地球温暖化対策として再生可能エネルギーの普及が進んでいます。再生可能エネルギーが環境にやさしいエネルギー源であることは知っていても、どういうものか理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。本記事を読んで再生可能エネルギーのポイントを押さえておきましょう。

そもそも再生可能エネルギーとは?

再生エネルギー
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

再生可能エネルギーとは、枯渇しないで何度でも繰り返し利用できるエネルギー源のことです。エネルギー供給構造高度化法では、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されています。再生可能エネルギーの特徴は以下3つです。

枯渇しないで繰り返し利用できる

再生可能エネルギーは、太陽光や風力といった自然界に存在するエネルギー源です。現在は石油や石炭、天然ガスといった化石燃料が主要なエネルギー源ですが、これらは限りある資源であるため永続的に使い続けることはできません。しかし再生可能エネルギーであれば枯渇しないで繰り返し利用できます。

温室効果ガスの排出量が少ない

地球温暖化が進んだのは、エネルギー需要の増加により温室効果ガスの排出量が増えたことが主な原因です。化石燃料を燃やすと大量の温室効果ガスが排出されます。再生可能エネルギーは温室効果ガスの排出量が少ないため、地球温暖化への影響を最小限に抑えられます。

どこでもエネルギー源の調達が可能

石油や石炭、天然ガスといった化石燃料は、限られた地域にあります。一方再生可能エネルギーは太陽や風、水といった自然に存在するエネルギー源です。そのため基本的に場所を選ばずどこでも調達できます。

再生可能エネルギーが注目されている理由

再生可能エネルギーが注目されている理由は以下の通りです。

パリ協定における長期目標への貢献

2016年に発効したパリ協定では、以下の世界共通の長期目標が合意されました。

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち1.5度に抑える努力をする
  • できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトする
  • 21世紀後半には温室効果ガス排出量と森林などによる吸収量のバランスをとる

日本もパリ協定の締結国のため、国際的な枠組みのもとで排出削減に取り組まなくてはなりません。温室効果ガス排出削減にむけて再生可能エネルギーの主要電源化に取り組んでいます。

固定価格買取制度(FIT)

固定価格買取制度(FIT)とは、電力会社が再生可能エネルギーで発電した電気を一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。電力会社が「買い取る費用の一部を電気の利用者から賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」という形で集めることで制度を維持しています。再生可能エネルギーはまだ発電コストが高いため、発電設備の建設コストを回収しやすくするのが狙いです。

固定買取価格制度の導入により自宅に太陽光パネルを設置する人や太陽光発電設備に投資して売電収入を得る「太陽光発電投資」に取り組む人が増えました。

再生可能エネルギーのメリット

再生可能エネルギーのメリットは以下の通りです。

資源が枯渇しない

再生可能エネルギーは、太陽や水、風といった自然から調達できるため、永続的に活用可能なことが最大のメリットです。例えば化石燃料の確認埋蔵量(可採年数)は、石油や天然ガスが約50年、石炭は約100年と言われています。しかし再生可能エネルギーであれば資源が枯渇する心配がなく安心して使い続けることが可能です。

資産エネルギー庁の「エネルギー白書2020」によると2018年における日本の一次エネルギー(自然界に存在するエネルギー)自給率は11.8%と低く、88.2%を海外からの輸入に頼っています。しかし再生可能エネルギーの普及を進めることでエネルギー自給率の向上も期待できるでしょう。

有望な投資先の一つとなる

再生可能エネルギーは、投資先としての魅力もあります。なぜなら固定価格買取制度があることで長期にわたって安定した収入が期待できるからです。太陽光発電の場合、住宅用(10 kW未満)は10年間、非住宅用(10 kW以上)は20年間固定価格で電気を買い取ってもらうことができます。

個人が資産を増やすための投資先は株式や投資信託、不動産が代表的です。しかし今後は太陽光発電設備をはじめとする再生可能エネルギーも有望な投資先の一つとなる可能性があります。

再生可能エネルギーのデメリット

再生可能エネルギーには、以下のようなデメリットもあります。

コストがかかる

再生可能エネルギーを利用した発電設備を導入するには、初期費用や維持コストがかかります。技術開発は進んでいるもののまだ新しいエネルギー源であるため、化石燃料に比べるとコストは高めです。再生可能エネルギーを主力電源とするには、さらなるコスト低減に取り組む必要があるでしょう。

天候に左右される

再生可能エネルギーは、自然に存在する資源を活用するため、発電量が天候に左右されます。例えば太陽光発電であれば日照時間、風力は風の有無によって発電量が変わってしまう可能性があるのです。再生可能エネルギーで発電する場合、電力を安定供給できるかが課題となります。

再生可能エネルギーは主に5種類

再生可能エネルギーは主に5種類でそれぞれの特徴は以下の通りです。

太陽光発電

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを太陽電池(太陽光パネル)にあてることで発電します。家庭用から大規模発電用まで幅広く導入されているのが特徴です。メンテナンスが比較的簡単で、非常用電源としても利用できます。ただし太陽光がエネルギー源のため、天候(日照時間)に発電量が左右される課題もあります。

風力発電

風力発電は、風の力を利用して風車を回し、その回転運動を発電機に伝えることで電気を生み出します。大型のものから小型のものまで規模はさまざまです。大規模に開発した場合は、コストを抑えることができ風があれば昼夜を問わず発電できます。ただし風力発電を導入するには風況がよく広い平地が必要です。現在は特定の地域に集中しており広域に展開・連携できるかが課題となります。

水力発電

水力発電は、ダムなどの落差を活用して水を落下させ、その際のエネルギーで発電します。安定性の高い電源で、農業用水路や小さな河川でも発電できる中小規模のタイプが注目されています。中小規模タイプは分散型電源として活用できる可能性があり未開発地域も多く残っていますが、比較的コストが高いのがデメリットです。

地熱発電

地熱発電は、地下に蓄えられた地熱エネルギーを蒸気や熱水などで取り出しタービンを回して発電します。日本は火山国のため、世界第3位の豊富な資源があります。また大規模な開発が可能で昼夜を問わず24時間稼働できるのもメリットです。ただし開発費用が高額で他の開発地域と重なる場合は地元との調整が必要となります。

バイオマス発電

バイオマス発電は、間伐材や農作物残さ、食品廃棄物などの生物資源(バイオマス)をエネルギー源にして発電します。資源を有効活用することで廃棄物の削減につながり、天候に左右されにくいのがメリットです。一方で原料の安定供給の確保、運搬・管理コストの高さが課題となります。

再生可能エネルギーの今後の課題

従来の大規模電源がある地域と再生可能エネルギーが豊富な地域は必ずしも一致しないため、電力系統を増強するためにコストや時間がかかることが今後の課題としてあげられます。まずは既存の系統を最大限に活用しながら新しいルールを作ることが必要です。

また再生可能エネルギーの発電量は天候に左右されるため、電力を安定供給できる体制の構築も求められます。

国の再生可能エネルギーへの取り組みに注目しておこう

国は環境問題対策やエネルギー自給率向上のため、再生可能エネルギーの普及に力を入れています。個人でできることは限られますが、太陽光発電投資のように投資を通じて再生可能エネルギーの普及に貢献することも可能です。政策は毎年変化するので国の取り組みに注目しておきましょう。(提供:Renergy Online