金融庁は7日、「FinTech Innovation Hub活動報告 第2版(以下、FinTech Innovation Hub活動報告)」のレポートを公開した。

金融庁
(画像=月刊暗号資産)

同庁の公式サイトで公開したFinTech Innovation Hub活動報告では、金融庁が主導する次世代のフィンテック事業における取り組みが記述されている。

FinTech Innovation Hubは2018年に設立。フィンテックについての最新トレンド・状況を把握し、今後の日本における金融行政にも役立てていく観点を目的に活動を行っている。

その後も、定期的にフィンテック企業、金融機関、ITベンダー、金融メディアなど、100先以上の企業等と個別に意見交換を実施し、ブロックチェーンにかかる「国際共同研究」プロジェクトなど様々な活動を行っている。

今回、FinTech Innovation Hub活動報告では、以下のようなことが公表された。

ブロックチェーン等の分散型金融技術を応用したエコシステムが急速に拡大する中、分散型金融におけるガバナンス上の論点について、理解を深めていくことが重要となってきていると報告書内で指摘した。

規制当局者が理解しておくべき分散型金融システムの重要論点(DeFiコミュニティの動向や関連技術の発展、ガバナンスメカニズム、分散化の更なる進展に向けた見通し)、デジタル資産カストディアンにおけるキー・ライフサイクル・マネジメントのあり方(技術、オペレーション、責任分界、規制対応等)について、ドラフトペーパーを公表した。

またDeFiに加え、2021年3月に金融庁と日本経済新聞が共催したフィンテックに関する国際シンポジウム「FIN/SUM」で、デジタル世界での信頼構築に向けた課題について議論が交わされたことを紹介。ポストコロナを見据え、金融サービスにおける新たな信頼構築のあり方が重要な論点の1つと付け加えた。

この件について、FIN/SUMでは、非対面下での金融活動における新たな信頼構築に向けて、社会課題を解決するための革新的なアイデアの社会実装を目指していくとした。

またFIN/SUMでは、海外において暗号資産(仮想通貨)領域に金融機関、機関投資家、上場企業などが続々と参入してきていることも議題となった。これは新型コロナウイルスの対応で全世界的にマネーサプライが増加する中、暗号資産の認識が代替的なアセットクラスとして高まったこと、カストディ等のインフラ基盤が整備されたことが背景にあると分析され、さらには、伝統的な金融機関はビットコインを中心に運用するが、一方でテック系の事業会社はイーサリアム等のアルトコインにも分散投資するケースが増えてきていると明かされた。

FinTech Innovation Hub活動報告では、今後の次世代フィンテックの課題にも触れた。金融庁は利用者保護に十分配慮しつつ、エコシステムの健全な発展と金融サービスの向上に貢献していくため、最新動向の把握やイノベーションの促進に向けた事業環境の整備をするとし、「日本でのビジネス展開に魅力を感じる海外フィンテック企業はあるものの、言語の壁によるコミュニケーションの負担が大きいという声が聞かれている。我が国のフィンテック市場が成長していくためには、海外フィンテック事業者・投資家をエコシステムに組み込んでいくことが重要と考えられ、国内外のプレイヤ がコミュニケーションを取る環境の整備を行っていく必要がある」と、同取り組みを継続して行っていくことを示した。(提供:月刊暗号資産