メガソーラーとコンパクトソーラーは、いずれも投資にも活用される太陽光発電システムです。しかしこれらの違いを明確に把握していない人も多いのではないでしょうか。それぞれにはっきりとした違いがあるため、特に投資で考える際はメリット・デメリットをしっかりと理解する必要があります。
メガソーラーとは?
メガソーラーとは、発電量が1,000kW(1MW)を超える大規模な太陽光発電システムのことです。広い原野や山の斜面にパネルを設置しているのを見かけた人もいるのではないでしょうか。非常に規模が大きく初期投資で数千枚のパネルを必要とし、さらに広大な敷地も確保しなければいけないため、企業が取り組んでいるケースが多い傾向です。
メガソーラーに取り組む大手企業
メガソーラーに取り組む代表的な企業を2社紹介します。
・ソフトバンク株式会社
ソフトバンクは、100%子会社のSBエナジー株式会社で太陽光発電所を各地に建設。展開規模が非常に大きく2020年7月1日時点で全国に41ヵ所(建設中のものを含む)のメガソーラー発電所を構えています。
・京セラ株式会社
京セラ株式会社は、太陽光発電システムの販売、施工を行っています。自社の70MWにもなる鹿児島七ツ島メガソーラー発電所は、運転開始の2013年時点で日本最大のメガソーラーとして話題になりました。
メガソーラーのメリット
企業がメガソーラーに取り組む最大の理由はFIT制度(固定価格買取制度)によって買取価格が20年間保証されるため、安定した投資を行うことができるからです。利益がこれほどの長期間保証されている投資は他になく、大規模な投資が可能な企業にとっては大きなメリットがあります。
・環境貢献など企業イメージが良くなる
太陽光発電には、クリーンエネルギーの活用やCO2削減などの2次効果があり企業イメージの向上が期待できます。
・税金対策になる
太陽光発電は、不動産と同じく固定資産の扱いになり減価償却の対象です。そのため毎年減価償却費として経費計上することができるため、納税額を減らせる点はメリットといえるでしょう。
メガソーラーのデメリット
メガソーラーのデメリットは、コストがかかることです。大量のパネル設置が必要で250W程度のパネルであれば約4,000枚を用意しなければなりません。このパネルも含め太陽光発電システムだけで2億円以上が必要です。さらに設置できる2万平方メートル以上の土地が必要といわれています。
コンパクトソーラーとは?
コンパクトソーラーとは、メガソーラーと分ける意味では1,000kW未満の太陽光発電システムを指しますが、明確な用語の定義はありません。ただし2020年度の電力の調達価格区分としては、250kW以上が入札制度であり、250kW未満は調達価格が決められています。そのため投資におけるコンパクトソーラーは、250kW未満の太陽光発電システムを指す企業も多い傾向です。
コンパクトソーラーのメリット
コンパクトソーラーのメリットは、何より「個人でも購入可能な価格」ということです。メガソーラーのような大掛かりな設備や敷地、複雑な手続きが不要で個人投資家でも新規参入することができます。また既存の物件を購入する方法もあり、主流の100kW前後の太陽光発電システムであれば価格が手ごろで給与所得者が副業で投資するケースも増えています。
コンパクトソーラーのデメリット
コンパクトソーラーに限りませんが太陽光発電システムを投資として考えた場合、「電力の買取価格が減少している」といった点はデメリットです。2020年時点で太陽光発電の生んだ電力は、FIT制度(固定価格買取制度)が適用されています。そのため10kW以上のものに関しては20年間の調達期間が保証されていますが、買取価格は毎年見直しされ減少傾向で推移しています。
2020年度には、1kWあたりの調達価格が50kW以上250kW未満12円(税抜き)、10kW以上50kW未満が13円(税抜き)に下がっています。毎年買取価格は下がっていくため、太陽光発電システムの投資メリットに疑問を持つ声も少なくありません。
しかし毎年買取価格が下げられていくことは当初から明らかだったことであり「20年間利益が保証されている投資」という破格のメリットは変わっていません。
コンパクトソーラーを選ぶ際の注意点
コンパクトソーラーを選ぶ際に注意をしたいことが買取価格の仕組みです。2020年度からは10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電システムが従来の全量買取ではなく余剰売電となりました。余剰売電とは、発電した電力をまず自家消費にまわして余剰になった分を買い取る仕組みです。そのためこれから認定を受ける50kW未満の太陽光発電システムには投資としての価値はかなり低いといえるでしょう。
コンパクトソーラー投資には2つの選択肢
メガソーラーは大きな資金を必要とする企業向けのため、個人であればコンパクトソーラー一択となるでしょう。個人が投資として考えるコンパクトソーラーには、一般的には新築建売と中古の購入という2つの選択肢があります。
利益の長い新規設置
ある程度の資金が用意できる人なら新たに認定を受け太陽光発電システムを新規設置する方法がおすすめです。新規であれば買取価格の保証が20年間すべて活用でき、システム経年劣化の心配もありません。検討する際は、施工を担ってくれる企業が設置までの地主との交渉や近隣住民への説明、設置後の太陽光発電システムの保守など十分なケアを行ってくれるか確かめるようにしましょう。
投資を始めやすい既存物件
一方ですでに稼働している既存物件を購入する選択肢もあります。メリットは値段が手ごろなため購入しやすく、さらに以前の買取価格で契約をしているため高い売電収入が見込めることです。またそれまでの発電状況が分かるため、これからの発電量を予想しやすいことも魅力といえます。投資におけるリスクを極力減らしたい人には大きなメリットでしょう。
太陽光発電が副業投資として注目される理由
給与所得者が副業で太陽光発電へ投資する事例が増えているのは、価格だけでなく購入後に手間がかからない点も大きな理由の一つです。稼働をさせてしまえば現地に人を常駐させる必要はありません。また仲介会社によっては現地の雑草対策を行ってくれるところもあります。
敷地確保の理由から僻地の物件が多く、土地代や固定資産税が安い点も大きなメリットです。購入資金についてもローンを利用できるため、一定の条件はありますが自己資金がゼロでも投資を始めることができます。このように太陽光発電は、初期費用や維持管理の手間が少ないため、給与所得者などから副業投資として注目されているのです。
個人が投資で考えるならコンパクトソーラー
メガソーラーとコンパクトソーラーでは必要とする資金が大きく異なります。企業ならメガソーラー、個人ならコンパクトソーラーという選択が一般的でしょう。ただし企業および個人のどちらであっても「稼働を始めれば手間が少ない」「安定した収益が保証されている」という点が、太陽光発電投資におけるメリットになることは変わりません。
ただしこれからは買取制度の廃止と入札制度への移行も念頭に置いておく必要があります。今後買取価格が固定された既存物件の人気も急騰することが予想されるため、早めに検討されることをおすすめします。(提供:Renergy Online)