(本記事は、横山光昭氏の著書『ゼロからわかる!フリーランス、自営業のためのお金の超基本』=アスコム、2020年4月18日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
フリーランス、自営業の人はパワーハラスメントの被害に遭いやすい
- 収入が減ると、不安から、ついどんな仕事でも受けてしまいがち。でもそのために、クライアントからのパワハラに遭うおそれもあります。「質の悪い仕事」をきちんと断るためにも、ふだんから、いざというときのための資金を準備しておきましょう。
いざというときの資金があると…
お金にも気持ちにも余裕があるため、クライアントからのハラスメントに、きちんと対抗することができる。
いざというときの資金がないと…
クライアントからハラスメントを受けても、お金に余裕がないため、強く断ることができない。
会社によって守られていないフリーランス、自営業の人は、あらゆる場面において、どうしても弱い立場に立たされることが多くなります。
ふだんから、ギャラ交渉などにおいて、どうしても強く出られなかったり、ついつい無理な要求を聞いてしまったり、といった人は少なくないと思いますが、フリーランス、自営業の人は、どうしてもクライアントからのパワーハラスメントの被害に遭(あ)いやすい傾向があります。
それが特に顕著(けんちょ)になるのが、本人の加齢や不況などにより、仕事が減ってしまったときです。
仕事が少なくなると、人はどうしても生活のことが心配になり、普段なら断るような相手の仕事や、条件のよくない仕事でも、ついつい引き受けてしまったりするからです。
しかしそのような状態に陥っても、
できるだけ自分の身を守るための手段をとるよう心がけましょう。
「少しでもお金が欲しいから」「生活が心配だから」と、やたらと仕事を入れ、ストレスを抱えたり睡眠を削ったりした挙句、心身の健康を崩してしまっては、元も子もありません。
自分の身は自分で守るための手段をとる
まず、初めてのクライアントや、お金に関してあまりいい噂を聞かない相手から仕事の依頼がきたときは、やりとりが形として残るよう、必ずメールで金額を明示してもらいましょう。
それを嫌がるような相手の仕事を受けると、金銭的なトラブルが起きたり、ハラスメントに遭ったりする可能性が高くなります。
フリーランス、自営業の立場の弱さ、経済的な困難さを理解している人なら、最初からきちんと、ギャラを提示してくれるはずです。
また、もし仕事をしている間に担当者との間で問題が起きたら、担当者本人ではなく、相手が所属している会社の上司や、しかるべき部署と交渉しましょう。
「そんなことをしたら、その会社との関係が切れてしまうのではないか」と不安になるかもしれませんが、ちゃんとした会社であれば、事実関係をしっかり確認し、もしあなたではなく、担当者の方に問題があるとわかれば、適切な対応をとってくれるはずです。
逆に、あなたの方が一方的に切られるようであれば、その会社自体がパワハラ体質であると考えてもいいかもしれません。
そして、どうしても気の進まない相手からの仕事を勇気をもって断れるようにするためにも、ふだんからきちんとお金を管理し、いざというときに頼れるお金を確保しておくことは、とても大事です。
2019年5月に「改正労働施策総合推進法」(パワハラ防止法)が成立し、労働者を保護するための措置義務が事業者に課されましたが、フリーランス、自営業など雇用されていない人については法律に規定がなく、防止の配慮や措置の責任者が存在していません。
ですから、フリーランス、自営業の人は、何があっても冷静な判断を下し、ある程度余裕を持って対処できるよう、あらゆる点で自衛の手段を講じておきましょう。
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