ウィズコロナで増加した「おうち時間」を有効活用して、オンラインで新しい知識やスキルの習得を目指す人が増えている。無料オンライン講座情報サイト「クラス・セントラル」の調べによると、世界中の有名大学の授業をインターネットを通じて無料で受けられる「MOOCs(ムークス)」の2020年の新規利用者数は全世界で6000万人増加したという。その中で最も人気の分野はビジネス関連で全体の2割以上を占めている。新型コロナ禍で先行き不透明な現在、キャリアアップを視野に入れた自己啓発が世界的な広がりを見せているようだ。

そうした中で注目されるのが、ESG(環境・社会・ガバナンス)関連の資格である。ESGといえば、いまや企業経営や投資の観点からも重視されるテーマであるが、一方で専門知識と実践的なスキルを有する人材が不足しているとの指摘もある(詳細は後述)。急成長分野で人材が不足するのは珍しいことではないが、ESGも例外ではないようだ。

今回はキャリアアップを目指すビジネスパーソンにとって、必須の資格となる可能性を秘めた「ESG資格(ESG Qualification)」についてリポートしたい。

世界中で加速するサステナビリティへの取り組み

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(画像=tiquitaca / pixta, ZUU online)

近年、企業が社会から期待されている役割は商品・サービスの提供にとどまらず、安全かつ平等な労働環境づくりから雇用創出、品質維持(安全性の担保)、環境保全など広範囲な社会貢献活動に及んでいる。いわゆるサステナビリティへの取り組みが求められているわけであるが、企業サイドもそうした活動に関する情報を積極的に開示する傾向にある。

ちなみに、国際コンサル企業KPMGが世界52カ国5200社のサステナビリティへの取り組みを調査した『2020年サステナビリティ報告書』によると、52カ国における売上高上位100社の80%が、自社のサステナビリティ活動に関する報告書を公開している。また、日本におけるサステナビリティ情報を開示する企業の割合は(売上高上位100社の)99%と、英国とインドと並び世界で最も高い。