成功している株式投資家の多くは「王道の考え方」を理解し、自分に合った形で自身の投資行動に落とし込んでいます。この記事では株で勝つために必要な考え方や、逆にやってはいけない取引パターンを解説したうえで、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット流の手法もご紹介します。

目次

  1. 株に必勝法は存在しない
  2. 「損小利大」が資産を増やす王道の考え方
  3. これをやると負ける取引パターン5選
  4. 投資の神様バフェット氏は「価格」と「価値」の乖離に注目
  5. 必勝法はないが、「王道の考え方」で勝率を高めることはできる

株に必勝法は存在しない

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(画像=Photocreo Bednarek/stock.adobe.com)

そもそも株に必勝法は存在しません。それにもかかわらずネットや雑誌などで必勝法の文言を見かけることがあるのは、誰もが潜在的に必勝法への期待があるからです。最初に、株の必勝法についての正しい認識を確認しておきたいと思います。

不確実な世界において「必勝」「絶対」などはまやかし

株など相場で決められる価格で取引されている金融商品の世界には、「ランダムウォーク理論」という仮説があります。値動きには特段の規則性があるわけではなく、不確実に動いているだけであるとする説です。あくまでもこれは仮説ですが、本当に必勝法があるのであればランダムウォークではなく、値動きを正確に言い当てることができるはずです。

相場にはさまざまな思惑を持った市場参加者が集まり、それぞれの考え方や情報に基づいて取引をしています。そんな不確実さが大きなウェイトを占めている世界で「必勝」「絶対」という言葉が当てはまるはずはなく、そんな言葉で必勝法や情報を販売しているような広告はまやかしです。

「勝ち」がいつまでも続くわけではない

仮に、ある戦略で数回勝てたとします。同じ戦略で数回勝てたら、その戦略に再現性があると思ってしまうものです。しかし、相場にはさまざまな局面があり、状況が変わってしまうとそれまで通用していた戦略や手法が通用しなくなることもよくあります。

では、次に同じ局面が来たら必勝法として機能するのでは?と思われるかもしれません。しかし、残念ながら次に同じ相場局面がいつやってくるかは誰にもわかりませんし、それを事前に言い当てることはできません。

「こうしたら勝てた」という戦略があるのは事実ですが、再現性が100%ではない以上、それはやはり必勝法とは呼べません。

鉄板の投資手法が通用しないこともある

先ほど述べた相場の局面には、数えきれないほどの種類があります。相場なので上か下しかないというイメージをお持ちの方は多いですが、上下の動きにもさまざまなチャート形状や強弱があります。仮によく見られるような値動きのパターンになったとしても、大きなニュースが流れたことでそれが崩れる可能性もあります。

1つの投資手法が上手くいったことでそれを必勝法と認識するのは危険です。それが他人の作った必勝法だとするとなおさらで、どんなロジックで構築されたものなのかもわからないので、よりリスクは高くなるでしょう。

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「損小利大」が資産を増やす王道の考え方

相場の世界には「損小利大」という言葉があります。損失を抑えて利益を大きく取ることでトータル利益を増やす考え方です。これは投資の王道であるといわれており、「最終的に勝つ」ことを目的としたものです。特に多くの銘柄がある株式投資では有効な考え方なので、詳しく解説します。

3勝7敗でも資産は増えるのが株式の世界

10回の株取引をして、「7勝3敗」と「3勝7敗」であれば、どちらが利益を上げているでしょうか?普通に考えれば前者の「7勝3敗」のほうが利益を上げているはずですが、必ずしもそうではないのが株の世界です。

先ほどの比較は10回の株取引でまったく同じ金額の勝ちと負けがあったことが前提になっており、それぞれの取引で利益額や損失額が異なることは想定されていません。もし「3勝7敗」であっても3勝の利益が大きく、7敗の損失額が小さければトータルではプラス収支となります。これが、「損小利大」の考え方です。

勝率よりも資産の増加額を気にするべき

「7勝3敗」と「3勝7敗」では、やはり7勝しているほうが株で儲かっていると実感しやすいので、多くの投資家(特に初心者)はそちらを目指してしまいがちです。しかし、そこに1つの落とし穴があります。

その落とし穴とは、勝率にこだわりすぎるあまり、結果として資金を減らしてしまう可能性が高いということです。株 式投資を始める最大の目的は、資金を増やすことです。その増えたお金で生活を豊かにしたり、老後の安心を得ることが株式投資の目的なのであれば、勝率よりも資産の増加額に関心を持つべきであることはいうまでもありません。

極端な話をすれば、最終的に資金が増えているのであれば「1勝9敗」でも問題はないということです。

こまめな損切りが重要となる

含み損が出ている株を手放して損失を確定させることを、損切りといいます。損切りは勇気のいることであり、誰もがそれを好んでやりたいとは思いません。しかし、含み損が出ていてなかなか解消しないということは、その株取引は失敗だったのです。失敗を潔く認め、損失額が小さいうちに撤退することができれば損小利大に向けて大きな前進です。

