資源エネルギー庁の「エネルギー白書2020」によると、太陽光発電の国内規模(導入量)は2009~2018年の10年で約10倍以上に急拡大しています。追い風が吹いている業界だけに太陽光発電投資をサポートする販売会社は数多くありますが、中には悪徳業者もいるため注意が必要です。ここでは、そんな悪徳業者によるトラブル例と信頼できる販売会社の選び方をレクチャーします。

太陽光発電投資を成功させるために欠かせない3要素

太陽光
(画像=blue-planet-studio/stock.adobe.com)

太陽光発電投資で成功するために欠かせない3要素は以下の通りです。

  1. 立地選び
  2. 太陽光パネルのメーカー選び
  3. 販売会社(業者、事業者)選び

この3つのうち本記事では「販売会社選び」をテーマに解説していきます。実は、販売会社選びさえ間違えなければ他の2つの要素(立地と太陽光パネルのメーカー選び)はスムーズにいきやすくなる傾向にあります。そう考えれば販売会社選びは「太陽光発電投資を成功させる生命線」といえます。

太陽光発電投資における販売会社の役割とは?

はじめに太陽光発電投資における販売会社の役割を確認してみましょう。一般的に販売会社は、太陽光発電の設備を顧客に提案しパネルなどの設置工事やメンテナンスを担当します。中には、太陽光発電向きの立地もセットで販売する業者もいるでしょう。また太陽光パネルの設置工事を自社で請け負う会社、外部の工事会社に委託する会社なども存在します。

このように太陽光発電の販売会社といっても中身は多種多様です。そのため取引するときは「どんな領域をサポートしてくれるのか」をはじめの段階で確認するのが重要になります。

太陽光発電投資の悪徳業者による6つのトラブル例

悪徳業者をビジネスパートナーとして選んでしまったために起こりうるトラブル例を6つ紹介します。太陽光発電投資において「いかに販売会社選びが大切か」がきっと理解できるでしょう。

トラブル例1:業者が倒産し管理できなくなった!

「太陽光発電投資は、ほったらかしでも儲かる!」といった販売会社のセールストークを信用してはじめたにもかかわらず、その会社がまもなくして倒産することも少なくありません。こんな事態が起こると太陽光パネルなどの保守点検やメンテナンスができず発電量が低下していき、ビジネスが頓挫する可能性が高まります。

トラブル例2:立地が太陽光発電投資に不向きだった!

国内には遊休地がたくさんあります。しかしその中で太陽光発電投資に向いている十分な日照量が確保できる立地はごく一部です。悪徳業者は投資に不向きな立地でも太陽光発電投資を強引に提案してきます。

トラブル例3:周辺住民とトラブルになった!

太陽光発電投資は、周辺住民とのコミュニケーションが大事なビジネスです。工事中の搬入トラックによる砂ぼこりや騒音、太陽光パネル設置による景観への影響、不審者の敷地への立ち入りなどトラブル要因はたくさんあります。悪徳業者は、周辺住民の存在を無視してトラブルを拡大させることもあるのです。

トラブル例4:質の悪い太陽光パネルを使われた!

一口に太陽光パネルといっても、国内外にさまざまなメーカーがあり価格や発電効率、耐久性は異なります。しかし悪徳業者は利回りを高く見せるため、廉価で質の悪い太陽光パネルを推奨してくることがあります。短期間で壊れて交換費用がかさんだり、想定していた発電ができなかったりする被害が起こりえます。

トラブル例5:手抜き管理で利回りが低下した!

太陽光発電投資は、パネルを適切に管理し続けることで安定的なリターンを確保するビジネスです。これを実現するには、販売会社が定期的に現地を訪れ「パネルの汚れやひび割れがないか」をチェックしなければなりません。悪徳業者は、この部分を手抜きし発電量を低下させます。

トラブル例6:太陽光パネルの処分に苦労した!

