「誰を昇進させ誰を昇進させないのか」「なぜその社員を昇進させるのか」。昇進人事は、人事のなかでも重要な仕事の一つだ。しかし、昇進させる社員をどのように見極めたらいいのだろうか。人事に携わる管理職がチェックしたい18のポイントを解説する。
昇進とは?
昇進とは、企業において社員の役職を上げる人事のことである。一般的には、平社員から課長、課長から部長などへと役職を上げる人事のことを指す。
昇進により社員の責任範囲が拡大したり部下を監督指導したりする役割が生じる。また、昇進により役職手当などで給与が増えるケースもあるだろう。なお昇進に似た言葉として「昇格」がある。
通常、昇格は社員が社内における何らかの職能資格を取得した際に使われるケースが多い。「昇進」と「昇格」は、同じ意味ではないので注意が必要だ。
昇進によって企業が得られるメリットとデメリット
昇進によって企業が得られるメリットとデメリットには、以下の点が挙げられる。
【メリット】
- 社員のモチベーション向上:昇進は、社員の努力が認められることを示すため、モチベーションを向上させ、社員の仕事への取り組みを強化できる
- リーダーシップの発揮:昇進によって、経験豊富な社員がリーダーシップを発揮し、部下を指導・育成することができる。これにより、組織全体のスキル向上が期待できる
- 組織の活性化:昇進を通じて人事異動が行われることで、新しい考え方やアイデアが導入され、組織の活性化が図られる
【デメリット】
- ピーターの法則(無能の原理):ピーターの法則とは、社員が自分の無能さを示すレベルまで昇進するという原理。この法則により、昇進した社員が新しい職務に適応できず、組織の効率が低下する可能性がある
- 昇進競争の悪影響:昇進を重視する企業文化において社員が昇進競争に熱中し、協力やチームワークが損なわれることがある
- 職務適性とのミスマッチ:昇進によって、社員が以前の職務とは異なるスキルや知識を必要とする新しい職務に就くことがある。その際、適切な研修やサポートがなければ、職務適性とのミスマッチが生じる可能性がある
このように昇進は、企業にとって多くのメリットをもたらす一方でデメリットも存在する。企業は、昇進の適切なタイミングや条件を検討し、社員の適性や能力に応じた人事評価を行うことが重要だ。またピーターの法則に対処するためには、昇進後の研修やサポート体制を整え、適切な職務配置を行うことが必要になるだろう。