金融庁は19日、新たに「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」を設置したと発表した。
この研究会について、金融庁は社会経済全体のデジタル化が進む中、ブロックチェーンの活用を含め金融のデジタル化が加速していることを指摘。その上で、民間のイノベーションを促進し、さらに利用者保護などを適切に確保する観点から、送金手段や証券商品などのデジタル化への対応のあり方等を検討するために研究会を設置したと説明した。
座長は学習院大学大学院法務研究科教授の神田秀樹氏が務め、オブザーバーには財務省や日銀のほか、預金保険機構が名を連ねる。
第1回の研究会は今月26日にオンラインで開催される予定だ。
また併せて発表された資料では、「暗号資産(仮想通貨)」「証券」「送金(デジタルマネー)」の項目における関係者の狙いや、現在指摘されている課題などが挙げられている。
暗号資産の項目では、「株式など伝統的な資産に代わる投資対象」としての狙いがあると記載され、課題としては「マネロン・テロ資金供与対策」と「価格の乱高下」が挙げられた。また証券と送金のカテゴリーではそれぞれ低コストでの取引などが狙いとして挙げられ、課題としては暗号資産と同じくマネロン・テロ資金供与対策や、デジタル化に対応した取引インフラについて指摘した。
この資料では中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)も相関図に組み込まれたほか、「コンテンツ・著作物」という項目も確認された。
コンテンツ・著作物の狙いについては、「ゲームコンテンツなどの取引」が狙いとして挙げられ、「実態としてマネロンなどに用いられる懸念」があると指摘。特にゲームコンテンツなどの取引と記載されていることから、今年に入り飛躍的に成長しているNFTを示唆した可能性が考えられる。
金融庁は7日にもフィンテック事業における取り組みをレポートで公表している。
その際、「ブロックチェーン等の分散型金融技術を応用したエコシステムが急速に拡大する中、分散型金融システムにおけるガバナンス上の論点について、理解を深めていくことが重要となってきている」と指摘するなど、今後ブロックチェーンをはじめとした次世代技術や次世代組織に関する研究に注力していく姿勢を見せている。(提供:月刊暗号資産)