新規で立ち上げたプロジェクトを一から管理する場合、予算の見積もりやスケジュール管理など膨大な業務をこなさなくてはならない。そのため「何からどうやって行うべきか分からない」と悩んでしまう人も多いだろう。そこで今回は、プロジェクトマネジメント(管理)で必要なスキルや手法、成功させるポイントをわかりやすく解説する。

経営に携わる人や今から新しくプロジェクトのマネジメントを担う人は参考にして欲しい。

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトを成功に導く マネジメントにおける5つの秘策
(画像=MichailPetrov/stock.adobe.com)

はじめにプロジェクトマネジメントについて最低限知っておくべきことをおさらいしておこう。

「プロジェクト」とは

一般的にプロジェクトとは、本来の業務以外で特定の目的を達成するために臨時で行われる業務を意味する。普段の業務(ルーチンワーク)とは異なり期間が限定されている点が特徴だ。具体的には、新規事業の立ち上げや新商品開発、ITシステムの開発などがプロジェクトに該当する。

プロジェクトマネジメントの概要

プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功させるために計画の策定や業務の管理などを行うことである。具体的には、最終的なプロジェクトのゴールを明確にし、ゴールから逆算して「いつまでに何を誰がどのように行うか」を明確にすることが必要だ。そのうえで計画通りにプロジェクトが進むように予算や人員、進捗状況などを管理していく。

プロジェクトマネジメントの重要性

プロジェクトマネジメントが重要視される理由は、効率的な業務遂行を実現できると同時にプロジェクトの成功可能性が高まるからである。予算やスケジュール、各メンバーが行うべきことを明確にすることでただぼんやりと作業をこなす場合と比べてより短い時間でプロジェクトをこなせる可能性が高まるだろう。

また緻密な計画と管理に基づいてプロジェクトを進めるため、成功する可能性も高い。

プロジェクトマネジメントの活動内容

プロジェクトマネジメントの知識体系である「PMBOK(Project Management Body of Knowlegde)」では、プロジェクトマネジメントのプロセスを「立ち上げ」「計画」「実行」「監視・コントロール」「終結」という5つに大別している。各プロセスで行う主な活動内容は以下の通りだ。

  • 立ち上げ:プロジェクト憲章(目的やゴールなどを定めた書面)の作成、ステークホルダーの特定など
  • 計画:予算やコスト、スケジュールなどの計画策定など
  • 実行:チーム編成・育成、プロジェクト実行の指揮、発注先の選定など
  • 監視・コントロール:人員やスケジュール、品質の管理など
  • 終結:成果物の引き渡しなど

プロジェクトマネジメントで必要なスキル4つ

プロジェクトマネジメントを遂行するにあたっては、主に以下4つのスキルが求められる。

1.全体を俯瞰する力

一般的にプロジェクトでは、複数のチームに分かれてそれぞれの専門領域に関する業務を担う。そのためプロジェクトマネジメントを行う者には、特定のチームだけでなく全体を俯瞰して計画や管理を行う力が求められる。特定チームのみの成果ばかりを重視すると他のチームが行う業務の質が低下したり計画通りに業務が進まなくなったりする恐れがあるだろう。

その結果、他チームが行う業務の質や進捗状況にも悪い影響がおよびプロジェクト全体が円滑に進まなくなってしまうのだ。このような事態にならないためにもプロジェクトでは全体最適を意識したマネジメントが求められる。

2.将来を予測する力

円滑なプロジェクトの進行を実現するには、将来を予測する力も不可欠だ。新規事業の立ち上げといった難易度の高いプロジェクトでは、途中で想定外のトラブルやミスが生じる可能性がある。途中で思わぬトラブルやミスが生じると大幅な手戻りや損失が生じるリスクが高い。手戻りや損失を回避するためにもあらかじめ生じ得るトラブルやミスをすべて予測し未然に対策しておくことが重要である。

3.コミュニケーション力

プロジェクトマネジメントでは、業務を担うメンバーはもちろん上司や取引先などあらゆる利害関係者と接する機会が生じる。そのためコミュニケーション力はプロジェクトの遂行にとって不可欠なスキルといえるだろう。ここで注意すべきなのは、利害関係者の立場や業務内容などによってプロジェクトに対する姿勢や重視すること、理解度などが異なる点である。

相手によって考え方が異なるため、ただ単に専門知識や自身の意見を伝えるだけでは、相手に納得したうえで行動してもらうのは困難だ。相手に応じて伝え方を変えることができてこそ、はじめてプロジェクトマネジメントで役立つコミュニケーション力といえるだろう。

