ビジネスモデルはどうやって作る? 代表的な9種類のモデルやメリットなどから学ぶ
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事業を成功させるにはビジネスモデルの理解が不可欠だ。今回はビジネスモデルとは何かがわかるよう、種類やメリット、成功事例などを解説する。考え方や作り方のフレームワークも紹介するので、自社のビジネスモデル構築に活かしてほしい。

目次

  1. ビジネスモデルとは?
  2. 代表的な9種類のビジネスモデル
    1. ビジネスモデル1.販売モデル
    2. ビジネスモデル2.小売モデル
    3. ビジネスモデル3.広告モデル
    4. ビジネスモデル4.サブスクリプションモデル
    5. ビジネスモデル5.マッチングモデル
    6. ビジネスモデル6.ライセンスモデル
    7. ビジネスモデル7.レンタルモデル
    8. ビジネスモデル8.フリーミアムモデル
    9. ビジネスモデル9.コレクションモデル
  3. ビジネスモデルを生み出す3つのメリット
    1. メリット1.強みを訴求できる
    2. メリット2.課題にアプローチしやすくなる
    3. メリット3.商品やサービスを必要とする人々に届けやすくなる
  4. ビジネスモデルで成功を収めた事例3選
    1. 事例1.Google
    2. 事例2.メルカリ
    3. 事例3.Amazonプライム
  5. ビジネスモデルの考え方や作り方に役立つ2つのフレームワーク
    1. フレームワーク1.3W1H
    2. フレームワーク2.ビジネスモデルキャンバス
  6. ビジネスモデルは事業の成長を加速させる
  7. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

ビジネスモデルとは?

ビジネスモデルとは何かを簡単に説明すると、事業による価値を提供して収益を得る仕組みをさす。事業として提供できる価値には商品やサービスがある。

同じ商品やサービスを取り扱っても、ビジネスモデルを転換することで競合他社との差別化を図れる。優れたビジネスモデルは企業に大きな成功をもたらし、事業を永続的に成長・発展させる礎となるだろう。

代表的な9種類のビジネスモデル

ビジネスモデルにはさまざまな種類がある。自社のビジネスモデルを見直すためにも、類型を頭に入れておこう。代表的な9種類のビジネスモデルをわかりやすく解説していく。

ビジネスモデル1.販売モデル

販売モデルとは、商品を作って売るビジネスモデルだ。物販モデルと呼ばれることもある。最もシンプルなビジネスモデルであり、個人で取り組むことも可能だ。

<例>
・農家が育てた野菜を販売する。
・メーカーが機械を製造して販売する。
・手づくりの革製品を販売する。

ビジネスモデル2.小売モデル

小売モデルとは、仕入れた商品を売るビジネスモデルだ。販売モデルとの違いは、商品を製造したり加工したりせず、売ることに特化していることだ。

<例>
・百貨店が商品を販売する。
・スーパーマーケットが商品を販売する。
・コンビニが商品を販売する。

ビジネスモデル3.広告モデル

広告モデルとは、広告媒体を用意して広告主を募り、広告主から報酬を得るビジネスモデルだ。

<例>
・SNSや検索エンジンがユーザーに広告を流す。
・テレビCMを流す。
・新聞に広告欄を設ける。

ビジネスモデル4.サブスクリプションモデル

サブスクリプションモデルとは、月額料金制で一定の価値を提供するビジネスモデルだ。継続課金型モデルと呼ばれることもある。近年、サブスクモデルは特に話題となっており、さまざまな商品やサービスのサブスクが登場している。

<例>
・一定の月額料金で動画視聴サービスを提供する。
・一定の月額料金でコーヒーや香水、洋服などの商品を配送する。
・一定の月額料金で特定の店舗で無料や割り引きといった特典を受けられるようにする。

ビジネスモデル5.マッチングモデル

マッチングモデルとは、異なるニーズを持つ者同士を仲介して仲介手数料をもらうビジネスモデルだ。

一般的に当事者同士だと、利害が対立する場合や専門的な知識が必要な場合もあり、仲介によってスムーズにマッチングが進むことが多い。その見返りとして仲介手数料を受け取る仕組みだ。

<例>
・不動産会社が土地や家屋の売り主と買い主の間に入り仲介手数料をもらう。
・クラウドソーシングサイトが仕事を依頼したい人と仕事を受注したい人をマッチングして手数料をもらう。
・M&A仲介会社が会社を売りたい人と買いたい人をマッチングして手数料をもらう。

ビジネスモデル6.ライセンスモデル

ライセンスモデルとは、開発物の使用権を提供して収益を得るビジネスモデルだ。開発が難しい反面、開発に成功すれば収益が爆発的に伸びる可能性がある。

<例>
・人気のキャラクターを生み出してライセンス料を受け取る。
・楽曲を生み出してライセンス料を受け取る。
・ソフトウェアを開発してライセンス料を受け取る。

ビジネスモデル7.レンタルモデル

レンタルモデルとは、商品やサービスを貸し出してレンタル料を受け取るビジネスモデルだ。

消費者は購入よりも手軽に商品を利用できるだけでなく、商品が不要になったとき自分で処分する必要もない。所有欲よりも使用欲に着目したビジネスモデルといえよう。

<例>
・DVDや本を貸し出してレンタル料を受け取る。
・レンタカーを貸し出してレンタル料を受け取る。
・家電を貸し出してレンタル料を受け取る。

ビジネスモデル8.フリーミアムモデル

フリーミアムモデルとは、フリーとプレミアムの2段階を用意し、無料から有料に誘導するビジネスモデルだ。無料の商品やサービスで認知を拡大してから有料化することが多い。

