東京圏商業地で上昇しそうな町は「中央区」「港区」「品川区」


「再開発」と「新幹線」をキーワードに筆者が2014年に地価が上昇しそうな町をピックアップすると、「中央区」「港区」「品川区」であると考えています。(図表3)
これらの区では、下記図表4のような再開発プロジェクトが予定されており、駅前の商業地を中心に地価の上昇が予想されます。

さらに、「品川駅」を抱え、「羽田空港」へのアクセスも良いため、交通利便性も高い地区となります。実際、東京23区の公示地価上昇率をランキングすると都心部の中央区、港区はベスト3となります。品川区(商業地)の変動率は2.1%であり、江東区や目黒区より上昇の幅は小さいですが、2013年後半に羽田空港アクセス新線の建設構想が上がったこと。2015年はじめに首都高速中央環状線の延伸が決定するなど、「品川区」では交通利便性向上のプロジェクトが動いており、地価に好影響を与えると筆者は考えております。(図表4)

図表3 東京圏で地価が上がりそうな地域

順位 都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
都道府県 住所 公示価格
(円/㎡)
変動率
(%)
1 東京都 中央区勝どき3-4-18 954,000 10.9 福岡県 福岡市早良区高取2-5-10 259,000 10.7 愛知県 名古屋市東区徳川町2609番1 234,000 9.9
2 東京都 中央区佃3-3-9 1,430,000 10.9 福岡県 福岡市早良区西新2-11-9 295,000 10.1 愛知県 名古屋市東区白壁3-27-8 225,000 9.8
3 東京都 中央区月島3-25-3 952,000 10.8 神奈川県 川崎市中原区小杉町2丁目207番4 469,000 9.1 愛知県 名古屋市千種区清住町2丁目38番1 300,000 7.1
4 愛知県 名古屋市東区橦木町3丁目4番 364,000 10.6 神奈川県 茅ケ崎市赤松町12-36 250,000 7.3 神奈川県 茅ケ崎市赤松町12-36 233,000 6.9
5 東京都 中央区佃2-12-12 925,000 10.1 愛知県 名古屋市千種区清住町2丁目38番1 320,000 6.7 愛知県 名古屋市名東区上社2丁目45番 221,000 5.2
出典:地価公示(国土交通省土地鑑定委員会)より筆者作成
図表4 東京都都区部の区別公示地価前年比上昇率
住宅地 商業地
順位 変動率
(%)
変動率
(%)
1 中央区 8.7 中央区 4.7
2 千代田区 6.0 港区 4.4
3 港区 5.9 千代田区 4.2
4 新宿区 2.8 新宿区 3.4
5 渋谷区 2.8 渋谷区 3.4
都区部平均 1.8 都区部平均 2.7
全国平均 -0.6 全国平均 -0.5

【筆者紹介】
飛田久平 身近なニュースを投資に結び付けるという視点で10年超投資を行っている個人投資家です。FP資格保有。

出典: Craft Map http://www.craftmap.box-i.net/


関西圏は「あべのハルカス」よりも「うめきた」が有望。


関西圏で「再開発」と「新幹線」のキーワードを元に注目すべき町は、JR大阪駅北側の再開発エリア「うめきた」の周辺地域である大阪市北区及び福島区の地域です。これらの地域では、2014年の公示地価の上昇率(商業地)が北区では5.4%、福島区では5.2%と、大阪市の平均の3.6%を超える伸びを見せております。

一方、「あべのハルカス」がある阿倍野区、天王寺区も2014年の公示地価の上昇率(商業地)は4.3%、6.0%の大きな伸びですが、阿倍野区、天王寺区は新幹線や空港からのアクセスが「うめきた」地区から劣ります。過去大阪の再開発は、「OBP」や「南港」のように交通の便が悪い地区では失敗してきました。このことから阿倍野区、天王寺区よりも北区及び福島区が今後の地価上昇が見込まれると考えられます。


名古屋圏は「名駅」周辺と地下鉄鶴舞線、名鉄豊田線沿線が注目


名古屋圏では、商業地は三菱地所やJR東海による再開発事業が進んでいる名古屋駅周辺の名古屋市中村区。住宅地では、住環境がよく人気の高い、名古屋市から豊田市へ伸びる地下鉄鶴舞線、名鉄豊田線沿線の、名古屋市東区、昭和区、瑞穂区、日進市、みよし市の住宅地が平均を超えており注目です。名古屋圏の特徴としては地価上昇率が3大都市圏の中では最も大きくなっている点です。名古屋の地価上昇に追従して東京、大阪圏の地価が上がっていることから、名古屋圏の動きは全国に先がけた動向であると考えられます。


三大都市圏以外では「北陸新幹線」開通の「金沢」「富山」に注目


3大都市圏以外では、筆者は「新幹線」の開通による地価上昇に注目しています。2015年春には北陸新幹線長野~金沢間の開通、2016年には北海道新幹線新青森~新函館間が開通予定です。

特に「金沢市」「富山市」の両都市は、(ア)県庁所在地であること(イ)中心駅に新幹線が乗り入れること(ウ)東京、大阪へ2時間~3時間の所要時間で行けることから新幹線開通による交通利便性の向上が大きいと考えられます。「金沢市」では、金沢駅前武蔵地区や中心の香林坊地区での再開発により、金沢駅前のビルでは2014年の公示地価の上昇率が前年比11.4%と、全国4位に入りました。

富山市でも、富山駅から210mの富山市桜町2丁目では、前年比2.6%上昇しています。富山市は「コンパクトシティ」構想として中心部の公共交通の整備を継続して進めていることも相まって、今後富山駅前では地価の上昇が見られると考えられます。

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