企業の新卒採用が活発な時期となった。そのような状況で、近鉄グループホールディングスの採用担当者が、就職活動中の女子学生に不適切な行為を行ったことがニュースになった。これまでにもたびたび問題となっている「就活セクハラ」だ。その実態とは、どのようになっているのだろうか。
近鉄の採用担当者が就活生に不適切な行為
まず、近鉄グループホールディングスの採用担当者が行った不適切な行為について、報道されている内容や同社が発表した内容をまとめてみる。同社が社員のこの不適切な行為について発表したのは、2021年6月2日のことだ。
報道によれば、この採用担当者は同社の人事部の男性社員で、初めて女子学生と会ったのは2021年1月中旬に行われたインターンシップの場だったという。その後、男性社員はチャットアプリ「LINE」を使って女子学生と連絡を取るようになり、女子大生を食事やホテルに誘っていたようだ。
今回の男性社員の不適切な行為に対し、近鉄グループホールディングスは「あってはならないことであり、当社として深く反省」とお詫びし、男性社員に対しては「今回の事態を重く受け止め、厳重な社内処分を行います」とした。
再発防止策を発表、専用相談窓口の開設も
今回の騒動を近鉄グループホールディングス側も重く受け止め、再発防止策も発表している。例えば、採用活動に関わる社員に対し、専門の外部講師による研修を継続的に行っていくという。
また、就職活動中の学生がハラスメントなどに関する相談をできるよう、専用相談窓口を社内と弁護士事務所にそれぞれ設けることも発表している。
OB訪問で就活セクハラを受けるケースも続出
今回の近鉄グループホールディングスのように、就活セクハラはほかの企業でも起きているが、「OB訪問」でセクハラの被害を受けるケースも少なくない。
ある大手総合商社の社員は、OB訪問を受けた女子学生に対して不適切な行為をしたとして、刑事事件の被告となった。この被告は、女子学生と個室居酒屋で酒を飲んだ後、カラオケ店で一気飲みを強要するなどしたあと、ホテルで不適切な行為に及んだという。
ちなみに、このようなOB訪問は、民間企業が提供するOB訪問マッチングアプリなどを通じて行われるケースが多く、企業の目が届かないところで起きることもあり、企業側も対応に苦慮している。