中国では上海証券取引所においてブロックチェーン技術の導入に向けたパイロットプロジェクトが開始され、「BSN International」へのTezosブロックチェーン統合、米国STOメディア「Security Token Market」が中国メディアとパートナーシップを発表といったように様々な分野でデジタル証券(セキュリティトークン)の普及に向けた取り組みが行われています。

STOnlineより
(画像=STOnlineより)

本稿では、中国の最新事例を解説し、デジタル証券(セキュリティトークン)市場の今後について考察していきます。

目次

  1. 上海証券取引所 ブロックチェーンパイロットプロジェクトを実施
  2. Tezosブロックチェーン BSN Internationalで利用が可能に
  3. Security Token Market RedBlockと提携
  4. まとめ

上海証券取引所 ブロックチェーンパイロットプロジェクトを実施

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(画像=STOnlineより)

上海証券取引所は、Tongji Blockchain Research Instituteとの協業によってブロックチェーン技術を活用したバックオフィス業務を一元化を目指し、株式市場の統合的な発展に向けて取り組みを進めています。

最近ではDefi(分散型金融)の領域で、第三者機関を介さない取引が実現されていますが、定められたプログラムによって自動的に法規制を遵守し、標準化され制度的メカニズムによって設計される株式市場は、従来のビジネスプロセスを効率化し、過剰な運営コスト・複数の監督・一貫性のない基準といった課題を解決します。

現在、中国の34の地域における株式市場は独自の情報技術システムを確立しており、膨大なリソースの浪費を引き起こしています。

各市場においてブロックチェーン技術を活用した管理・共有システムが普及することで、より多くの人的資源、資金をビジネスイノベーションの探求に投じることが可能となり、金融インフラのデジタル化は中国の株式市場に新たな付加価値をもたらすことでしょう。

そして、各地域の株式市場において共同でシステムを構築/運用し、ブロックチェーンの導入を促進することは、中国資本市場の継続的な開発と革新に繋がると考えられます。

中国証券監督管理委員会(CSRC)の承認を受け、上海証券取引所は、パイロットプロジェクト(試験的事業企画)を進めており、株式市場における「上場・保管・取引・資本管理・情報開示」といった機能のコスト削減・透明性向上を検証し、より多くのユースケースの創出を目指しています。

Tezosブロックチェーン BSN Internationalで利用が可能に

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セキュリティトークン発行にも広く活用されているTezosブロックチェーンは、中国政府がサポートするブロックチェーンインフラ「BSN International」に統合され、さらなる普及が見込まれています。

「BSN International」でアカウント登録し、「パーミッションレスサービス」を利用することで、簡単にTezosブロックチェーンに基づく新しいプロジェクトを作成することができます。

・tZERO/AllianceInvestments:英国リバーサイドの高級不動産のトークン化計画(約6億4300万ドル規模)

・Vertalo/tZERO:最大3億ドルの不動産セキュリティトークンプロジェクトを発表。Vertaloは、セキュリティトークン発行/管理プラットフォームのプロトコルをEthereumからTezosに移行。

・BTG Pactual:TezosブロックチェーンでセキュリティトークンReitBZを発行

上記のようにこれまで多くの企業がTezosブロックチェーンを活用したセキュリティトークンプロジェクトを発表しており、「BSN International」におけるTezosの利活用が進み、グローバル市場におけるシェアが拡大することで、企業評価のさらなる向上が期待されます。

Security Token Market RedBlockと提携

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米国で幅広い支持を集めるSTOメディア「Security Token Market」は、デジタルフィンテック企業RedBlock Incとパートナーシップを発表しました。

「Security Token Market」は、セキュリティトークンのライブトレーディングデータフィード事業を展開。

今年8月には時価総額5億ドルを突破するなど、急速に発展するSTO市場の動向をリアルタイムで配信することで、多くの投資家から支持を集めています。

データフィードには現在24の銘柄が表示されており、Overstock、tZEROを中心として取引が行われているのがわかります。

RedBlockとのパートナーシップを通じて、「Security Token Market」が毎月発行しているセキュリティトークン市場調査レポートは翻訳され、中国メディアネットワークに配信されることからグローバルな市場でのSTOの認知度は拡大することが予想されます。

「Security Token Groupは、入念な調査、革新的な思考、グローバルパートナーとのコラボレーションを通じて、エコシステム内の各プレーヤーを結び付け、その採用を加速するよう努めています。RedBlockは、世界最大の金融市場のである米国と中国を繋ぐ架け橋です。言語、管轄区域、経済の違いに関係なく、誰でもアクセスできる優れたコンテンツと調査を作成できることを楽しみにしています。」—Security Token MarketCEO、カイルソンリン

「Security Token Groupと協力して、セキュリティトークンの採用をグローバルに加速することを楽しみにしています。セキュリティトークンの先駆的なデータプラットフォームとしてのセキュリティトークングループの存在は、この分野で多くの資産運用会社、プロジェクト、投資家を引き付けてきました。資本市場パートナーのグローバルエコシステムを成長させるにあたり、これを活用できることを嬉しく思います。」—RedBlockの共同創設者 JemmaXu

まとめ

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デジタル証券(セキュリティトークン)市場は時価総額が5億ドルを突破してからは安定的な取引高を記録しています。

現在のところ米国市場におけるATSでの取引が中心となっていますが、将来的には有名企業による独自トークン発行や証券取引所がブロックチェーン技術に対応にすることで、市場規模はさらなる発展を遂げることが予想されます。

今後は、従来の証券のデジタル化とこれまで証券化されてこなかった資産のデジタル化といった観点から市場を分析する必要があると言え、国家や省が積極的に技術革新による経済成長をサポートしている中国市場には大きな期待が寄せられています。(提供:STOnline