老後2,000万円問題が話題となり、資産運用を始める人が増えています。しかし、投資初心者には投資の種類や運用方法など、わからないことも多いでしょう。そこで今回は、資産運用ははじめて、という人が知っておきたい基礎知識や、その種類、そしてそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

目次

  1. 資産運用とは?なぜ必要なのか
  2. 資産運用のメリット・デメリット
  3. 資産運用の始め方と資産運用のリスク
  4. リスクを踏まえた資産運用の始め方3つのポイント
  5. 資産運用の種類と活用したい制度
  6. まとめ:資産運用で将来に備えよう

資産運用とは?なぜ必要なのか

金融
(画像= Monet/stock.adobe.com)

資産運用とは、言葉のとおり“資産“を“運用“することです。では一体、“資産”とはなにを指すのでしょうか。また、“運用”とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

資産とは?

資産とは、預貯金で保有している現金だけでなく、お金に換算される財産のことをいいます。個人の資産の場合、手元にある現金や銀行に預けてあるお金のほか、家屋、土地、車も資産となります。もちろん、保有していれば株式や投資信託などの有価証券、それに、終身保険なども該当します。

資産を運用するとは?

「資産を運用する」とは、さきほど紹介したような資産を働かせ、活用することで収益を得ることです。保有している資産が現金であれば、株式や投資信託などの金融商品を買ったり、保有している資産が家屋や土地であれば、人に貸して収益を得たりすることができます。

なぜ資産運用が必要なのか

資産運用が必要な理由は、主に2つあります。1つめは「老後資金づくり」です。日本人の平均寿命は年々延びており、人生100年時代と呼ばれているいま、100歳まで生きることを前提とした資金づくりが必要でしょう。現在、預貯金が低金利のため、現金を貯めるだけでは老後までに十分な老後資金が得らないことも考えられます。これからの時代は、運用して増やしていくことが重要なのです。

2つめは「インフレリスクに備えるため」です。インフレとは、インフレーションの略で、モノの値段が上がることです。

同じモノを購入するのであっても、100円で買えていたものが200円となると、わたしたちの生活を圧迫することもあるでしょう。モノの価格が上昇するのに伴い、給与などの収入も上昇すれば景気はよくなりますが、手元で寝かせている(使っていない)現金に関しては価値が下がっていきます。そのため、寝かせている資産を運用してインフレリスクに備える必要があります。

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資産運用のメリット・デメリット

資産運用が必要だといわれていますが、メリットとデメリットを把握しておかなければ資産を増やすどころか、逆に減ってしまう恐れもあります。

資産運用のメリット1:インフレリスクに対応できる

上記で解説したとおり、インフレが起こるとお金の価値は下がっていきます。いまの日本では、大幅な金融緩和が実施されています。日本銀行ではインフレ率2%を目標にしているため、日本では今後もインフレが継続していく見通しです。

それによる現金の目減りを抑えるためには、2%以上の利回りが期待できる資産運用をし、お金に働いてもらえばよいのです。

資産運用のメリット2:複利効果が得られる

利息の計算には、単利と複利の2種類あります。単利とは、元本に対してのみ利息がつくものです。一方複利は、元本についた利息にもさらに利息がつきます。

100万円を年利2%で運用する場合、単利では1年目も2年目も、利息はずっと2万円です。しかし複利の場合では1年目の利息は2万円ですが、2年目は元金と合わせた102万円×2%になり利息は2万400円、3年目になると104万400円×2%になり利息は2万808円となります。2年の経過で単利に比べて1,200円以上利息は増えています。こうして雪だるま式に資産が膨らんでいきます。長期で資産運用すると、複利の恩恵を存分に受けられるでしょう。

資産運用のメリット3:不労所得が得られる

不労所得とは、自身が働かずして得られる所得のことです。代表的なものには、不動産の家賃収入や株式、投資信託による配当金があります。お金に働いてもらう仕組みづくりをすれば、働かなくても収入を得ることができるのです。

資産運用のデメリット1:投資の勉強に割く時間が必要

資産運用を続けていくためには、保有している商品の状況や世界の金融ニュースなどを継続してチェックすることが重要です。資産運用は、その資産の世の中におけるニーズ(需要)に影響を受けます。需要が大きく減ると、価値を大きく減ずることもあります。ですから、資産を保有したら、その資産に関する世の中の需要の動きを知るため、情報収集と学びをし続ける必要があります。

資産運用のデメリット2:元本割れの可能性がある

資産運用では、元本の保証がされていません。そのため、運用結果によっては損失が発生することもあります。必ず利益が出るわけでないことを念頭に置いておきましょう。

資産運用の始め方と資産運用のリスク

資産運用を始めるのであれば、事前にリスクを知っておくとよいでしょう。あらかじめリスクを知っておくことで、いざというときに備えることができます。以下ではそれぞれのリスクと、それに見合った始め方の設定ポイントについて解説します。

