2020年7月27日配信記事より
ビジネスは基本的に人と人とのつながりから生まれます。そこで重要になるのがコミュニケーション能力です。
商談などのアポイントにおいて、最初にどのような切り口からスムーズに会話に入ればよいのでしょうか?
実は今ビジネスの世界では、今までのようなコミュニケーション方法が見直されてきています。そしてそのカギを握るのが、「反応力」と「質問力」なのです。
ビジネスパーソンに「雑談力」は必要なのか?
優秀な営業マンの条件でまず思いつくのは、豊富な話題を持っていることではないでしょうか。取引先を訪れると気軽な雑談で相手を和ませ、豊富な話題を武器にして自分のペースに相手を引き込むと、そのまま自然な流れで仕事の話に進んでいきます。
こうした理想的な展開をイメージして、雑談力に磨きをかけた人も多いでしょう。でも実際のビジネスは、そう思い通りには進みません。果たして相手は雑談の時間を求めているのでしょうか?
現在ビジネスパーソンの間では、雑談力の効果に疑問を抱く人が増えています。雑談はコミュニケーションの一手段ではあるものの、ビジネスのツールではありません。それよりもずっと重要なのは、相手の話を上手に聞く能力です。
ビジネスに必要なのは「反応力」
現在営業のプロが実践するセールスは、相手が言ったことに適切に反応し、そこから相手の話をさらに引き出すという手法です。自分から売り込むのではなく、相手の話をしっかりと聞くことがポイント。
人は本来自分の話を聞いてもらうことを好みます。聞き手の姿勢によっては好印象を抱き、さらに話が広がるかもしれません。ここで重要なのが、相手の話に対してどのようにうまく反応するかです。
自分から積極的に話題を広げるよりも、相手に好印象を与えるような聞き手になること。この「反応力」こそが、現代のビジネスパーソンにとって欠かせない資質だといえるでしょう。
「反応力」はこうして磨こう
いわゆる「リアクション」も反応力の一つかもしれませんが、こうした能力を自分で高めることは可能なのでしょうか?
反応力に磨きをかけるためには練習や訓練よりも、普段から重要なポイントを意識することの方が効果的でしょう。とはいえ、難しく考える必要はありません。ここで反応力に磨きをかけるコツを紹介するので、可能なものから実践してみてください。
① 非言語コミュニケーションを上手に使う
外国人は日本人よりも、コミュニケーション能力が高いといわれています。その理由の一つと考えられるのがジェスチャー、つまり非言語コミュニケーションです。
相手が微動だにせずじっとこちらを見つめていると、何となく話しづらい雰囲気になりますが、適度にうなずいたり、微笑んだり、相づちを打ってくれると話す側の口も滑らかになるでしょう。また自分から話す時にも、大げさではないジェスチャーを交えてみましょう。
②相づちは適度にフォーマルに
相づちは場合によって相手に違和感を与えることもあります。「なるほど」という言葉も、使い方では馴れ馴れしさを感じたり、機械的に聞こえたりする場合があります。相づちは相手の話に興味を持っていることを伝えるため、「私もまったく同感です」など適度にフォーマル感を持たせてみましょう。
③「はい」という言葉の使い分け
相手に対して素直に同意する「はい」も、一本調子で機械的では何の感情も伝わりません。今自分が同意しているのか、または理解していることを伝えたいのか、同じ「はい」でもイントネーションや強弱の変化でいろいろと使い分けが可能です。
④なるべく表情を豊かに見せる
コミュニケーションでは、表情の変化も重要なポイントです。相手の話に合わせて言葉に表情をプラスすると、反応力はさらにアップします。特に適切なタイミングでの笑顔は最も効果的です。
ほかにも相手のしぐさに自分のしぐさを自然に合わせてみたり、返事の中に時折相手の名前を添えてみたりなど、反応力を高めるポイントはいくつもあります。最初からうまくは行かないかもしれませんが、少しずつ試してみましょう。
もう一つ重要なのは「質問力」
相手の話を一方的に聞いているだけでは、ビジネスチャンスは生まれません。ここぞというタイミングで相手から情報を引き出すには、反応力にプラスして「質問力」も必要です。
相手の話をうまく聞けるようになると、取引先が今何を探しているのか、今どんな悩みを抱えているのかが推測できるようになります。その時に相手が求めているものを、的確に聞き出す力が「質問力」です。
「質問力」を高める方法
営業担当者は話しすぎると成功率が下がるそうで、営業のプロは全体のほぼ8~9割を聞き役に徹するといわれます。ヒアリングから相手の本音を引き出し、それを糸口に成功へとつなげるわけです。
この時に必要になるのが質問力ですが、反応力と同じように質問力にも磨きをかけるコツがあるのです。
質問力で求められるのは、相手が必要としているものを相手の口から聞き出すこと。どんな仕事でも必ず何らかの悩みがあり、担当者は常にその解決策を探しています。その悩みを解決できる方法を提案できれば、営業は成功します。
質問することは相手の立場で考えることですから、より的確なアドバイスや提案が可能になります。同時に自分の方から、相手の望まない提案をしてしまう危険性も防げます。こうした点に注意しながら顧客目線での質問を実践すれば、質問力は必ず高まるでしょう。
まとめ
今ビジネスパーソンに求められる能力は、話題が豊富な雑談力ではありません。自分を中心にペースを作る営業では、この先成功する確率が低くなることを理解しておくべきでしょう。
営業だけではありません。ビジネスパーソンがあらゆる場面で成功を収めるためには、反応力と質問力を磨くことが必須条件になっているのです。
反応力も質問力も、普段の仕事の中で充分高めることが可能です。まずは少しずつ自分にできることから実践してみてください。相手の立場に立って相手の話を聞くこと、これでビジネスチャンスは広がります。