年末恒例の大掃除をしていると、屋根裏部屋に積み上げられた段ボールのなかから1冊の古いノートがでてきた。学生時代、株式投資を始めたばかりの筆者が新聞や雑誌などの情報に基づいて書き留めた「投資予想ノート」である。友人たちと競い合うように、ドキドキ、ワクワクしながら日々の株価を追いかけていたあの頃……。ノートを開くと、思わず笑ってしまうような突拍子もない考察から信憑性のあるものまで種々雑多で、なかなか面白い。小1時間、大掃除を忘れて読みふけってしまったが、「若い頃の自分はこんなことを考えていたのだな」と断片的にでも振り返ることができた貴重なひとときだった。

さて、時は流れ、新型コロナウイルスに翻弄された2021年もまもなく終わろうとしている。「光陰矢の如し」という言葉があるが、新型コロナ禍で単調な自粛生活が続いたせいか、あっという間の1年だったようにも感じられる。筆者の暮らす英国では変異ウイルス・オミクロン株による感染が首都ロンドンを中心に拡大しており、2021年12月17日には新規感染者数で9万3,000人と過去最多を記録、日常生活も経済もまだまだ予断を許さない状況だ。

そうしたなかで迎える2022年はどのような1年となるのだろうか?
今回は「2022年、株式市場のトレンド(Stock Market Trends for 2022)」をテーマにお届けしよう。

2022年は、米国を中心とした「金融政策」に注目

株価,見通し
(画像=MicroOne / pixta, ZUU online)

まず、2022年の展開で注目されるのが、米国を中心とした各国の「金融政策」である。

12月15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)において、 FRB(米連邦準備理事会)は量的緩和策を目的とした米国債などの資産買い入れを徐々に減らす「テーパリング」のペースを加速させる方針を決定した。同時に、参加者らの政策金利見通しでは「2022年に3回の利上げ予想」が示された。パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見でテーパリング終了から利上げまで「それほど長い時間の遅れはないだろう」としている。

FOMCの決定で、株式市場は本来売られてしかるべきであったが、実際の12月15日のマーケットは逆の動きとなった。マーケットはかねてよりFRBの利上げを警戒していたが、むしろ「FOMCを通過した安心感から買いが優勢となった」と12月16日付の日経電子版は伝えている。しかし、だからといって下値不安が払拭されたとみるのは時期尚早だろう。

そもそも米国ではインフレが落ち着いていない。米労働省が発表した11月の米CPI(消費者物価指数)は前年同月比の上昇率が6.8%で、約39年ぶりの高水準を記録した。米CPIがさらに上昇傾向を強めてくるようであれば、消費や企業収益への悪影響も否めない。FRBの金融政策についても、物価の安定を重視し、金融引き締めに前向きな「タカ派」を一段と後押しすることにもなりかねない。

一方、12月16日には、イングランド銀行(英中央銀行)が政策金利を0.15ポイント引き上げ0.25%とすることを決定した。しかし、冒頭で述べた通り、英国では新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多を記録しており、このような状況で「利上げに動いて大丈夫なのか?」といった不安も否めない。12月16日付のブルームバーグは『英中銀、予想外の利上げ-新型コロナの影響よりインフレを重視』といったタイトルの記事を配信しているが、筆者としては「本当に問題ないのか?」といった疑問は拭いきれない。

重視するのは新型コロナ対策か、それともインフレ対策か……。この問題は英米に限ったものではないだろう。各国ともに「金融政策」については依然、難しい舵取りを強いられそうだ。また、株式市場も米国を中心とした金利動向に翻弄される恐れもあるだけに注意が必要だ。

中国の「異変」が意味するもの? 警戒される「チャイナリスク」