リクルートの主力事業

規模の大きさ、そして多角化の道は販促メディアでも著しい。日本経済新聞(2014年10月7日付)によれば、主力部門は「人材メディア」「販促メディア」「人材派遣」の3つのうち、収益の伸びが目立つのは人材メディアである。販促メディアは不動産情報の「SUUMO(スーモ)」、結婚情報の「ゼクシィ」、中古車情報の「カーセンサー」などを手掛ける。連結全体の約5割を占める。販促、人材ともメディア事業はインターネットに軸足を移していることから、掲載企業からの広告料収入で稼ぐ事業モデルの典型、とまとめている。

リクルートと同業他社との違いと今後

ここで、注目しておきたいのは、人材派遣をビジネスにしている他社と、リクルートは何がちがうのか、という点だろう。インテリジェンスは人材派遣、転職とアウトソーシングに軸足を置く。テンプスタッフ < 2181 > は女性中心の人材派遣企業。パソナグループ 〈 2168 〉 は官公庁の業務委託を得意としている。だが、先に上場している企業ほど、多角化に乗り出していないことが分かる。つまり、人材派遣業の枠を外れるようなビジネスモデルは構築していないのだ。

ところが、リクルートは販促メディアで積極的に新規開拓を行ってきており、傘下の子会社は121社にも及ぶ。敢えて社内ベンチャーを作ることも厭わない社風なのだ。そのため、今後上場することで株主への対策も必要となるだろう。人材派遣業他社が多角化に乗り出せないように、リクルートも株主の意向がどのように反映するかが注目される。もし、新たな収益部門が育成された場合は、同業他社の株価にも大きく反映されるだろうし、株主も経営に注文を付ける事になるだろう。その主要目的は海外でのM&Aに当てられると思われる。

写真: Dick Thomas Johnson via flickr cc