◉外資系保険会社の参入と当初の苦戦

しかし、こうした中で、保険業界は大きく舵を切ることになります。1973年にアリコジャパン(現メットライフアリコ)という外資系保険会社が日本市場に参入してきたのです。外資系生命保険会社台頭の始まりでした。

今では16社にも上る保険会社が、日本市場で営業展開しています。

外資系保険会社は徹底した社員教育により、保険のみならず、さまざまな金融商品や税制、相続や事業承継、資産運用などの知識を営業マンに吸収させました。そして今まで、人間的信頼関係中心で、ほとんどのセールスレディがやってこなかったビジネス的信頼関係の構築というコンサルティングセールスの手法で顧客の獲得に乗り出したのです。

しかし、外資系保険会社が日本市場に参入してきた当時は、日系保険会社のセールスレディと言われる人たちに市場を占領されていました。ただ占領されているといっても営業能力が優れているとか、保険商品が特に優れているということではありません。数撃てば当たる方式で徹底的な人海戦術でその市場を包囲されたていたというところです。
ただ日本市場のへの参入当初は、流石にコンサルティングセールスに長けた外資系保険会社の営業マンも、その牙城を崩すのに苦戦したのですね。

参考: お金の相談、どんな専門家が頼りになるか?〜日米金融サービスの違いに学ぶ〜

◉国内系生命保険会社の弱点

しかし、外資系保険会社は国内生保の掘った墓穴を見つけました。それが「定期特約付き終身保険」などの特約が満載で、内容が複雑な死亡保障を中心としたパッケージ商品です。

(編集注:「定期特約付き終身保険」は掛け捨て型の定期保険と一生の保障(あるいは還付が受けられる)貯蓄性の高い終身保険の組み合わせ商品です。加入直後は安い保険料で手厚い保障を受けられるなどのメリットがあるのですが、「掛け捨て部分の比率が多い(保険料を払っても貯蓄性が薄い)」「年齢が上がるに従って保険料も値上がりする」などのデメリットもあります。また一部の保険営業マンが、デメリットの説明をしないまま顧客に契約を促す例があるとして一部では問題視されています。)

また国内生保は、バブル前後に売り出した高い運用利率の保険を下取りと称して、低い運用利率の保険に転換させました。元々入っていた運用利回りの高い保険商品は複雑です。その複雑さを利用して変換していったのですね。

しかしこの様なことを外資系保険会社は見逃しませんでした。徹底的にそういった保険に加入してしまっていて不満を感じている人に対して攻勢をかけます。
自社の運用利回りの良い終身保険や収入保障といった掛け捨てであっても合理的な保険を中心に、得意とするコンサルティングセールスでもって顧客獲得につなげていきました。

そして、2013年3月、ついにかんぽ生命を抜く19.1%という日本市場での高いシェア(外資合計)を達成したのです。
しかし、国内生保はというと定期特約付き終身保険等々の死亡保障をその経営基盤としています。ですから、簡単には戦略を変更できません。
今後も、こういった意味においても、外資系保険会社の勢いは止むことはないと個人的には思います。

以上、簡単にではありますが国内生命保険市場の特殊性と外資系生命保険会社躍進の背景をお伝えしました。
ところで、保険業界は外資系の保険会社が参入し、コンサルタント的営業スタイルに変わりつつありますが、まだまだ「地域密着の保険レディーさん」的なイメージも根強い業界です。また前述の通り保険業界は、顧客への入り口がかなり狭く、非常に競争の厳しい市場です。
ではこうした保険業界で、どのような人が顧客に受け入れられ高い成果を上げているのでしょうか。

次回は「顧客サイドから見た良い担当者とはどのような人なのか?」というテーマでお届けしたいと思います。

BY NAD

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