株式投資の利益にかかる税金は難しいといわれます。しかし、要所さえ押さえればそれほど難しくはありません。また、ポイントを知っていれば節税もできます。

この記事では、株式投資にかかる税金について、

  • 株取引を行って税金がかかるケース
  • 株取引で確定申告が必要となるケース
  • 株取引で節税することができる方法

の項目を中心にわかりやすく解説します。

目次

  1. 1.株式投資でかかる「税金」|株式投資の「税金」の基本を押さえよう
    1. 1-1.株式投資の「利益」にかかる「所得税」と「住民税」
    2. 1-2.課税には「総合課税方式」「分離課税方式」がある
    3. 1-3.株式の「売却益」か「配当益」かによって課税される「所得」の種類が変わる
    4. 1-4.「売却益」の課税方式は2択、「配当益」の課税方式は3択
    5. 1-5.株取引の「配当金・配当益」にかかる税金
  2. 2.株式投資でかかる税金の計算
    1. 2-1.株式投資で100万円儲かったらいくら税金がかかるのか?
    2. 3.株式投資の課税に関わる証券会社の口座の基本
    3. 3-1.「一般口座」は慣れている人向け、「特定口座」は初心者向け
    4. 3-2.特定口座での「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の違い
    5. 3-3.申告したほうがいいケースは「節税になるとき」
  3. 4.株式投資における4つの節税方法|「損益通算」「繰越控除」「配当金」「NISA」
    1. 4-1. 株式で売却損が出たら使える「損益通算」とは
    2. 4-2.「損益通算」で引き切れなければ「損失の3年間繰越控除」で節税可能
    3. 4-3. NISA口座なら、株の売却益・配当金が非課税に
    4. 4-4. 配当金を総合課税で申告すると税金が得する人とは
  4. 5.株式投資の確定申告
    1. 5-1.確定申告が必要な口座
    2. 5-2.確定申告の注意点
  5. まとめ:株式投資で得た利益の節税方法は多数あり!NISAを使った節税もおすすめ

1.株式投資でかかる「税金」|株式投資の「税金」の基本を押さえよう

▽税金の課税制度の種類

①総合課税制度 ②源泉分離課税制度 ③申告分離課税制度
課税方式の内容と課税対象、申告の有無 対象となるすべての所得の「合計金額に」課税される。確定申告で損益通算できる 対象となる所得ごとに、他の所得金額を合計せず「別々に」課税され、源泉徴収される(確定申告は任意) 対象の所得について、他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算し、確定申告によってその税額を納める
具体的な課税対象所得の名称 (1)利子所得(源泉分離課税とされるもの及び平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等を除く)
(2)配当所得(源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したもの及び、平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当について、申告分離課税を選択したものを除く)
(3)不動産所得
(4)事業所得(株式等の譲渡による事業所得を除く)
(5)給与所得
(6)譲渡所得(株式等の譲渡による譲渡所得を除く)
(7)一時所得
(8)雑所得(株式等の譲渡による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く)
(1)利子所得に該当する利子等(総合課税又は申告分離課税の対象となるものを除く)
(2)私募の特定目的信託のうち、社債的受益権の収益の分配に係る配当
(3)私募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る配当
(4)懸賞金付預貯金等の懸賞金等
(5)金融類似商品の補てん金等
(6)一定の割引債の償還差益
山林所得土地建物等の譲渡による譲渡所得株式等の譲渡所得等平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等に係る利子所得一定の先物取引による雑所得等

※太字が株式投資に関わる箇所

〔参考・出典〕国税庁:No.2220 総合課税制度
No.2230 源泉分離課税制度
No.2240 申告分離課税制度

上記は個人の所得にかかる税金について、その種類をまとめた表となります。太字が株式投資に関係する課税の種類となります。ここでは、これらの個人が株の取引を行った場合にかかる税金と、その申告の有無、種類について説明します。

1-1.株式投資の「利益」にかかる「所得税」と「住民税」

株式投資で得た利益には税金が2つかかります。1つは所得税、もう1つは住民税です。所得税は国に納める税金、住民税は居住地の都道府県や市区町村に納める税金です。いずれも後述する「総合課税」または「分離課税」で課税されます。

