事業スキームは目的に合わせて作成する

事業スキームは「会社設立後事業を開始する」「銀行など金融機関から融資を受ける」「新たな市場に事業展開するために事業を開始する」といったタイミングを目安に企業の目的に応じて作成しよう。

目的に応じて分かりやすく簡潔に作成する

新たに事業を開始する際は、取引先や顧客に説明する資料として利用することもあるだろう。その際は、簡潔に分かりやすく作成することが重要だ。ページ数が多く数字や文字ばかり並んだ資料は、どうしても敬遠されがちで分かりにくい印象を読み手に与えてしまいかねない。そのような資料では、読む意欲をなくしてしまい興味を持てなくなってしまう。

事業スキーム作成時には、目で見て分かりやすく興味が持てるように作成することを心がけたい。目に訴えることも大切でスキーム図や一覧表、数字ばかりでなくグラフを活用するなど見て分かりやすい工夫も必要となる。

裏付けのある数字で作成し、リスクを十分に分析する

資金調達や事業再建に利用するのであれば綿密な計画と裏付けのある数値が求められる。金融機関や投資家から資金調達を行うのであれば事業の収益化に説得力が必要だ。行きあたりばったりの事業計画では、信ぴょう性がなく信頼を得ることもできない。また業界知識を身につけ事業特性を理解し事業の分野でどのようなリスクがあるかを把握してリスクについて十分に分析する必要がある。

経営環境は、刻一刻と変化するため、企業はリスク対策を入念に行い常に対応できるようにしておきたい。一般的なリスクの原因には、以下のようなものがある。

  • 顧客ニーズやターゲットの選択ミス
  • 市場における競合性
  • 販売先の倒産
  • 法律改正
  • 業界特有の問題
  • 業種特性など

どのようなリスクが存在しどのようにしてリスクを回避・軽減するのかについて十分に対策を立てておく必要がある。

まとめ

「スキーム」は、さまざまな言葉と組み合わせて使われる傾向だ。事業スキームは、ビジネスプランやビジネスモデルなどと混同しやすいが主に事業計画を具体的に作成することを意味する言葉である。ジネス用語としてよく使われる「プラン(予定)」「モデル(原型)」「フロー(流れ)」「ロジック(理論)」のすべてを含めた事業全体の枠組みをより具体化した計画といっていいだろう。

事業スキームは、事業計画実現のための具体的な方法を示すものであり事業計画書を指すことが多い。事業計画を作成するには、5つの押さえるべきポイントを踏まえて作成する必要がある。しかし資料が多く難解なイメージを与える作り方は、かえってマイナスのイメージを与えてしまいかねない。そのためスキーム図やグラフなどを活用して工夫することも大切だ。

利用目的に応じて作成し、綿密な計画と裏付けのある数値を根拠にしつつ、目で見て分かりやすく興味が持てるように作成するように心がけたい。

加治 直樹
著:加治 直樹
特定社会保険労務士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。銀行に20年以上勤務。融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務を行う。退職後、かじ社会保険労務士事務所を設立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能であり、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。
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