ガソリン高騰、ついに160円を突破!価格が下がらない3つの理由
(画像=K&R/stock.adobe.com)

レギュラーガソリンの価格がなかなか下がらない。経済産業省によるとレギュラーガソリンの全国平均小売価格が160円/L(2021年10月4日時点)に達したという。自動車に乗る機会が多い人にとっては、家計への負担は重い。しかしなぜ、ガソリン価格は下落しないのか。何が要因となっているのか、さまざまな視点から分析してみる。

この3年間のガソリン価格の推移は?

まず、ガソリン価格がこの3年間、どのように推移しているのか、表で説明しよう。レギュラーガソリンの看板価格の推移をまとめているウェブサイト「e燃費」のデータを参照すると、以下の通りとなる。

ガソリン高騰、ついに160円を突破!価格が下がらない3つの理由

レギュラーガソリンの看板価格は、2020年5月の117.9円を底にその後は徐々に上がっていき、2021年7月には152.1円まで高騰している。2021年9月も150円台を割っておらず、高止まりの状態となっている。

ガソリン価格が下がらない3つの理由

では本題に入ろう。いま、なぜガソリン価格は高止まりしているのか。要因は大きく分けて3つある。航空機の運航数が以前より少ない状況であること、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいること、そしてアメリカ南部に巨大ハリケーンが相次いで襲来したことだ。

その1:航空機の運航数が以前より少ない状況

コロナ禍により、相変わらず航空機の国際線の便数は少ない状況が続いている。航空機はジェット燃料で飛行するため、現在はジェット燃料の減産を余儀なくされている状況だ。

ジェット燃料の減産は、原油から生産されるガソリンなどの生産にも影響を及ぼす。ジェット燃料の生産とガソリンの生産は同時に行われる仕組みだからだ。つまり、ジェット燃料を減産するということは、ガソリンの減産を意味する。

需要と供給の仕組みにおいては、供給が減ると商品の価格は上がるため、ガソリン価格がいま下がりにくくなっていると考えられる。

その2:新型コロナウイルスのワクチン接種が進みつつある

現在は前述の通り、航空機の国際線の往来は少ない状況だが、国単位で見ると、ワクチン接種が進んでいる国では人々の移動が活発になりつつある。人々の移動が活発になると自動車やバスによるガソリン消費が増えるため、ガソリンの需要が高まる。

先ほど触れた需要と供給の仕組みにおいては、需要が高まると商品の価格は上がる傾向があるため、ガソリン価格は今後も高止まりが続くかもしれない。

その3:アメリカ南部で相次いだ巨大ハリケーンの襲来

ガソリンの供給が減っている要因はもう1つある。それは、大型ハリケーンが米南部に相次いで上陸し、石油施設の従業員が避難を余儀無くされたことなどによって、操業休止が起きたからだ。すでに現在は生産の再開は進んでいるものの、市場のガソリン需要をまかなえていないのが現状だ。

今後、ガソリン価格は下がるのか?予測は可能?

では今後、ガソリン価格はいつ下落基調に入るのだろうか。結論から言えば、それを予測するのは非常に難しい。

例えば、仮にワクチンが全く効かない新型コロナウイルスの新たな変異株が登場した場合、世界情勢は一気に不安定化する。世界情勢が不安定化すると、ガソリンの需要と供給に予期せぬ動きが起こる可能性が高まる。そのため、コロナ禍がほぼ収束するまでは、ガソリン価格の推移を安易に予測することはでいない。

また、ガソリン価格に関しては、産油国が集まる中東情勢も影響してくる。最近はイスラム主義組織「タリバン」がアフガニスタンを制圧したこともあり、中東情勢が不安定化している。このようなことは、今後のガソリン価格の不確実性を高めている。

重い家計への負担、しばらくは我慢の時期が続く?

ガソリン価格が下がらないということは、原油価格が下がらないこととほぼ同義だ。そのため、原油から生産されるさまざまな製品の価格にも影響を及ぼし、結果的に家計への負担が重い状態が続いてしまう。しばらくは我慢の時期が続きそうだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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