1-2.課税には「総合課税方式」「分離課税方式」がある

課税方式には、「総合課税方式」と「分離課税方式」の2種類があり、税率は以下のとおりとなっています(分離課税方式は、さらに源泉ありと申告に分かれますが、税率は同じです。冒頭の表を参照)。
▽所得税と住民税における課税方式の種類

総合課税制度 分離課税制度
適用される税率 所得税(復興特別所得税) 5~45%の間で7段階に分けられた税率が所得額に応じて適用される。所得が多ければ多いほど、高い税率で所得税を計算する 税率15.315%
住民税 一律10%の税率で計算 一律5%の税率で計算

1-3.株式の「売却益」か「配当益」かによって課税される「所得」の種類が変わる

基本的に株式投資を行うと、「利益」が出たときに税金がかかります。税金を計算するうえでは、利益が売買によるものなのか(売却益)、配当によるものなのか(配当金、配当益)で、所得税法上、所得区分や税金の計算が変わります。両者の違いは下記の通りです。

・株式の「売却益」は「譲渡所得」→分離課税
株式の売却益は譲渡所得に該当し、後述する「分離課税」で課税します。

・株式の「配当益」は「配当所得」→総合課税または分離課税
株式の配当益は「配当所得」に該当し、「分離課税」「総合課税」のいずれかで課税します。なお、分離課税を選択すると株式の売却損との損益通算が可能になり、総合課税を選択すると配当控除が可能になります。損益通算も配当控除も節税策です。ただ、同時に選ぶことはできず、より有利なほうを投資家自身が選ぶことになります。

1-4.「売却益」の課税方式は2択、「配当益」の課税方式は3択

以上から、株式の売却益・配当益それぞれで、選択肢が次のように分かれることになります。

▽売却益

「②源泉分離課税(申告不要の分離課税)」or「③申告分離課税(申告する分離課税)」

▽配当益

「②源泉分離課税(申告不要の分離課税)」or「③申告分離課税(申告する分離課税)」or「①総合課税(申告する総合課税)」


つまり、株式の「売却益」は「分離課税方式」以外の課税方式はありません。一方、「配当益」については「申告するかしないか」「総合課税か分離課税か」を選ぶことができるのです。

1-5.株取引の「配当金・配当益」にかかる税金

株式の「配当金」「配当益」にかかる税金は、売却益と同じ20.315%です。配当金を総合課税で申告すると節税できる場合があります(後述)。

2.株式投資でかかる税金の計算


ここでは、株式投資の税金を実際に計算してみましょう。

2-1.株式投資で100万円儲かったらいくら税金がかかるのか?

ここで、株式投資で100万円儲かったケースについて考えてみましょう。この100万円がもし株式の「売却益」や「配当益」で「分離課税」を選ぶと、税金は次のようになります。

  • 所得税:100万円×15.315%=15万3,150円
  • 住民税:100万円×5%=5万円
  • 合計:20万3,150円

対して、配当益について総合課税を選んだ場合、ほかの所得と合算されたうえで5~45%の税率が適用されます。住民税については10%の税率なので10万円の課税です。

もし仮に、課税所得が150万円であり、そのうち配当所得が100万円だとすると、配当控除10%が適用されるため、配当にかかる所得税は単純に〔100万円-(100万円×10%)〕×税率5%=4万5,000円になります。つまり配当益にかかる税金は、所得税4万5,000円+住民税10万円の合計14万5,000円ということです。

ただ、実際の総合課税の計算では、社会保険料控除や扶養控除、基礎控除を加味したうえでの税額計算となるため、一概にこの計算通りになるとはいえません。

3.株式投資の課税に関わる証券会社の口座の基本

株式の利益にかかる税金については、開設する口座によっては所得計算や税金計算が不要になります。ここでは証券会社で口座を開設する際の基本的な知識について説明します。

3-1.「一般口座」は慣れている人向け、「特定口座」は初心者向け

株式投資は証券会社に口座を開いてから行うことになります。この口座には「一般口座」と「特定口座」の2種類があります。

・特定口座
証券会社で年間の損益を計算してくれるので、初心者に適しているといえます。

・一般口座
自分自身で年間の損失・利益を計算し、翌年2月16日~3月15日の間に確定申告を行う必要のある取引口座です。すべての所得計算や税金計算を自分で行わなくてはならないため、投資初心者向きとはいえません。