太陽光パネルは、破損や故障をしたり、耐用年数を過ぎると環境に負荷を与えない形で廃棄しなければなりません。悪徳業者を選んでしまうと廃棄については責任を負いません。廃棄処分をオーナーがしなくてはならなくなります。

太陽光発電投資の販売会社選び 6つのポイント

ここで挙げる6つのポイントを意識して販売会社を選べば、太陽光発電投資のトラブルリスクを回避しやすくなります。

ポイント1:設立してからの歴史が長い

太陽光発電投資では、10年以上の長期スパンで安定したリターンをコツコツと積み上げていきます。そのため設備を継続的にメンテナンスしてくれる販売会社の存在がとても重要です。しかし設立から5年、10年程度の会社に管理を委託するのは不安が残ります。長期に渡り運用していくことを考えれば、設立から20年近く経っている会社が理想だといえるでしょう。

これだけ長い歴史があれば、運用のためのノウハウも十分蓄積されていると考えられます。

ポイント2:土地とセットで提案してくれる

太陽光発電の設備を売るために「どんな土地でも設置する!」といったスタンスの販売会社は避けるべきでしょう。所有地が太陽光発電向きか診断してくれたり、太陽光発電向きの土地を提案してくれたりする販売会社が安心です。

ポイント3:自社で施工をしている

太陽光パネルの設置を外部の工事会社に丸投げしていると管理が甘くなり住民とのトラブルが起きる可能性が高まります。販売会社自身が責任を持って工事をしていれば、周辺住民への丁寧な説明やトラブル対応がしやすいでしょう。販売会社が自社で施工をしているかは、電気工事の免許登録があるかを確認すれば分かります。

その会社の公式サイトや会社案内などに記載がない場合は、免許登録の有無、免許登録番号などを担当者に確認しましょう。

ポイント4:太陽光パネルの説明を丁寧にする

各メーカーの太陽光パネルには、メリット・デメリットがあります。それを踏まえたうえで複数ある太陽光パネルの中から「なぜその製品を勧めるのか」を丁寧に説明してくれる販売会社が安心です。説明の手間を省いて利回りだけを強調する販売会社は警戒したほうが良いでしょう。

ポイント5:管理態勢や保証制度が充実している

太陽光パネルの設置後「どれくらいのペースで現地訪問をするのか」「その際にはどんなチェックをするのか」などの管理体制をしっかりと説明してくれる販売会社も安心できます。あわせて長期運用が前提の太陽光発電投資は保証制度も重要です。この部分についても細かくレクチャーしてくれる販売会社を選ぶのが安心でしょう。

保証制度には、太陽光パネルが一定期間内で壊れたときの製品保証、最低限の発電性能を担保する出力保証、台風・豪雪・落雷などで設備が壊れたときの修繕費をカバーしてくれる自然災害補償などがあります。ただし自然災害補償は販売会社や施工会社が加盟してないと適用されない任意の制度です。当然ながら加盟している業者選びが重要です。

ポイント6:産業廃棄物関連の免許を持っている

使えなくなった太陽光パネルは、産業廃棄物のため免許を持っていないと処分できません。太陽光パネルの廃棄を本気で考える販売会社は、外部の会社に丸投げするのではなく自社で産業廃棄物収集運搬業の免許を取得していることもあります。電気工事の免許と同様、公式サイトや会社案内などに記載がない場合は事前に確認するのが賢明です。

儲かる話ばかりする営業パーソンに要注意!

上記に挙げた6つのポイントを満たす販売会社をパートナーに選べば本記事の前半で解説したようなトラブルリスクを回避しやすくなります。逆に避けたいのは「営業パーソンが良い話(儲かる話)しかしない販売会社を選ぶ」ことです。他の資産運用と同様、太陽光発電投資にもメリット・デメリットがあります。注意点やリスクについてもしっかりとアドバイスしてくれる販売会社を選ぶことが何より重要です。(提供:Renergy Online