ビジネスの世界では、「事業スキーム(ビジネススキーム)」「ビジネスプラン」「ビジネスモデル」といった言葉が頻繁に使われる。しかしイメージとして把握していても、正しく理解している人は少ないのではないだろうか。長く会社を経営していれば事業拡大は行き当たりばったりとはいかないことが分かるだろう。
事業を行うには、事業計画書を作成する必要があり、特に金融機関から資金調達を行うときには必要不可欠である。また創業時や新しく他分野への事業進出を図る際には、事業の方針を明確化しなければならない。事業を計画的に進めていくためにも事業スキームを作成し、具体的に何をどのように行うかを示すことが必要だ。
ここでは「事業スキーム」「ビジネスプラン」「ビジネスモデル」の違いを紹介したうえで主に事業スキームの作成のポイントについて解説する。
目次
ビジネスで使われるスキームの種類
「事業スキーム(ビジネススキーム)」は、主に事業計画を具体的に作成することを意味する。しかし他の用語と混同されることも多くある。またビジネスでは、さまざまな場面で「スキーム(scheme)」という言葉が使われる。「〇〇スキーム」などと企業の目的に応じて組み合わせられた言葉を耳にする機会も多いだろう。
まずは、スキームとプラン、モデルとの違いを理解することが必要だ。スキームの種類について具体的な事例を紹介する。
「事業スキーム(ビジネススキーム)」と「ビジネスプラン」の違い
スキームという言葉は「計画」や「案」を意味する。「たくらむ」「策動する」といった使い方もするため、注意深く練られた「計画」「案」「枠組み」などと理解すればいいだろう。スキームは、他にも「陰謀」や「策動」という意味を持ち、ビジネス以外では「悪いたくらみ」という意味で使われることもある。
ビジネス用語として事業スキームといえば具体的によく練られた計画、つまり「事業計画」の意味で使われることが多い。プラン(Plan)は、同じ「計画」や「案」でも、「~するつもり」「目論む(もくろむ)」という使い方をする。予定されている行事など、まだ構想段階で具体化されていない状態の計画というニュアンスだ。
事業内容を説明する資料としてビジネスプランを作成することがあるが、より具体的に練られたものが「ビジネススキーム」とイメージすればいいだろう。ただしどこまでがプランで、どこからがスキームであるかの境目はあいまいで明確な定義もない。そのためビジネスプランもビジネススキームも混同して使われることが多いのが現状だ。
ビジネスモデルとの違い
モデル(model)とは「手本」や「見本となるもの」であり「模型」「原型」「典型」「ひな型」という意味でも使われる。ビジネスの世界では、企業価値を高め利益を生み出す仕組みや構造をビジネスモデルと呼ぶ。しかしこれも事業スキームと混同されやすい。
以下のような内容を論理的に体系化したものがビジネスモデルである。
- 収益を上げるための事業内容
- ターゲット層
- 提供する製品やサービスの内容
つまりビジネスモデルは、事業で利益を上げるための模範や標準となる手法・構造のことを指す。その事業個々の収益構造を簡略化した見本や原型となるものである。一方、事業スキームは、経営ビジョンや経営理念までも含む。商品開発からマーケティング、営業方法、販売戦略など事業の全体像を戦略的に取り組むための一連の流れや仕組みのことである。
事業全体の計画や枠組みを意味するため、網羅される範囲が広い。他にも流れや手順を意味するフロー(flow)、考え方や理論を意味するロジック(logic)などの言葉がある。ビジネスプランが構想段階の具体化されていない計画であり、ビジネスモデルがその事業個々の収益構造の見本や原型なら事業スキームは、プラン、フロー、ロジックのすべてを含めた事業全体の枠組みを具体化したものといえる。