3-2.特定口座での「源泉徴収あり」「源泉徴収なし」の違い

特定口座の場合、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」が選べます。

両者の一番の違いは「確定申告が必要かどうか」です。「源泉徴収あり」ならば、確定申告が不要になります。ただし、年間の利益が20万円以下だとムダな税金を払うことになります。

一方、「源泉徴収なし」を選ぶと、証券会社から送られてくる年間取引報告書をもとに確定申告をしなくてはなりません。また、利益によっては翌年の住民税や保育料が高くなることがあります。その反面、年間の利益が20万円以下なら確定申告をしなくてよく、余計な税金を払わなくてもいいというメリットがあります(確定申告については後述します)。

<ポイント>「申告不要」は「申告してもよい」

「利益がたいして出ないなら『特定口座の源泉徴収なし』を選んだほうがトクなのかも」と思う人もいるかもしれません。「特定口座の源泉徴収あり」の「申告不要」はあくまでも「申告してもしなくてもいい」という意味に過ぎません。つまり、申告してはいけないのではなく、申告してよいのです。

3-3.申告したほうがいいケースは「節税になるとき」

次のようなとき、「特定口座の源泉徴収あり」で取引して確定申告をすると、節税になります。

  • 年間の利益が20万円以下であるため税金の還付が期待できるとき
  • 課税所得額が一定額以下であるため「所得税は総合課税で確定申告」すると還付が期待できるとき

4.株式投資における4つの節税方法|「損益通算」「繰越控除」「配当金」「NISA」

株式投資では、損失が出た場合に節税が可能です。ここでは「損益通算」と「繰越控除」について主に説明します。また、そのほかの節税方法も紹介します。なお、「損益通算」「繰越控除」の適用を受けるには、確定申告が必要となります。

4-1. 株式で売却損が出たら使える「損益通算」とは

上場株式や投資信託、特定公社債等の売却損失は、ほかの有価証券の売却益や配当金・収益分配金と相殺することができます。これを「株式等の損益通算」といいます。損益通算をして株式等による利益全体の金額を減らせば、課されるべき所得税・住民税の金額も下がるので、すでに源泉徴収された税金の還付を受けることができるのです。赤字を確定申告すれば配当益と損益通算できます。

ただ、この損益通算をするには分離課税を選ぶことが必要です。また、配当金や収益分配金は分離課税の対象となるものだけが対象です。配当控除を選んだものとは損益通算できません。

4-2.「損益通算」で引き切れなければ「損失の3年間繰越控除」で節税可能

上場株式等の損失を活用して節税するのは損益通算だけではありません。その損失が 発生した年の売却益と相殺しても残ってしまうなら、翌年以後3年間繰り越すことができます。つまり、翌年や翌々年に生じた売却益や配当益・分配益・公社債の利子等と相殺し、さらに節税することが可能になるのです。こちらも損益通算と同様、分離課税であることが条件になります。また、損失を繰り越す期間は確定申告書を提出しなくてはなりません。

<ポイント>不動産所得や事業所得のようにほかの所得と合算できない

「損益通算」と聞いて、事業所得や不動産所得の損益通算と同じく、ほかの給与所得や雑所得の黒字と株式の譲渡損を相殺できるのではないかと感じた人もいらっしゃるかもしれません。しかし、株式の譲渡損失はあくまでも同じ金融商品の譲渡益や配当益との相殺ができるに過ぎず、分離課税の対象となる譲渡益・配当益のみです。

4-3. NISA口座なら、株の売却益・配当金が非課税に

NISA(少額投資非課税制度)口座内では一定期間、その運用益には所得税も住民税もかかりません(配当金の受取方法が株式数比例配分方式となっている場合)。NISAには現在、3つの種類があります(2024年からは、新NISA制度が始まります)。

