ニューヨークでは7月6日から予定されていた飲食店の店内営業の再開が先送りとなった。新型コロナ対策で制限していた経済活動は徐々に解除されてはいるが「コロナ前」の活気からはほど遠い。前回のコラム『働かなくても生活に困らない?』で紹介したように、職場復帰するよりも失業しているほうが所得が増える逆転現象に加え、観光客の不在も影響しているようだ。美術館や劇場、映画館等は閉鎖したままだが、たとえ再開しても客足が戻るかは不透明と言わざるを得ない。

新型コロナはニューヨークでの感染者数が減少する一方で、南部や西部では増加傾向にある。6月30日にはニューヨーク、ニュージャージー、コネチカットの3州が新たに南部と中西部の8州からの旅行者に対し「14日間の隔離」を義務付けると発表した。隔離対象はカリフォルニア、フロリダ、テキサスを含む16州に拡大している。米国内でさえこのような状態なので、海外からの観光客に至ってはいつ戻るのか全く見当がつかない。すでにブロードウェイではミュージカルの公演を年内中止とする決断が下されている。

7月を迎えてもマンハッタンの中心部は寂しい状況が続いている。筆者の住むマンションでは少なからぬ住人が郊外の別荘などに疎開したままだ。かつては住宅バブルに沸いたマンハッタンであるが、多くの人が在宅勤務となる中「あえてマンハッタンに住み続けるメリットがあるのか?」自問自答すべき局面を迎えているのかも知れない。

Withコロナ時代は「郊外の一戸建て」に回帰?

米国,不動産
(画像=K&FVideo / pixta, ZUU online)

新型コロナ危機で、労働者の多くが在宅勤務を余儀なくされた。在宅勤務が恒久化するのかどうかは現時点では不明だが、Withコロナ時代を迎えて米住宅市場の変化の胎動はすでに始まっている。

恒久的な在宅勤務の検討や導入に取り組んでいる企業は枚挙にいとまがない。たとえば、米保険会社ネーションワイド・ミューチュアル・インシュアランスや、電子商取引プラットフォームを運営するカナダのショピファイ、英銀バークレイズの投資銀行部門バークレイズ・キャピタル、米菓子大手モンデリーズ・インターナショナル、モバイル決済企業のスクエアなどがある。また、フェイスブックの社内調査では、社員の半数以上が在宅勤務の生産性は少なくともオフィスと同程度だと回答したという。