損切りはできるだけ感情を挟まず、機械的に実行するのが有効です。たとえば、購入時よりも株価が10%下落したら自動的に損切りをするルール設定をしたとします。10銘柄に対して10万円ずつ投資したとすると、総資金は100万円です。10%の株価下落で損切りをするということは、損切り時には1銘柄あたり1万円の損失確定となります。これが、7銘柄あるとします。

その一方で株価が1.5倍に上昇した銘柄が3つあるとします。これで「3勝7敗」となるわけですが、3勝はそれぞれの銘柄が株価1.5倍になっているので、プラス5万円×3銘柄で15万円の利益確定です。

その一方で、負けた7銘柄で1万円ずつの損切りをしているので、7万円の損失確定です。これをトータルすると8万円の利益となり、「損小利大」がうまく機能していることがわかります。わずか3銘柄しか株価が上がっていないのに、しっかり利益を上げることができます。

これと同じ想定で、もし損切りをしなかったとしたら、負けた7銘柄のうち3銘柄の株価が半分になってしまっただけでマイナス15万円となり、勝っている3銘柄分の利益を吹き飛ばしてしまいます。しかも残り4銘柄でも負けているのですから、トータルのマイナスはより大きなものになるでしょう。

このように株で利益を上げるにはこまめな損切りが重要で、しかもそれを明確にルール化しておくことが有効であることがおわかりいただけると思います。

トレンドが崩れない以上、保有し続けて利益をいかに伸ばすことができるかが重要

株価にはトレンドがあるので、保有銘柄が上昇トレンドを継続しているうちは保有し続けてしっかりと利益を取ることが「損小利大」の「利大」を実践するためにも重要です。「損小利大」の考え方で株取引をすると損切りをする取引のほうが多くなりがちなので、少ない勝ちのなかでしっかりと利益を伸ばしていく考え方が、トータルの収支を伸ばしていくことにつながります。

FX(外国為替保証金取引)など他の投資にはあまり通用しない考え方ですが、特に株式投資の世界では「損小利大」をしっかりと意識してトータルでの勝ちにこだわりましょう。

これをやると負ける取引パターン5選

「損小利大」は一部の負けを認めながら最終的に勝つことを目的とした考え方ですが、その一方で「これをやると負ける」という取引パターンがあります。これらの負けパターンを反面教師とするために、「やってはいけないこと」を5項目にまとめました。

負けパターン1:含み損をいつまでも引きずる

含み損とは、未確定の損失のことです。逆に未確定の利益のことを含み益といいます。含み損が出ている株を手放すことで損失を確定させるのが損切りですが、先ほども述べたように損切りには勇気がいります。そこで人は「持っていればいつかは値を戻すのではないか」と考えたくなります。しかし、これはもはや見通しや予測ではなく、願望です。

その銘柄を取り巻く環境が変わったり、相場のトレンドが変わったことによって値を戻すことはあるかもしれませんが、それを期待して持ち続けたとしても「神風」が吹くとは限りません。このように、特に根拠はないものの損切りを嫌い、株を持ち続けることを塩漬けといいます。

一見すると、塩漬けは損失を確定させずに脱出チャンスをうかがっている状態なので有効であるように見えるのですが、塩漬けをしている株に投じたお金は拘束されたままなので、次なる投資の機会損失が続いている状態です。含み損が出ている状態をいつまでも引きずっていることによる最大の損失は機会損失なので、やはり適切な損切りは重要です。

負けパターン2:損切りと一緒に利益が出ている銘柄まで売ってしまう

損切りをすると一時的に資金が減るので、その状態を嫌って含み益が出ている銘柄も一緒に売って「トントン」にしようとする人がいますが、これも「やってはいけなこと」の1つです。

上昇トレンドが継続中の銘柄を、「損失をカバーしたいから」という理由だけで手放すのは、さらなる利益を帳消しにしてしまうので、トータルでは損失につながるおそれがあります。

負けパターン3:「中長期」と言いながら、目先の値動きで売買を繰り返す

株式投資には短期や中期、長期といった時間軸によるさまざまな目線があります。短期目線では目先の株価を追いながら少ない利幅を何回も取りに行く投資スタイルになります。その一方で中期、長期の目線では短期的な株価の騰落に一喜一憂することなく、長期的にその企業が成長して株価がそれに見合ったものになることを期待します。

この使い分けは、とても重要です。特に多いのが、中長期目線であると言いながら実は目先の株価を追う短期目線になってしまっている負けパターンです。株価は刻一刻と変動しているので、ずっと相場画面を見ていると手を出したくなるのが人情ですが、その場合は短期目線で相場を分析できていなければなりません。