4.プロジェクトマネジメントに役立つ知識

プロジェクトを成功させるには、マネジメントに役立つ広範な知識を持っておくとなお良い。例えば後述する「ガントチャート」や「WBS」といった手法に関する知識があるとマネジメントの効果や効率性の向上につながるだろう。またシステム開発などの専門性が高いプロジェクトでは、各メンバーが行う実務に関する知識(プログラミングなど)も最低限持っておくとコミュニケーションの円滑化につながる。

プロジェクトマネジメントで役立つ手法3つ

プロジェクトマネジメントでは、円滑な業務の遂行に役立つ手法がいくつか存在する。この章では、数ある中から特に役に立つ3種類の手法を紹介していく。

ガントチャート

ガントチャートとは、縦軸が作業内容、横軸が日付となっている図表である。作業内容ごとに進捗状況や担当者を記入することで、プロジェクトにおける「やるべきこと」と「進捗状況」を一目で把握できる点が特徴だ。エクセルや無料ツールで簡単に作成できる点、スケジュールや作業内容の調整を容易に行える点がメリットである。

PERT

PERT(Program Evaluation and Review Technique)とは、プロジェクト全体の流れと各業務の所要日数を可視化する手法、およびその図表である。業務が多く複雑なプロジェクトにおいて各業務の関連性を明確化したりプロジェクト全体の所要時間を推定できたりする点がメリットだ。また納期遅れを防ぐうえで重要な業務(クリティカルパス上の業務)を見つけ出し重点的に対策を講じることも可能となる。

WBS

WBS(Work Breakdown Structure)とは、プロジェクトを複数の作業に分解し構造化した図表に表す手法である。プロジェクトの成功に不可欠な業務を抜け漏れなく洗い出せる点がメリットだ。また業務を階層構造に表すことでメンバーやチーム間で業務を分担することが容易となる点も魅力といえる。

プロジェクトマネジメントを成功させるポイント5つ

最後にプロジェクトマネジメントを成功させるポイントを5点解説する。実際にプロジェクトマネジメントの業務を担う人は、ぜひ参考にして欲しい。

成果物から逆算してプロセスを策定する

まず大前提として成果物から逆算してプロセスを策定することが不可欠だ。成果物から逆算することでゴールまでの道筋が明確になると同時に重要な業務を抜け漏れなく行えるようになる。成果物を明確にせずにプロセスを策定するとやるべき業務が抜け落ちてしまったり途中で何をすべきか分からなくなって時間が無駄に過ぎたりするリスクがあるため、注意しなくてはならない。

目標や目的をチームで共有する

目標や目的をチーム間で共有することもプロジェクトマネジメントでは不可欠だ。たとえ明確で分かりやすい目標や目的があってもプロジェクトのリーダーだけしか把握していないと各メンバーは何をどうやって行うべきかわからない状態でプロジェクトに取り組むことになる。その結果、無駄な業務を行って時間や予算を無駄にしたり想定外のトラブルやミスが生じたりしかねない。

目標や目的をチーム間で共有してはじめて円滑なプロジェクトの遂行につながるわけだ。

想定外の事態を想定しておく

先ほど簡単に触れたがプロジェクトのマネジメントを行う際には、あらかじめ想定外の事態を想定しておくことがベストである。新規事業の立ち上げやシステム開発など難しいプロジェクトであるほど想定外のミスやトラブルが生じやすい。「計画通りに進まない可能性の方が高い」という前提に立ったうえでミスやトラブルによる損失を最小限に抑える施策を考えておこう。

やるべきことや各メンバーの役割を明確化する

プロジェクト全体の計画と同時に各メンバーの役割や業務内容を明確にすることも重要だ。一人ひとりの役割や業務内容が不明瞭だと各メンバーは「プロジェクトが失敗しても、自分の責任ではないだろう」という他人任せの考えに至る恐れがある。全員が他人任せになると最終的にはプロジェクト全体の質や進捗にも悪い影響が生じかねない。

一方で役割や業務を明確にすればプロジェクトに対して責任感や主体性を持ってもらえるようになる。一人ひとりが責任と主体性を持てばプロジェクトの成功に大きく近づくだろう。

上司や経営陣からの支持や理解を得る

プロジェクトを進めるにあたっては、予算配分や人員配置などをめぐって上司や経営陣から許可を得る必要が出てくる。そのため円滑にプロジェクトマネジメントを行うには、上司や経営陣から支持や理解を得ることは不可欠だ。上司や経営陣から全面的に理解を得られればより多くの予算を配分してもらえたり優秀な人材を優先的に回してもらえたりするなど会社全体から強力なバックアップを得られるだろう。

プロジェクトマネジメントで視座が高まる

プロジェクトマネジメントの質を高めればプロジェクトが成功する可能性やプロジェクト遂行の効率性を高める効果が期待できる。新規事業やシステム開発といった重要なプロジェクトに今回紹介した手法やスキルを役立ててみよう。(提供:THE OWNER

文・鈴木 裕太(中小企業診断士)