8月23日、ソフトバンクグループ <9984> の株価が一時5996円まで売られ、年初来安値を更新した。ソフトバンクグループ株の6000円割れは2020年9月以来11カ月ぶりのことだ。後段で述べる通り、同社は2021年3月期の連結決算(国際会計基準)で4兆9879億円の純利益を計上、国内企業の純利益としては過去最大を更新した。国内企業の純利益は、2018年3月期にトヨタ自動車 <7203> が計上した2兆4939億円がそれまでの最大だったが、ソフトバンクグループはその約2倍の純利益を叩き出したことになる。

ソフトバンクグループは株式市場での人気も高く、今年2月には2000年2月以来21年ぶりに1万円大台を突破、3月16日には1万0695円の高値を付ける場面もあった。ところが、その後5カ月ほどで株価は44%も下落している。背景には中国リスクが指摘されるが、一方でPBR(株価純資産倍率)の1倍割れを警戒する声もある。

今回はソフトバンクグループの話題をお届けしよう。

ソフトバンクグループ、中国株の影響を受けやすい体質

ソフトバンクグループ,株価
(画像=and4me / pixta, ZUU online)

ソフトバンクグループは、国内の携帯電話や無線通信サービス(移動体通信事業者)等を手掛けるソフトバンク <9434> やインターネット関連会社等を傘下に置く持株会社であるが、2017年5月に投資ファンドのSVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)を立ち上げてからは投資会社としての側面が色濃くなっている。本業の利益よりも、投資有価証券の売買損益などの影響を受けやすいのが大きな特徴だ。冒頭で述べた通り、ソフトバンクグループが2021年3月期の連結決算で4兆9879億円の純利益を計上、国内企業としては過去最大を更新したのも、世界的な株高を背景にSVF等の投資利益が増大したことが主因となっている。

ちなみに、ソフトバンクグループの2022年3月期第1四半期(4〜6月)決算の説明会資料によると、6月末現在の時価純資産(NAV)は26.5兆円で、そのうち34%がSVF等のファンド、39%が中国企業のアリババグループとなっている。また、SVF等のファンドのNAVは9.8兆円で、そのうち23%をDiDiなどの中国企業が占めているほか、未上場の投資先には動画共有サービスTikTok等を運営するバイトダンスなども含まれている。ソフトバンクグループは、中国株の影響を受けやすい体質にあると言って差し支えないだろう。

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