2021年12月22日13時過ぎに井口喜雄さんに直接聞いた現在の相場観とFXトレード戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)

現在の為替相場の傾向や相場観

羊飼いのFX突撃取材
(画像=PIXTA)

各国中銀のイベントを終えてやや方向感にかける展開が続いているが、昨日21日(火)は米国株高を受けたリスクオンからクロス円は揃って上昇している。米ドル/円も再び114円台に乗せており、この大台をキープできるかが焦点となるだろう。テクニカル面でも12月に入り、112.50~114.20円で膠着状態が続いているだけにそろそろブレイクしてほしいところだ。また、マーケットではトルコリラが大荒れの展開となっている。チャートを見ると連日値動きが30%を超えるなど為替の世界では異次元であり、その要因はエルドアン大統領の言動によるものだ。トルコは物価上昇が続く中、利下げ政策をとっているため、トルコリラの下落が続いていたが、その対抗策としてリラ買いの為替介入を実施したほか、一昨日20日(月)はリラ預金支援策(トルコリラの下落により起こる損失を政府が補償する政策)を公表し、トルコリラは大暴騰となっている。さらに、昨日21日(火)からオーバーナイト金利が急騰したことで、投機的なリラ売りには一時的な効果が出ており、今週に入りトルコリラ円は6円台から一時10円台まで上昇するなど乱高下が続いている。

現在の為替相場の戦略やスタンス

来年3回の利上げを織り込んだFRBのタカ派スタンスを考えると、中期的なドル高スタンスというのはやはり合理的に思える。米ドル/円はFOMC後の高値114.26円を上抜けると考えており、ユーロ/米ドルも1.30ドルをバックに戻りを狙っていきたい。一方で荒れるトルコリラはエルドアン政権が力業でリラ安を防いでいるが、その副作用には警戒が必要だろう。まず、トルコリラ買いの為替介入は短期勢の催促相場になる可能性があり、預金支援策も補填額が巨額の損失となった場合のリスクが高い。オーバーナイト金利の操作も結果的にはトルコの信頼を失うことになりかねないなど、今後も予断を許さない状況だ。また、クリスマスから年末年始にかけては流動性が低下することもあり、トルコリラに関してはポジションを縮小してボラティリティから身を守ってほしい。

井口喜雄
トレイダーズ証券市場部ディーリング課。認定テクニカルアナリスト。1998年より金融機関に従事し、ディーリング業務に携わる。2009年からみんなのFXに在籍し、ドル円や欧州主要通貨を主戦場にディーリング業務を行う。ファンダメンタルズからみた為替分析に精通してるほか、テクニカルを利用した短期予測にも定評がある。月刊 FX攻略.comで「現役為替ディーラーが本音で語る”Dealer’s EYE”」を連載中

羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。