近年、教育現場だけでなく企業のカウンセラー導入が目立つようになりました。そのカウンセラーが持つ心理学の知識や資格は、大学をはじめとした高等教育機関でないと学べなかったものですが、2017年に老若男女の誰もが心理学を学べることを目的とし、資格検定試験「こころ検定」が創設されています。
文部科学省も後援する「こころ検定」では、一体どのような資格を取得できるのでしょうか。この記事では、経営者や管理職の教養として心理学を学ぶ意義、また資格を取得したことで得られるメリットについて解説します。
ストレスがまん延する現代に求められる心理学
現代社会ではストレスがまん延しています。特に職場では、膨大な仕事量やノルマ、それに伴う残業やミス、加えて人間関係など多種多様なストレスがあふれています。なかにはそれらが要因となって精神疾患を発症してしまう方も少なくありません。そんな現代だからこそ、私たちにとって学ぶ意義があるのが心理学です。
心理学を学ぶことは、自分を知り、他者を知ること。そして精神疾患についても正しく理解すれば、自身やまわりの人が過度なストレスに見舞われた際にもすぐに対処することができます。
具体的には、自身のストレス対処法を見つけ出したり、他者と円満な人間関係を築けたり、同僚の悩みにいち早く気づき寄り添ったり。心理学を学ぶことはこれらの手助けになります。
心理学を学ぶ機会を広く提供する「こころ検定」
うつ病などの精神疾患や自殺が問題となっている現代では、一般の人びとであっても“心”について科学的に把握すること、つまり心理学を学ぶことが重要です。心理学を通じて心のメカニズムを学ぶことで、自らの悩みや、周囲の大切な人からの相談に対し的確に解決へと導いていく、ひいてはメンタルヘルスのケアにもつながっていくのです。
こうした考えから、日本学術会議協力学術団体メンタルケア学術学会が2017年に創設したのが「こころ検定」です。性別や年齢を問わず誰もが心理学を学ぶ機会を提供し、人の心を感じ取れる人材育成を目指す「こころ検定」は、2018年に文部科学省の後援検定試験となっています。
経営者・管理職が心理学について体系的に学ぶチャンス
社会人にとって、自分自身のストレスを管理することは大切です。なぜなら、ストレスは集中力やモチベーションの低下につながり、最終的には作業効率の低下として仕事に影響をおよぼすからです。
しかし、自分ひとりではうまくストレスに対処できない場合もあるでしょう。そんな時に、心理学を学んだ上司がいたらどうでしょうか。部下がストレスをため込まないように予防・支援しながら、部下のモチベーションを上げるように指導できます。つまり、心理学を学ぶことは、経営者や管理職にとっても非常に有意義なものだといえるのです。
「こころ検定」では専門性の程度に応じて、4級~1級まで設けられています。それぞれ公式テキストや対策問題集などの教材を利用して勉強していくことで、認知心理学や社会心理学などの分野だけではなく、精神解剖心理学や精神医科学、カウンセリング技法まで体系的に学ぶことができます。合格までの勉強時間は人により変動するものの、4級・3級ならば約1ヵ月程度といわれています。
「こころ検定」2級・1級は心理学のエキスパートレベル
「こころ検定」は創設の趣旨のとおり、基本的には初心者でも取得可能な資格になっています。しかし、2級からは一気にレベルが上がり、通信講座を利用しても合格までに4~6ヵ月はかかるといわれています。
その理由には、「こころ検定」2級に合格すると“メンタルケア心理士”、1級に合格すると“メンタルケア心理専門士”という資格認定を受けられることが関係しています。メンタルケア心理士は、メンタルケア学術学会が定める資格で、医療・福祉・教育・産業・公共サービスで実際のカウンセリング業務を行えるメンタルケアのエキスパートであることが証明されます。
専門性が高いことから、2級・1級の受験には基本的に通信講座を利用することになります。そして、晴れて合格することができたら、認定申請を行うことでメンタルケア心理士/メンタルケア心理専門士の資格が与えられます。
自他のストレスコントロールができる貴重な人材に
自身のストレスコントロールだけでなく、部下のメンタル不調予防・支援を職場で適切に対応できる人材が今後必要となってくるでしょう。そのため、経営者や管理職の方こそ、一度「こころ検定」の受検を考えてみてはいかがでしょうか。(提供:JPRIME)
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