新型コロナウィルス感染の影響を受けた中小企業や個人事業主に対し、数々の支援制度が立ち上げられています。ここではその中からビルオーナーやテナントにとって特に重要な新型コロナウィルス関連の支援制度である「家賃支援制度」「持続化給付金」「雇用調整助成金」などのポイントを解説します。

家賃支援制度:国だけでなく自治体の支援も要チェック

住宅取得等資金贈与,住宅ローン控除,併用
(画像=Zanariah Salam/Shutterstock.com)

テナントへの家賃支援制度はビルオーナーにとっても影響大です。この制度をテナントが利用できれば、オーナーにとって当面の間は家賃滞納リスクが抑えやすくなります。テナントの家賃支援制度は「2020年度第2次補正予算案」に盛り込まれ2020年5月27日の閣議をめどに国会の会期内(2020年6月17日まで)に成立する見込みです。

内容的には「大幅に減収となったテナントに家賃の3分の2を助成する」というもので月額上限は中堅・中小企業が50万円、個人事業主25万円で最終調整されています。家賃支援制度は国のものに目が行きがちですが都道府県レベルでの支援も動き始めています。

例えば大阪府では、2020年4月の売上が「前年同月比で50%以上減少」した中小企業(2事業所以上100万円、1事業所以上50万円)や個人事業主(2事業所以上50万円、1事業所以上25万円)に対して支給されます。

同様に福岡市や神戸市などでも家賃支援制度がスタートしています。家賃支援制度の情報を収集するオーナーは、対象の自治体が独自の家賃支援制度を行っていたり検討していたりしないかチェックしてみましょう。

持続化給付金:不動産収入は対象外!「調整すべき」の声も

持続化給付金は申請が殺到しておりメディアへの露出も高いため認知度は高めです。こちらも「売上が前年同月比で50%以上減少」した事業者が対象で中小企業なら最大200万円、個人事業主なら最大100万円が支給されます。持続化給付金は、「幅広い業種が対象になっている」「オンラインで比較的スムーズに申請できる」といったことから使い勝手のよい制度です。

そのためテナントが家賃を払えない状況に追い込まれた場合には、持続化給付金の申請を提案するのも一案でしょう。ただしビルオーナー自身が持続化給付金を申請する場合は注意点があります。なぜなら持続化給付金の対象になるのは事業収入だけであり不動産収入や給与収入、雑所得などは含まれないからです。

例えば個人事業主のオーナーの不動産収入が50%以上減少しても持続化給付金の対象にはなりません。一方、同じ家賃収入を得ているオーナーでも法人化していて事業収入として申告している場合は対象になります。

※ただし不動産収入などが持続化給付金の対象にならないことについては、2020年5月13日時点で参院財政金融委員会などで与党議員からも疑問の声が挙がっています。そのため今後変更になる可能性もあります。

雇用調整助成金 ブラッシュアップされ使い勝手のよい制度に?

中小企業の従業員の賃金を国がカバーしてくれる雇用調整助成金は、オーナー自身もテナントも使える制度です。ただ新型コロナウィルス感染拡大が広がるなか「手続きが複雑」「申請から支給までの期間が長すぎる」「支給額が低すぎる」などの声も少なくありません。そのため申請をためらってしまうケースもあります。

実際に新型コロナ拡大が広がった2020年2月中旬~5月中旬の間の支給決定件数は5,666件とかなり低い数字です。この状況を変えるため、厚生労働省では月額賃金の8割程度(上限33万円程度)を直接給付する方針を打ち出しました。あわせて雇用調整助成金そのものも1日あたりの助成上限を「8,330円から1万5,000円へ引き上げる」という内容が第2次補正予算案に盛り込まれました。

2020年5月20日からはオンラインによる申請も開始し、複雑な手続き申請についても簡略化するブラッシュアップも行われています。そのため「雇用調整助成金は使えない制度」と思い込まれているオーナーは、再度最新情報をチェックするのが賢明です。

固定資産税減免 オーナーの建物・設備の固定資産税が最大全額免除

オーナーが利用できる新型コロナウィルス関連の支援制度には、事業用の家屋および設備などに対する固定資産税(都市計画税含む)の減免もあります。対象になるのは2020年2~10月までのうち連続する3ヵ月間の事業収入が前年比よりも減少している中小企業や自営業者です。50%以上減少の場合は固定資産税が全額免除、30%以上50%未満の場合は2分の1免除になります。

国、都道府県、市町村それぞれの制度をしっかりチェック

中小企業や自営業者向けの新型コロナウィルス関連の支援制度は数多くあります。例えば持続化給付金は国のものだけではなく同様のものが自治体レベルでも利用できたり、協力金という名目で都道府県が支給したりするものなどさまざまです。支援制度を上手に活用するため、国・都道府県・市町村がそれぞれ行っている支援制度に幅広くアンテナを張っておきましょう。

新型コロナウィルスによる影響下では、支援策が大きく変更されたり対象が拡充したりすることもあるため、定期的に最新情報の収集をすることが重要です。(提供:ビルオーナーズアイ


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