毎年、新たに発売されるビジネス書は約6000冊といわれています。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。

読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、ZUU onlineとコラボレーションし、金融業界で働くユーザーが読んでいる書籍を、毎月ランキング形式でご紹介しています。今回は特別版として、金融業界にお勤めのユーザーに2020年最も読まれた書籍を、ベスト10というかたちでお届けいたします。

ビジネスマン
(画像=opolja/stock.adobe.com)

目次

  1. 金融業界ランキング
  2. 仕事術や習慣に関する本が上位独占
  3. ニューノーマル時代のコミュニケーションとは?
  4. 「やることが多くて時間が足りない」人生に終止符を!
  5. AIと戦うのではなく、共存せよ
  6. 金融機関はもはや経済取引の中心ではない
  7. 編集後記

金融業界ランキング

第1位:『「仕事ができる」とはどういうことか?』(楠木建/山口周著、宝島社)
第2位:『人は話し方が9割』(永松茂久著、すばる舎)
第3位:『「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン』(池田千恵著、日本実業出版社)
第4位:『昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です』(井上皓史著、小学館)
第5位:『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』』(名取芳彦著、リベラル社)
第6位:『10年後に食える仕事 食えない仕事』(渡邉正裕著、東洋経済新報社)
第7位:『驚異の「紙1枚!」プレゼン』(浅田すぐる著、日本実業出版社)
第8位:『「超」勉強力』(中野信子/山口真由著、プレジデント社)
第9位:『交渉力』(橋下徹著、PHP研究所)
第10位:『人工知能と銀行経営』(大久保豊/西村拓也/稲葉大明/尾藤剛/小野寺亮著、きんざい)

※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員を対象にした、2019年12月〜2020年11月の閲覧数ランキング

仕事術や習慣に関する本が上位独占

2020年、金融業界にお勤めのユーザーから最も読まれたのは『「仕事ができる」とはどういうことか?』でした! とりわけ銀行・保険関連で働くユーザーに多く読まれています。

本書は、楠木建氏と山口周氏という気鋭の論者2人が、ビジネスにおける「センス」について語り合った一冊。「スキル」とは違い、「センス」は漠然としていて、つかみにくい印象があります。「センスは金融業において、あまり関係ないのではないか」という声もあるかもしれません。

ですが新型コロナウイルスの流行やAIの発展が象徴するように、私たちの将来はますます予測しにくいものとなっています。「既存のスキルを身につければ、ずっとこの先も安泰」という未来は、おそらくやってきません。これからのビジネスパーソンには、「スキル」以上に、新しい変化に対応していくための「センス」が求められています。

そしてそのことを実感している人が多いからこそ、本書が注目を集めたのでしょう。業界再編が進む金融業界だからこそ、本書から得られるものは大きいはずです。

「仕事ができる」とはどういうことか?
「仕事ができる」とはどういうことか?
楠木建 / 山口周著
出版社:宝島社
発売日:2019年12月10日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、リーダーシップ・マネジメント

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ニューノーマル時代のコミュニケーションとは?

第2位は『人は話し方が9割』でした。金融の現場でコミュニケーション能力がいかに重視されているのか、あらためて実感させられた結果といえます。

本書の特徴のひとつは、「苦手な人との対話を避け、好きな人と話す時間を増やすことによって、コミュニケーションが上達する好循環を作り出すこと」を提唱している点です。これぞまさに、ニューノーマルの時代のコミュニケーションではないでしょうか。もちろん、ときには苦手な人と話さなければならないこともあります。ですが、まずはコミュニケーションに自信をもち、自分なりのスタイルを確立することは、今後のキャリア形成においてもプラスに働くはずです。

本書で紹介されるメソッドは、どんな立場の人にも大きな効果を発揮するでしょう。実際、今回トップ10に入った書籍のうち、銀行・証券・保険の3業種すべてのランキングでトップ10入りしたのは本書のみでした。話し方に悩んでいる人は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

人は話し方が9割
人は話し方が9割
永松茂久
出版社:すばる舎
発売日:2020年03月12日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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「やることが多くて時間が足りない」人生に終止符を!