<ポイント>NISAの注意点

非課税のメリットが大きいNISAですが、注意点が3つあります。

(1)非課税であるため、損失が出ても損益通算はできない

非課税口座内の年間の損益を相殺して赤字になったとしても、特定口座や一般口座で生じた運用益との繰越控除や損益通算はできません。

(2)1人1口座しか開設できない

複数の証券会社に口座をもっていても、NISA口座を開設できるのは1つだけです。また、すでに持っている一般口座や特定口座で保有している株式や投資信託を移管することはできません。

(3)非課税枠の再利用や繰越ができない

NISA口座内の株式や投資信託を売却してもその非課税枠の再利用はできません。また、未使用の非課税枠を翌年に繰り越すことも不可能です。
関連記事:「NISAの非課税メリットとは?「向いている人・向かない人」あなたはどっち?」

4-4. 配当金を総合課税で申告すると税金が得する人とは

配当金の申告には3つの選択肢があることをすでにお伝えしました。付け加えると、配当金は所得税と住民税とで「申告する・しない」「総合課税・分離課税のどちらで申告するか」などと、かなり選択肢が広いのです。その分、節税の余地があるわけですが、手間もかかります。

(1) 配当金の課税方式は所得税と住民税で別々にできる
2017年度の税制改正により、上場株式等の配当等と特定口座の株式売却益は所得税と住民税とで別々の課税方式を選べるようになりました。源泉徴収ありの特定口座で受け取った配当金については、所得税は総合課税方式で確定申告し、住民税では申告不要とすることができます。

ただ、通常、所得税の確定申告を総合課税で行うと、自動的に住民税にも総合課税が適用されてしまい、特定口座の源泉徴収ありならば5%の税率で済んだところが10%で課税されることになってしまいます。節税目的の場合、所得税で総合課税の確定申告を行ったなら、住民税では「申告不要」の確定申告をあえて行う必要があるのです。

(2) 課税所得900万円以下の人は「所得税は総合課税で申告」「住民税は申告不要」が得
株式の配当金に関しては、課税所得900万円以下の人は「所得税は総合課税」「住民税は申告不要」にすると節税できます(※この方法を選択すると、株式の譲渡損失との損益通算や3年間の繰越控除による節税はできません)。

この背景には税率の差があります。分離課税で適用される税率は所得税が15.315%、住民税が5%です。一方、総合課税で適用される税率は住民税が一律10%(配当控除率を加味すると7.2%)ですが、累進課税が適用される所得税の税率を見ると、次のようになります。

  • 課税所得額195万円以下……5%(配当控除率・復興特別所得税を加味すると0%)
  • 課税所得額195万円超330万円以下……10%(配当控除率・復興特別所得税を加味すると0%)
  • 課税所得額330万円超695万円以下……20%(配当控除率・復興特別所得税を加味すると10.21%)
  • 課税所得額695万円超900万円以下……23%(配当控除率・復興特別所得税を加味すると13.273%)
  • 課税所得額900万円超1,000万円以下……33%(配当控除率・復興特別所得税を加味すると23.483%)

比較すると、課税所得900万円までは総合課税の所得税(総合課税13.273%以下に対し、分離課税は15.315%)のほうが税率は低く、分離課税の住民税の税率(総合課税7.2%、分離課税5%)のほうが低いことがわかります。そのため、課税所得900万円以下の場合は「所得税は総合課税で申告」「住民税は申告不要」としたほうが節税になるのです。

5.株式投資の確定申告

ここからは、株式投資を行った場合の、確定申告について説明します。

5-1.確定申告が必要な口座

▽証券口座の種類別・確定申告の要・不要

口座名 名称 売却益の計算を誰が行うか 税金計算を誰が行うか 確定申告の要・不要
特定口座(源泉あり) 源泉徴収選択口座 証券会社 証券会社 不要(任意)※申告した方が得する場合がある
特定口座(源泉なし) 簡易申告口座 証券会社 証券会社 必要(損失が出たら申告不要、ただしした方が得な場合がある)
一般口座 一般口座 自分 自分 必要(損失が出たら申告不要、ただしした方が得な場合がある)

