5月31日、総合電機メーカーの日立製作所 <6501> の株価が一時5830円まで買われ、20年ぶりの高値を付けた。後段で述べる通り、日立製作所は2009年にリーマン・ショックの影響で過去最大規模の赤字(7873億円の最終赤字)を計上したが、その後、グループ再編・構造改革を推進し、2021年3月期には最終利益で過去最高の5016億円にまで回復。株価はこの12年で5倍に上昇している。
今回は日立製作所の話題をお届けしよう。
過去最大規模の赤字から、再起をかけたグループ再編・構造改革へ
日立製作所の歴史は1910年にまで遡る。茨城県の日立鉱山で、それまで輸入に頼っていた採掘に必要な発電機、ポンプなどの国産化を目指して設立したのが始まりだ。その後、モーターの技術を活かして扇風機や冷蔵庫、エレベーターなどへ事業を展開し、国内屈指の家電・電機メーカーとして成長した。また、戦後の1953年には米GEと提携し発電所向け設備等の分野にも参入、大型設備で日本を代表する企業としての地位を築いた。同時に半導体等のデバイスにも進出、東芝 <6502> とともに日本を代表する「総合電機メーカー」としての地歩を固めた。
そんな日立製作所が大きな試練に直面したのが、2008年9月に発生したリーマン・ショックだった。世界的な景気減速と需要減少、為替の円高等が直撃し、2009年3月期には過去最大規模の赤字となる7873億円の最終赤字を計上することになる。
日立製作所の再起をかけたグループ再編・構造改革はここから始まったのだ。