太陽光発電へ投資する方法は、主に「土地付き太陽光発電投資」「インフラファンド」の2つです。どちらも太陽光発電設備に投資できるのは同じですが、特徴や仕組みは異なります。そこで今回は、土地付き太陽光発電投資とインフラファンドのメリット・デメリットや投資方法の選び方について解説していきます。
土地付き太陽光発電投資とは
土地付き太陽光発電投資とは、土地と太陽光発電設備がセットになって販売されている物件への投資です。太陽光発電には「固定価格買取制度(FIT)」があり10 kW以上の場合、国が20年間固定価格で電気の買取を保証しています。(2020年時点)そのため金融商品のように価格変動を気にすることなく長期にわたって安定した収益が期待できるのです。
太陽光発電投資は、地方にある格安な土地にソーラーパネルを並べて発電し、その電気を大手電力会社に販売するのが一般的です。個人で太陽光発電投資を始めたいと思っても、自分で太陽光発電に適した土地を探すのは難しいでしょう。しかし販売会社から土地付きの物件を購入すれば、時間や手間をかけることなく太陽光発電投資を始められます。
「買取型」と「賃借型」がある
土地付き太陽光発電の物件には「買取型」と「賃借型」の2種類があります。主な特徴は以下の通りです。
- 買取型:土地と太陽光発電設備をセットで買い取る
- 賃借型:土地を借りて太陽光発電設備だけを買い取る
どちらも固定価格買取制度の対象となり、長期にわたって売電収入を得られるのは同じです。買取型は、土地を購入するので固定資産税がかかります。賃借型は、固定資産税はかかりませんが土地の所有者に賃貸料を支払うこと必要があります。一般的には、賃借型のほうが投資金額は少なくすみます。しかし太陽光発電投資はローンを利用できるため、初期費用に大きな差はありません。
また太陽光発電投資は、地方の格安な土地を利用するため、土地の価格は比較的安価で調達可能です。
土地付き太陽光発電投資のメリット・デメリット
土地付き太陽光発電投資の主なメリット・デメリットは、以下の通りです。
土地付き太陽光発電投資のメリット
土地付き太陽光発電投資は、利回りの高さが魅力です。表面利回りは10%を超える物件が多く、ランニングコストを差し引いた実質利回りにおいても他の金融商品に比べて高い利回りが期待できます。また土地付きの物件は金融機関の融資を利用して購入できることもメリットです。初期費用の多くをローンに組み込めるため、頭金として50万~100万円程度用意できれば始められます。
売電収入でローンを返済することで少額の投資で効率よく資産を増やすことが可能です。
土地付き太陽光発電投資のデメリット
土地付き太陽光発電投資は、太陽光で発電するため、売電収入が天候に左右されるのがデメリットです。天候が悪い日が続いて日照時間が短くなると発電量が下がって収益も低下してしまいます。実物資産のため、台風や地震、津波といった災害リスクも否めません。そのため「日照時間が長くて災害リスクが低い地域の物件を選ぶ」「保険に加入してリスクを回避する」といった対策が必要です。
また固定価格買取制度で20年間は固定価格で電気を買い取ってもらえる点はメリットですが、FIT終了後に制度がどうなるかは未定です。国は、再生可能エネルギーの主力電源化に取り組んでいるため、売電システム自体がなくなることは考えにくいでしょう。ただし買取価格が下がる可能性はあるため、20年間のうちに初期投資額を回収できるような計画を立てておくことが大切です。
インフラファンドとは
インフラファンドとは、多くの投資家から集めた資金でインフラ施設(主に太陽光発電設備)に投資しそこから得られる収益を投資家に分配する金融商品です。基本的な仕組みはREIT(不動産投資信託)と似ており「利益の90%超を分配する」などの条件を満たすと実質的に法人税が非課税になることから高い分配金利回りが期待できます。
インフラファンドは証券取引所に上場しているため、株式と同じように売買できることも特徴の一つです。2020年10月現在、インフラファンドは7銘柄が上場しており分配金利回りはいずれも6%前後(2020年5月末時点)と高めです。インフラファンドの主な投資先は太陽光発電設備のため、インフラファンドを購入することで間接的に太陽光発電投資ができます。
インフラファンドのメリット・デメリット
インフラファンドのメリット・デメリットは、以下の通りです。
インフラファンドのメリット
インフラファンドは、10万円程度から投資できます。まとまった資金を用意する必要がないため、土地付き太陽光発電投資に比べると気軽に始めやすいでしょう。分配金利回りが6%前後と高く固定価格買取制度もあることから安定した配当が期待できます。また証券取引所に上場しているため現物資産よりも流動性が高く売却しやすい点もメリットです。購入時より高い価格で売却できれば売却益を得ることも期待できます。
インフラファンドのデメリット
土地付き太陽光発電は、ローンを利用して物件を購入しレバレッジをかけることで効率よく資産を増やせます。一方でインフラファンドは、金融機関の融資を利用できないため、レバレッジをかけられません。インフラファンドは、10万円程度から購入できますが投資額が少ないうちは得られる利益も少なくなります。
また証券取引所に上場しているため、価格変動リスクもあります。万が一価格が下落してしまえば元本割れする可能性があるため注意が必要です。
土地付き太陽光発電投資とインフラファンドはどちらがおすすめ?
ここまで紹介したように土地付き太陽光発電投資とインフラファンドは特徴が異なりそれぞれにメリット・デメリットがあります。「どちらが良い・悪い」という2極化で検討するよりも、自分に合った投資方法を選ぶことが大切です。
土地付き太陽光発電投資が向いている人
土地付き太陽光発電投資は、以下のような人に向いています。
- ローンを活用して効率よく資産を増やしたい
- 高利回りの物件に投資したい
- 税金に関する基礎知識がある
土地付き太陽光発電投資の最大の魅力は、金融機関の融資を利用して物件を購入できることです。ローンを利用してレバレッジをかけることで初期投資額を抑えながら効率よく資産を増やすことができます。土地付きの物件は、表面利回りが10%超と高い傾向です。そのため初期費用やランニングコストなどの条件によっては、インフラファンドより高い利回りが期待できます。
また太陽光発電の売電収入は所得税の対象となり確定申告が必要です。減価償却による節税もできるため、税金に関する知識があれば効率的に資産運用できる可能性があります。
インフラファンドが向いている人
インフラファンドが向いている人の特徴は、以下の通りです。
- 少額から太陽光発電設備に投資したい
- ローンを組みたくない
- すぐに現金化できる状態にしておきたい
インフラファンドは、10万円程度から購入できるため、少額から太陽光発電設備に投資したい人におすすめです。「太陽光発電投資に興味はあるがローンを組みたくない」という人もインフラファンドが向いています。またインフラファンドは、株式と同じように売買できるため、比較的売却しやすい点がメリットです。
土地付き太陽光発電は、流動性が低く売却するまでに一定の時間が必要になるため、すぐに現金化できる状態にしておきたい場合は、インフラファンドが向いています。
土地付き太陽光発電投資とインフラファンドの違いを理解して投資を始めよう
土地付き太陽光発電投資は「ローンを利用して効率よく資産を増やせる」、インフラファンドは「少額から投資できて売却しやすい」といった点が強みです。土地付き太陽光発電投資とインフラファンドの違いを理解して、自分にあった投資方法で太陽光発電への投資を始めましょう。(提供:Renergy Online)