クラウドファンディングを通したベンチャー株投資が個人投資家の間で広がっています。これを使うと、10万円程度の資金でベンチャー企業(スタートアップ企業)の未公開株を得ることが可能となります。その基本的な仕組みと上場株と比較したときのメリット・デメリットを紹介します。

ベンチャー株投資とは?ネット上で投資家登録・投資ができる

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(画像= moonrise/stock.adobe.com)

ベンチャー株投資の市場をけん引しているのは、株式投資型クラウドファンディングで国内取引量No.1といわれる「ファンディーノ」です。このプラットフォームを使えば、10万円程度からの小口資金でベンチャー企業の株式や新株予約権を得ることが可能になります。

投資までの流れは、プラットフォーム上で投資家登録をした後、資金を集めているベンチャー企業と融資額を選択するだけです。目標額に達すれば投資が成立し、個人投資家はベンチャー株取得の権利を得られます。直近(2020年7月時点)の投資家登録数は約3万人に達し、これまでに資金提供されたベンチャー企業の数は約100社にのぼるとのことです。

なお、ファンディーノで投資募集したい企業は、公認会計士など複数の専門家によって金融商品取引法に基づいた審査が行われます。この審査に通った企業のみ資金募集が可能になります。

ベンチャー未公開株投資のメリット:上場株よりも大きなリターンが期待できる

ベンチャー株投資の最大のメリットは、上場株をはるかに上回るリターンへの期待です。IPO(新規株式公開)やバイアウト(第三者への売却)などのエグジットが発生した場合は、大きなリターンを得られる可能性が高まります。

ベンチャー株投資のもう1つのメリットは、投資金額に応じた所得税の優遇制度「エンジェル税制」の適応です。ただし、この制度はエンジェル税制の対象企業に投資した場合のみ使える点に注意しましょう。

ベンチャー未公開株投資のデメリット:経営破綻リスク

ベンチャー株のデメリットは、経営破綻リスクが大きいことでしょう。テレビ東京の取材によると、ファンディーノを通して資金提供されたベンチャー企業の数は約3年間で100社ほどですが、そのうちの2社は経営破綻しているとのこと。ベンチャー株投資はハイリスク・ハイリターンのため、余剰資金の範囲内で行うのがよいでしょう。

上場企業も破綻する可能性はありますが、財務情報が広く公開されているため、リスクが高まったときには事前に株式売却などの手段がとれます。また、上場企業は証券会社が定める基準にあてはまると上場廃止になりますが、ベンチャー株投資ではこういった基準もありません。

ファンディーノでは、事業や経営状況を透明化するよう、個人投資家が投資先企業から事業進捗やIR情報を定期的に受けられる仕組みをつくっています。とはいえ、社会的責任の大きい上場企業のほうが、より安心感があると考えるのが一般的でしょう。

”株取引の流動性が高まるか”がさらなる成長のカギ

今後、国内のベンチャー株投資市場がさらに盛り上がるためには、実際にIPOによってハイリターンを手にする個人投資家がたくさん現れることがポイントです。合わせて、ベンチャー株の流動性もカギを握りそうです。

ファンディーノを運営する日本クラウドキャピタルの代表取締役CEO・柴原祐喜氏は「取引所のようなものを構築することで、非上場株の流動性を高め、より多くの投資家が参加できるような市場をつくっていきたい」とインタビューで述べています。これが実現されるか否かにも注目したいところです。

文・本間 貴志
ビジネス書に特化した編集会社のサラリーマン・ライターを経て、資産運用や税務の分野を専門とするライターとして活動。自身で賃貸物件の経営や、年間で億単位の株式売買も行っている

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