<例>
・無料会員だと機能が制限されるアプリで、有料会員になるとすべての機能を利用できる。
・一定の文字数まで試し読みできる記事で、有料会員になると全文を読める。
・一定の容量を無料で利用できるオンラインストレージで、費用を支払うと容量が増える。

ビジネスモデル9.コレクションモデル

コレクションモデルとは、商品をパーツに分けたり統一性を持たせたりすることで、消費者の収集意欲を刺激するビジネスモデルだ。販売モデルの一形態だといえよう。

<例>
・ミニカーを部品やパーツに分けて販売する。
・人形の衣装やウィッグを別個に販売する。
・シリーズ物のフィギュアを販売する。

ビジネスモデルを生み出す3つのメリット

事業で成功を収めるには、自社の商品やサービスを踏まえ、ビジネスモデルを作り込むことが大切だ。続いては、ビジネスモデルを生み出すメリットを3つ紹介する。

メリット1.強みを訴求できる

ビジネスモデルが不明瞭だと、事業の全体像をつかめない。事業を継続するには、収益を生み出す必要があり、その要になるのがビジネスモデルだ。

ビジネスモデルを明確にすることで、収益を得るプロセスや収益を高める方法などがわかり、自社の強みや今後の方向性も見えてくる。

また、ビジネスモデルを社内で共有すれば、経営者や役員、従業員が仕事に迷わず取り組めるだろう。

メリット2.課題にアプローチしやすくなる

商品やサービスと現状のビジネスモデルの相性を検討すると、より適したビジネスモデルが見つかることがある。その点、ビジネスモデルが不明瞭だと、事業がうまくいかないときに課題を分析しづらくなる。

ビジネスモデルが明確になれば、商品やサービスについて訴求方法やターゲット選定など、課題を見つけやすくなるはずだ。

メリット3.商品やサービスを必要とする人々に届けやすくなる

ビジネスモデルが明確になると、商品やサービスが消費者に届くまでの流れが整理される。そのため、商品やサービスのターゲット、訴求、差別化などについて工夫を凝らしやすくなる。

商品やサービスそのものに軸が生まれ、必要とする消費者に届きやすくなるだろう。

ビジネスモデルで成功を収めた事例3選

商品やサービスを生み出すだけでなく、ビジネスモデルを作り込むことで、事業が成功しやすくなる。ビジネスモデルで成功を収めた事例を3つ紹介していく。

事例1.Google

Googleは広告モデルで成功を収めた企業だ。Googleの検索エンジンを使って検索すると、広告枠が用意されていることに気づく。Googleは、検索エンジンの利便性を高めて利用者を増やし、広告枠を設けて広告主を募集した。

広告主から収益を得ることでさまざまなサービスを提供しており、基本的にユーザーは無料でサービスを利用できる。

事例2.メルカリ

メルカリはマッチングモデルで成功した企業だ。モノを売りたい出品者とモノを買いたい購入者をインターネット上でマッチングして収益を得ている。メルカリの収益源は、取引成立の際に差し引かれる販売手数料(販売金額の10%)だ。

事例3.Amazonプライム

Amazonは、Amazonプライムというサブスクリプションモデルで成功を収めた。月額500円でプライム会員になると、お急ぎ便や日時指定便が無料になる配送特典を受けられたり、動画や音楽を無料で視聴できたりする。

世界中にAmazonの利用者がいることや手ごろな価格設定にしたことなどから、プライム会員は2021年に2億人を突破した。

ビジネスモデルの考え方や作り方に役立つ2つのフレームワーク

ビジネスモデルの構築に悩む経営者もいるかもしれない。ビジネスモデルの考え方や作り方に役立つフレームワークを2つ紹介する。

フレームワーク1.3W1H

ビジネスモデルを整理するために、自社の事業について3W1Hを書き出してみよう。

ビジネスモデルとは? 種類やメリット、成功事例、作り方のフレームワークなどを紹介

次のような視点で現状の課題と今後取り組みたいことをピックアップしてみてほしい。

・顧客の年代に合った訴求方法を選択できているか。
・商品やサービスをほかの属性の顧客にも届けることができないか。
・理念をうまく顧客に伝えられているか。
・理念に沿って商品やサービスをブラッシュアップできないか。

3W1Hの視点で事業をとらえ直すと、ビジネスモデルを磨くヒントが得られるはずだ。

フレームワーク2.ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスモデルを可視化するためのフレームワークだ。9つの視点からビジネスモデルを整理していく。

①顧客セグメント
②価値提案
③チャネル
④顧客との関係
⑤収益の流れ
⑥主要リソース
⑦主要活動
⑧主要パートナー
⑨コスト構造

さまざまな視点でビジネスモデルを可視化することで、ビジネスモデルに説得力が生まれる。経営課題の分析や社員の意識共有に役立つだろう。

ビジネスモデルは事業の成長を加速させる

創業期を除けば、ビジネスモデルを明確化しなくても、同じことの繰り返しで収益を得られるかもしれない。しかし、同じやり方を踏襲するだけでは、時代の変化に対応しきれず、徐々に事業は衰退していく。

変化の激しい時代を柔軟に生き抜くためにも、自社のビジネスモデルを明確化したい。そうすれば、事業の永続的な成長・発展につながっていくはずだ。

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文・木崎涼(ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパート)

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