10月4日、東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド <4661> の株価が一時1万8745円まで買われ、年初来高値を更新した。今年5月13日に付けた年初来安値1万4600円から5カ月足らずで28.4%の上昇である。

オリエンタルランドは、2021年3月期に上場来初の最終赤字を計上、2022年3月期の第1四半期(4〜6月期)も赤字を継続するなど、新型コロナ禍で厳しい経営を余儀なくされていた。

とはいえ、10月1日から緊急事態宣言が解除されたほか、米大手製薬会社が新型コロナの経口治療薬の有効性を公表するなど先行きへの期待も芽生え始めている。日米の株式市場では「経済活動正常化」の恩恵を受けると見られる銘柄に買いが集まる場面も観測されており、オリエンタルランドもその流れの中で高値を更新したようだ。

今回はオリエンタルランドの話題をお届けしよう。

株式市場で芽生える「経済活動正常化」への期待?

オリエンタルランド,株価
(画像=klyaksun / pixta, ZUU online)

2021年10月2日、米大手製薬会社のメルクが開発中の新型コロナの経口治療薬「モルヌピラビル」の有効性を確認し、緊急使用許可を申請すると発表した。メルクの発表を受けて、ニューヨーク株式市場では旅行やレジャー、消費関連など「経済活動正常化」の恩恵を受けると見られる銘柄に買いが集まり、一時は482ドル高を記録する場面も見られた。

折しも日本では10月1日に緊急事態宣言等を解除したこともあって、週明け10月4日の東京株式市場でも「経済活動正常化」への期待が広がった。旅行関連ではANAホールディングス <9202> が一時2974円と年初来高値を更新、日本航空 <9201> も今年6月以来の高値を付けたほか、消費回復期待から三越伊勢丹ホールディングス <3099> 、高島屋 <8233> も買われ、レジャー関連では富士急ハイランドを傘下に持つ富士急行 <9010> も上昇した。そして、オリエンタルランドも一時1万8745円と年初来高値を更新している。

オリエンタルランド、コロナ禍で営業損益は激しく変動

オリエンタルランドの業績を見てみよう。2021年3月期決算は売上高が前期比63%減の1705億円、本業の損益を示す営業損益は459億円の赤字(前期は968億円の黒字)、最終損益は541億円の赤字(同622億円の黒字)だった。

通期で最終赤字を計上するのは1996年の上場以来初めてのことだ。新型コロナ禍の休業や時短、入場制限などが響き、TDRの来場人数は前期比74%減となった。

オリエンタルランドの営業損益を四半期ベースで追ってみると、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が発生した2020年1〜3月期に41億円の赤字を計上、4〜6月期は第1回目の緊急事態宣言下でTDRが休業したこともあり156億円の赤字に拡大した。さらに7〜9月期は休業明けで85億円の赤字に縮小、そして10〜12月期は、GoToキャンペーン効果もあって43億円の黒字に転換した。

ところが、2021年1月に第2回目の緊急事態宣言が発令されたことから、同1〜3月期は261億円の赤字に拡大、4〜6月期は88億円の赤字に縮小している。新型コロナが終息する見通しが立っていないとはいえ、営業損益の変動の激しさが読みとれる。

オリエンタルランドは現状では正確な見通しが立てられないとして、2022年3月期の業績予想を開示していない。ただ、アナリストの平均予想であるQUICKコンセンサスは売上で70%増の2899億円、営業利益で5863億円の黒字となっており、業績回復への期待が強いようだ(9月25日現在)。

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