中長期の目線で株価の成長に期待すると言いつつ、わずかな値上がりで売ってしまうといった取引パターンに心当たりのある方は多いと思いますが、これは目線の置き所がちぐはぐなので、いつか「中長期目線のつもりで買った短期目線の株」で大きな損失を出してしまうおそれがあります。

負けパターン4:目標の売却株価がない

「安く買って高く売る」のが株式投資の勝ちパターンですが、それぞれの株価にしっかりとした戦略と目標が必要です。たとえば現在の株価が500円の銘柄であれば、「300円まで下がったら買い、1,000円になったら売り」といったように目標を立てるという具合です。

もちろん、ここで示した買いと売りの目標株価にはそれぞれ根拠が必要です。なぜ300円で買いなのか、なぜ1,000円になったら売るのか、それぞれに根拠がなければ「運任せ」になってしまいます。

運任せのトレードは株価が「上か下か」という二者択一の売買になるため、コインを放り上げて表裏を当てるゲームをしているのと大差ありません。

丁半ばくちで大富豪になった人がいないことを考えると、やはり限界があります。株式投資には戦略と目標、そしてそれぞれに根拠が必要なのです。

負けパターン5:トレンドに逆らう

株に限らず、相場には必ずトレンドがあります。上昇トレンドや下落トレンド、その他にもレンジ相場、三角持ち合いなど実にさまざまです。相場にトレンドが発生しているときには、多くの市場参加者がそのトレンドを前提とした取引をします。株価は多数決で決まるので、トレンドに乗ることは多数派になることを意味します。

トレンドが発生しているのにあえてトレンドに逆らうということは、自分から少数派になって多数派と戦わなくてはならないということです。仮に10人が10万円ずつ買っている相場で、それに1人で対抗しようと思うと100万円の資金が必要です。しかし相場にトレンドが発生しているときは他の市場参加者も続々と多数派に加わるので、少数派はますます不利な立場に置かれます。

相場の流れに逆らわない「トレンドフォロー」は、特に投資初心者にとって有効な勝ちパターンです。そこであえて逆張りをする戦略をとるのは、もっと株式投資に慣れてからでも遅くはないと思います。

投資の神様バフェット氏は「価格」と「価値」の乖離に注目

バークシャー・ハサウェイという投資会社の代表を務め、「投資の神様」と評されているのがウォーレン・バフェット氏です。バフェット氏はこれまでに投資で多くの実績を残しており、彼の考え方には投資家として成功できる多くのヒントがあります。

値動き(価格)ではなく、本質的価値(企業価値)に注目

短期的な株価にあまり関心を持たず、その企業の本質的な価値に着目するのがバフェット氏の投資哲学です。その企業の事業内容がシンプルでわかりやすく、長期的にその事業で成果を上げるであろうと予想できたときに、バフェット氏はその企業の株を大量に買い付けます。もちろん短期的に売却することは考えておらず、その企業が大きく成長して株価も高くなったときに売却をして、巨額の利益を手にしてきました。

この考え方は、個人投資家でも実践することができます。こうした考え方に基づく株式投資を「バリュー投資」といいます。バリュー投資では短期的な株価に一喜一憂することなく、中長期的に株価の成長を資産増につなげることができます。

本質的価値よりも価格が安くなったところで購入する

本質的価値よりも株価が安いときのことを、株の世界では「割安感がある」といいます。また、一度全体的に下落した株価のなかでその銘柄だけ株価を戻していないことを「出遅れ感がある」と表現します。

こうした表現にはいずれも、企業の本質的な価値が株価に反映されておらず、いずれ本来の価値どおりの株価になったときに利益を上げることができるというニュアンスが含まれています。まさにバフェット氏が考える、株の買い時です。

歪みに着目して投資をする

企業の本質的価値と株価の乖離のことを、バフェット氏は「歪み」と呼んでいます。歪みは一時的なものであり、いずれあるべき姿になるというのが持論で、「歪みを見つけることが唯一の必勝法である」とも述べています。

バフェット氏の言う歪みを見つける作業はバリュー投資にも通じるものがあるので、個人投資家にも大きなヒントになります。

必勝法はないが、「王道の考え方」で勝率を高めることはできる

株に必勝法はなく、「絶対に勝てる」ということはあり得ません。しかしバフェット氏のように豊富な投資経験を持つ成功者のなかには独自の投資理論を確立している人も多く、そんな先人や賢人の言葉から「王道の考え方」を学ぶことはできます。投資に失敗はつきものなので、いくつも失敗をしながら投資家としてのステップアップを目指しましょう。

文・田中タスク
エンジニアやWeb制作などIT系の職種を経験した後にFXと出会う。初心者として少額取引を実践しながらファンダメンタルやテクニカル分析を学び、自らの投資スタイルを確立。FXだけでなく日米のETFや現物株、商品などの投資に進出し、長期的な視野に立った資産運用のノウハウを伝える記事制作に取り組む。初心者向けの資産運用アドバイスにも注力、安心の老後を迎えるために必要なマネーリテラシー向上の必要性を発信中

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