価格変動リスク

価格変動リスクとは、運用した資産の価格が変動してしまう可能性のことを指します。価格が下落するリスクだけでなく上昇も合わせた値幅全体のことであり、価格変動リスクが高い場合は、大きいリターンも期待できることになります。反対に、価格変動リスクが低い場合は、得られるリターンも小さくなります。日本円ではなく、外国の通貨で運用するような資産運用の場合は、為替変動による価格の変動リスクもあります。

信用リスク

信用リスクとは、株式を発行している企業や債券を発行している国・自治体の財務状況が原因で、債務不履行が超こる可能性のことです。財務状態が悪くなると株や債券の価格は下落するほか、最悪の場合は倒産してしまうと、元本がゼロになることもあります。

金利変動リスク

金利変動リスクとは、金利の変動によって金融資産の価値が変動してしまう可能性のことです。なかでも債券は、金利変動リスクの影響を大きく受ける運用商品です。債券の金利はあらかじめ決まっており、満期になれば額面金額で償還されますが、満期前に売買することもできます。

この満期前に売買をする場合、市場金利が上昇していれば債券価格は下がり、市場金利が下落していれば債券価格は上がる傾向にあります。

流動性リスク

資産運用は、手元にある現金などを資産として働かせることであり、働かせるためには、いったん現金ではない資産に変える必要があります。預金であっても、現金そのものから預金という形にいったん状態を変えなければなりません。このとき、必要に応じて現金化しやすいかどうかをあらわす言葉として流動性リスクがあります。

たとえば普通預金ならATMへいけばすぐに現金化することができるので、流動性が高く、流動性リスクは低いとなります。対して、不動産投資の場合は、現金化する場合は、売却をしなければならず、そのためには売却先を選び、契約し、登記を変更し…とハードルが多く、流動性は低く、流動性リスクは高い、となります。一般に流動性の高い資産は流動性リスクが低いため利率は低く、流動性の低い資産は流動性リスクが高いため、利率は高い傾向にあります。

リスクを踏まえた資産運用の始め方3つのポイント

これらのリスクを踏まえたうえで、資産運用の始め方ポイントを確認しましょう。

資産運用を始めるポイント1:目的と目標を設定

まず、自分の目的や目標を明確にすることが大切です。「老後資金の準備」「教育費の準備」「アーリーリタイアしたい」など内容は人によって異なりますが、目的がなければそれに向かって最適な資産運用ができません。

また、それに見合った目標を立てることも重要です。老後資金の準備を目的とする人であれば「〇年後までに2,000万円用意する」など、具体的な期間と金額を数値化します。数値化することで、どのくらいの期間、どれくらいの利回りでいくら運用する必要があるのかわかります。

資産運用を始めるポイント2:余裕資金で行う:価格変動リスク、流動化リスク

余裕資金とは生活費や生活防衛費を除いた資金のことで、仮に失ってもいまの生活に影響しないであろうお金のことです。余裕資金以外に生活費や生活防衛費で資産運用していた場合、万が一損失が出ると生活していくことが困難になります。したがって、価格変動リスクに備えた余裕資金で資産運用をしましょう。また資産運用しているときは、すぐに現金化して使うことができない資金となりますので、この点でも、余裕資金で運用することが重要となります。

資産運用を始めるポイント3:自身で理解できない運用は絶対しない

さまざまな情報を目にしたところで、最終的に売買をするのは自分自身です。「自己責任原則」という言葉にもあるとおり、損失が出たとしても、それは自らの責任であることを意味します。そのため、自分が理解できない商品や運用方法で資産運用しないということが大切です。運用する際は、投資対象について理解してから行いましょう。

資産運用を始めるポイント4:分散投資を心がける:信用リスク、価格変動リスク

分散投資とは1つの投資先に集中投資するのではなく、さまざまな投資先で資産運用し、信用リスクや価格変動リスクを抑える投資法です。

たとえば、外国株式へ集中投資するのではなく、国内株式、外国株式、債券、不動産などへ分散して投資する、投資先の分散投資を行えば、企業の信用リスクや市場の需要変化による価格変動リスクに対応できます。

また、投資するタイミングを分散させることによる時間の分散投資もあります。毎月一定額をこつこつ積み立てる積立投資などはこの方法の1つです。これにより価格が高いときは少なく、低いときは多く投資できるので、価格の平準化ができ、価格変動リスクに対応することができます。

資産運用の種類と活用したい制度

ひとくくりに資産運用といっても、投資先の種類はさまざまです。また、それらの運用で活用できるお得な税制度もあります。では一体、どのような種類の資産運用や税制度があるのでしょうか。

資産運用の種類

資産運用の種類は主に6つあり、「預貯金」「外貨預金」「国債」「株式投資」「投資信託」「不動産投資」が挙げられます。なかでも株式投資や投資信託が比較的手軽に始めやすい投資といえるでしょう。それぞれの特徴を見ていきましょう。

