解約せず、長期運用する必要があります。
ですから、つみたてNISAで投資信託を買う場合には、できるだけ、当分使う予定のない余剰資金で購入するようにしましょう。
なお、つみたてNISAの口座を持つためには、ネット証券の口座(総合取引口座)を開く際に、手続きを行う必要があります。
「NISAもしくはつみたてNISAの口座を作るかどうか」を確認されるので、「つみたてNISA」を選びましょう。
NISAの口座とつみたてNISAの口座は、まったく別ものであり、同時に両方持つことはできないので、誤ってNISAの口座を選ばないよう注意してください。
いずれかの証券会社に、すでに総合取引口座を持っている方は、ネットもしくは店頭で、新たにつみたてNISA口座の開設を申し込みましょう。
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