確定申告が必要なのは、「一般口座」と、源泉徴収を行わない「特定口座(簡易申告口座)」です(NISA口座は非課税のため、確定申告は基本的に不要です)。

5-2.確定申告の注意点

株式の売却や配当について確定申告するときはいくつか注意点があります。

(1)「利益20万円以下は確定申告不要」の正確な意味
株式や投資信託の投資を行っている中でよく見る説明書きの1つに「利益20万円以下は確定申告不要」というのを目にします。これはどういう意味なのでしょうか。

1つの会社に勤務し、給与所得を受け取っているサラリーマンについては、ほかに不動産所得や譲渡所得、配当所得や雑所得があっても、給与所得以外の所得の合計額が20万円以下なら所得税法上、確定申告はしなくていいとされています。所得とは平たくいうと利益のことです。そのため、資産運用をしても、その譲渡所得と配当所得の年間合計額が20万円以下なら確定申告はしなくていいこととなっています。

ただ、申告不要なのは所得税だけです。住民税は給与所得以外の所得額の年間合計額が20万円以下であっても確定申告はしないといけません。

(2)分離課税の申告では配偶者控除や扶養控除で節税できない
これまで説明してきたように、株式の運用益を確定申告する際には、総合課税と分離課税に分かれます。分離課税で申告する場合、配偶者控除や扶養控除で節税することはできません。これらの所得控除はあくまでも総合課税での制度だからです。

(3)3年間の繰越控除をするなら取引していなくても申告しよう
また、分離課税で株式の譲渡損失を3年間繰り越すならば、資産運用をしていない年も確定申告をしましょう。そうでないと損失を繰り越すことができません。

(4)配当控除と売却損失の繰越控除の選択は同時にできない
ときどきある誤解が「配当控除と売却損失の繰越控除を同時に行えるはず」というものです。すでにお伝えしたように、上場株式の配当には「申告不要」「総合課税で確定申告する」「分離課税で確定申告する」の3つの方法があります。総合課税を選べば配当控除が、分離課税を選べば売却損失と売却益・配当金との損益通算や繰越控除ができるわけです。

ただ、この節税メリットを両方とることはできません。つまり、同じ年に生じた配当金の一部を総合課税にし、ほかを分離課税にするということは不可能なのです。確定申告するならば、配当金全部について総合課税か分離課税かのいずれかで申告することになります。

(5)上場株式等の売却損益は未上場株式等の売却損益と相殺できない
上場株式等の損益通算や繰越控除の対象となるのは、2016年1月1日以降、次の3つに限られます。

  • 上場株式等の売却利益・配当(分離課税)
  • 公募株式投資信託の売却利益・収益分配金(分離課税)
  • 特定公社債等の売却利益・利子等(分離課税)

未上場株式の売却益も上場株式と同じく、税率20.315%(所得税率と復興特別所得税率が15.315%、住民税率5%)の分離課税で課税されます。ですが、未上場株式の売却損益と上場株式の売却損益は相殺できません。さらに、未上場株式の売却損失と未上場株式の配当や公社債の利子等と相殺することもできません。

まとめ:株式投資で得た利益の節税方法は多数あり!NISAを使った節税もおすすめ

この記事では、株式投資にかかる税金とその仕組み、節税方法、確定申告について説明しました。

株式投資によって得た利益にかかる税金については、さまざまな節税対策があります。取引する口座の種類、そして得られた損益に合わせ、この記事の内容を元に確定申告を行っていただき、節税に役立ててください。

鈴木まゆ子
税理士・税務ライター|中央大学法学部法律学科卒業後、㈱ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。「ZUU Online」「KaikeiZine」「朝日新聞『相続会議』」「マネーの達人」「納税通信」などWEBや紙面で税務・会計に関する記事を多数執筆。著書「海外資産の税金のキホン(税務経理協会、共著)」

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