・資産運用の種類1:預貯金

預貯金は、日本人の最も多くが実施している資産運用です。銀行や郵便局に現金を預け入れ、預入金額に応じた利息を受け取ります。元本割れの可能性は低いですが、低金利の現在において預貯金ではお金はほとんど増えないと考えてよいでしょう。

・資産運用の種類2:外貨預金

外貨預金は、名前の通り円貨ではなく外国の通貨で行う預金のことです。一般に外国の銀行の預金のほうが利息は高い傾向があり、この利息を狙う投資となります。そのため、その国の通貨に一度両替えをして投資することになります。この両替えの際に為替変動リスクが伴い、1ドル100円で預けていた預金が、払い戻すときに90円になることや、110円になる可能性もあります。また、預金とはいえ、外貨での預金のため国内のような預金保険の対象にはならず、投資先の銀行が破綻した場合は、元本が保護されません。

・資産運用の種類3:国債

国債とは、国が発行する債券のことです。国債のほかに、地方公共団体が発行する地方債もあります。国債は、国が国民からお金を借りるため、一般企業よりも破綻リスクが低いのが特徴です。しかし、市場金利が上昇すると債券の価格が下がっていくため、インフレリスクに弱い一面もあります。

・資産運用の種類4:株式投資

株式投資では、保有している企業の業績が上がれば株価が上がり利益になるほか、企業によっては利益の一部を株主に還元する「配当金」や「株主優待」を受け取ることができます。一方で企業の業績によって株価が下落するリスクもあります。

・資産運用の種類5:投資信託

投資信託とは、投資家から集めた資金を専門家が運用し、運用によって得た利益を投資家へと還元するものです。投資信託は、少額の資金から始めることができ、商品の種類の豊富さによって分散投資が可能です。しかし、運用成績によってはリターンを得られないこともあります。

・資産運用の種類6:不動産投資

不動産投資とは、マンションやビルなどの不動産を購入し、賃貸することで家賃収入を得られる投資法です。家賃収入による運用益のほか、不動産価格が値上がりしたときに売却すると売却益も得られます。不動産投資では空室、家賃滞納リスクや、天災、建物の老朽化によるリスクが伴います。

また、最初に不動産を購入する必要があるため多額の資金が必要です。初心者にはハードルが高いと感じる場面も多いでしょう。

資産運用で活用したい制度

資産運用の際は、得られる収益に対して税金がかかります。しかし国は、将来設計をしやすくするべく個人の投資を促進するため、非課税となる制度を用意しています。これから投資を始めるなら、ぜひこの制度を活用するとよいでしょう。

・節税効果が得られる制度1:つみたてNISA

つみたてNISA(ニーサ)とは、毎年40万円を上限に、最長20年間一定の投資信 託へ投資でき、運用で得られた利益が非課税になる制度です。通常、資産運用で得た利益(配当金と譲渡益)には約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAで運用することで非課税となり、節税効果が期待できるでしょう。

つみたてNISAは、証券会社で口座を開設していなくても銀行で始めることができます。しかし、取扱い銘柄数は、銀行よりもネット証券のほうが多いため選択肢が広がるでしょう。大手ネット証券は購入時や解約時の手数料が無料であることも多く、コスト削減に繋がります。

・節税効果が得られる制度2:NISA

NISAとは、年間120万円を上限に最長5年間、株式や投資信託などの運用で得た利益が非課税となる制度です。SBI証券では、NISA口座での取引手数料は恒久的に0円となっているほか、楽天証券では国内株式の買付、売却手数料が無料などコスト面でもメリットが多数あります。

・節税効果が得られる制度3:iDeCo

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金のことです。毎月一定額を投資信託や保険、定期預金などで積み立て、60歳を過ぎると一時金や年金として受け取れます。しかし、60歳まで途中で払い戻しができないため注意が必要です。

iDeCoのメリットは、資産運用でお金を増やせるだけでなく、積み立てた金額のすべてが所得控除の対象になることです。また、運用で得られた利息や配当金などの運用益も非課税になり、さらには受け取り時点でも公的年金等控除、または退職所得控除の対象となります。

SBI証券、楽天証券、松井証券など、一部の大手ネット証券ではiDeCoの運営管理手数料が無料のため、低コストで運用することができます。

まとめ:資産運用で将来に備えよう

資産運用を行うことで複利の効果を得られ、効率的に資産を増やすことができます。また、老後資金やインフレリスクに備えられるメリットもあります。一方で、価格変動リスクや信用リスクなど、資産運用に伴うリスクを知っておくことも重要です。目的や目標を明確にして、自分に合った金融商品で資産運用していきましょう。

文・丸山 希
フリーランスライター。第3子出産を機に、2018年11月より資産運用を開始。NISAでETFやREIT、個別株の売買を行う。その後は米国株へも挑戦。投資をきっかけに政治や経済などお金のことに興味を持ち、より知識を深めたいとの思いから、現在FP2級取得を目指している。