第3位には、『「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン』が入りました。将来に備えるため、資格試験の勉強を志したり、いまの業務とは違うテーマの本を読んだりしようとしても、いざ休日になるとついダラダラしてしまう……そんな経験をお持ちの方は、相当数いるはず。ですが何もしないままだと、キャリアアップやキャリアチェンジを成功させるのは難しいです。

では「重要だが、緊急ではないこと」を実行するためにはどうすればいいのでしょう? 本書はそうした疑問に答えてくれます。無理な早起きをする必要はなく、毎日たった1時間の習慣を変えるだけでいい――26年間にわたって朝活を実践し、目覚ましい成果をあげている著者だからこそ、この言葉に説得力があります。

「やるべきことが多すぎて時間が足りない」「自分の将来像が描けない」という方にイチオシの一冊です。学生であれ社会人であれ、人生を大きく変えてくれるでしょう。ちなみに第4位の『昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です』も朝活に関する本であり、朝を有効活用したい金融パーソンが多いことを示す結果となりました。

「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン
「朝1時間」ですべてが変わるモーニングルーティン
池田千恵
出版社:日本実業出版社
発売日:2020年04月10日
ジャンル:生産性・時間管理

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昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です
昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です
井上皓史著
出版社:小学館
発売日:2020年04月01日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、生産性・時間管理

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AIと戦うのではなく、共存せよ

ここからは、金融業界にお勤めのユーザーにとりわけ多く読まれたビジネス書をご紹介します。

まずは『10年後に食える仕事 食えない仕事』。「AIとこれからの働き方」をテーマにした一冊です。実際にさまざまな現場で働いている人の声を聞きながら、「人間にしかできない仕事」を分析しています。AIやロボットの参入により、消えていく仕事もあれば、新しく生まれる仕事もあります。そしてそれは金融業界においても同様です。実際、ゴールドマン・サックスのニューヨーク本社では、2000年ごろには600人のトレーダーがいましたが、2017年には2人になりました。

変化を先取りしていくカギは、AIとうまく共存していくこと。いまの業務や将来の展望と紐付けながら本書を読むことで、今後のキャリアをどうするべきなのか、考えが深まるでしょう。

10年後に食える仕事 食えない仕事
10年後に食える仕事 食えない仕事
渡邉正裕
出版社:東洋経済新報社
発売日:2020年03月12日
ジャンル:スキルアップ・キャリア

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金融機関はもはや経済取引の中心ではない

AIと金融の関係については、第10位『人工知能と銀行経営』も参考になります。本書がトップ10に入ったのは、まさに金融業界ならではで、とくに銀行関連企業にお勤めの方からの注目を集めました。

現在の日本でFinTechといえば、電子による決済や送金、ロボアドバイザーによる資産運用や仮想通貨が主流です。ソーシャルレンディングやクラウドファンディングなどの目新しいサービスや事業も、ここ最近では注目されています。

だからこそ、ホットワードである「人工知能(AI)」と、歴史の古い「銀行経営」を組み合わせた本書は、少々おかしなものに感じられるかもしれません。ですが5人いる執筆者はいずれも、金融・信用リスクにまつわるIT・システム事業を営んでおり、金融機関から法人/個人の顧客へサービスを提供するにあたって、AIをどう生かしていくのか、大きな方向性を提示してくれています。

銀行経営の将来に関心がある方であれば、読んでまず損はしない一冊といえるでしょう。

人工知能と銀行経営
人工知能と銀行経営
大久保豊 / 西村拓也 / 稲葉大明 / 尾藤剛 / 小野寺亮著
出版社:きんざい
発売日:2019年12月03日
ジャンル:経営戦略、起業・イノベーション、産業・業界、ファイナンス、テクノロジー・IT、トレンド

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編集後記

2020年も、さまざまな書籍が話題となりました。惜しくもランキングには入りませんでしたが、銀行関連のものとしては『みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史』も大きく注目されました。また、証券関連企業でお勤めのユーザーの間では、『CX(カスタマー・エクスペリエンス)戦略』が最も読まれるなど、より顧客の体験価値に関心が集まった1年となりました。2021年も引き続き、金融パーソンがどのような書籍に注目しているのかをお伝えしていきたいと思います。

本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

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